すべてのおすすめ
響いた翼はためかせて
風の声へ飛び続ける
閉ざされた約束の傷
脈打つ光へさらして
こえられない私をみつめる
罪色の翼に歌う
{ルビ現在=いま} 解き放つ時
押しつぶされそうな空へ ....
あのひとのまちは
晴れるだろうか
あのひとのまちは
曇りだろうか
あのひとのまちは
雨だろうか
………
あのひとの季節には
どんな花が
咲いているのだろう か
....
乳白色の
血を流す
草の名を忘れてしまい
野原にからだをうずめた
満天の星の鎮魂歌を
あすの朝の火に{ルビ焼=く}べて
壊れた時計の可燃率とともに眠る
忘却は
時を経るごとにや ....
もう
鋭いところまで、
来てしまっている。
人々は、
気付いているのであろうか。
虚空は、
妖しく、うねりながら明滅している。
あさっての老人は、
{ルビ落葉=おちば}に手を合わせ ....
遠のいていく
夢の終りの予感
連続する瞬間の
寓話的イノセンス
遠のいていくわ
雨
音楽的無添加な透過
指の形良く
挟んだ煙草と
くゆる
正視の冷却
覚めてゆく未知数
....
私の
家の裏には
杉林があって
その向こうには
すこしばかりの空があって
夏になれば
蝉時雨が満面に鳴り響いているのです
しばらくそれを
みつめていると蝉の声が深く
静かに命を説いて ....
ああ、旅をしているんだな。
揺れるクレマチスの青い花。
ああ、ひとりでいるんだな。
夏が、終るとするにおいが、
今日はしているのだけれど、
どうしてなんだろう。はて、
どこへ行こうとしてい ....