南町二丁目電話ボックスでさらってくれる人を待ってる
ガキ大将なんて嬉しいものじゃない道具で殺せるジャイアンのこと
死ぬ星が一番光る 遠吠えを聞いた僕らのつく嘘みたく
....
腕を手にとって くずれる千鳥足 星はあそこに 私はここに
ただ猫と 話がしたい 冬の日に 男の気持ちは わからないねと
囁きと RedJeans まだ香る 指先重ねた 夏の終わりに
....
義父方の祖父の従兄弟の名を忘れ日がな一日オスカルの刑
慣れもせず言う事聞かずつちふまず必死で探す猫の住む家
「ナタデココ下から読んでチェブラシカ」守りたくとも解らぬ家訓
....
改札口にて
お待ち申し上げております
行き先を
詮索したりはいたしません
どうぞ
ご安心を
あなたがここを
通過してゆく事実のみ
確かめさせて頂きたいのです ....
遠目に
窓越しの木々が痙攣し
雨の訪れを知る
ベランダには
洗い立てのシーツが
物干しいっぱい広がって
百万都市のネオンからかくれるように
わたしたちは居た
だれかの描いた
まっ ....
あの頃、君に告げられなかったことを今
***
ねぇ、君
冷やし中華を誰よりも早く始めたいの、とはりきる君の姿が僕は好きだったんだ
ねぇ、君
扇風機の首フリに合わ ....
さくら かんざし
あかねの 鼻緒
ねむりの いわおに
腰かけ
仰ぐ
ちり ち り りん
金魚の尾ひれが
風鈴を蹴る
ちり ち り りん
黄色の帯と
左手
....
輪郭だけをのこしたまま
あのひとがいなくなってしまったので
いつまでもわたしは
ひとりと半分のからだで過ごしている
明かりの消えた部屋で ひとり
アルコールランプに、火を点ける
ゆ ....
閉じる
今日が終わったら
とりあえず雨音の中で
夢を見よう
出来るなら昨日の続きがいいな
懐かしい人が居た
閉じる
今日が終わったら
とりあえずいつものように
明日が来るまでは
....
いつだって取り分け用事はない手紙暑い夏ですお元気ですか
熱き息傍らに聞き盆送り今日の日の人毎日の君
にわか雨染み入る砂浜のごとくのどかに揺るる稲穂のごとく
便箋の印に沿い ....
あなたがひとを殺しても罪になりません
ドクターは宣告した
石ころだらけの世界
まして
モラトリアムの真ん中で
ひとのこころくらい
かんたんに壊れてしまうでしょうに
....
地球の上をキスが回る
西サモアで、島の祭りに酔う恋人達が、夕闇にまぎれて初めてのキスをする頃
ブエノスアイレスの酒場では、疲れ果てた中年の男に、ウェイトレスがやさしいキスをし
セーヌ川の ....
恐竜の背に乗った彼半笑い
ティラノから逃れるすべが二百円
生き飽きたブラキオサウルス吹いた虹
ストルチオミムスの名前やや忘れ
「花を見ず一億年間生きました」
「骨に歯を通 ....
わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった
わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ
と
美しい光
いつつ
むっつ
と
美しい光
けれどもそこ ....
日本の子供たちの思いやりが込められた
膨大な量の千羽鶴が海を渡った
あばら骨の浮き出た子供たちは
弱々しく 震える手で
ひとつひとつ 千羽鶴を開けた
何も入っていなかった
....
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で
私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で
果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
サワレナイという女の子がいました
何を贈られてもそれに触れないでかなしそうに笑うので
そう呼ばれていたのです
サワレナイはある朝、さみしい夢に目を覚ましました
そして、毎朝そうやって起きていた ....
紅さし指で
この唇をなぞっておくれ
宵をにぎわす祭りの夜に
提灯ゆらり
光はたぶんに
正しいものだけ捕まえる
ほら
燃える可憐な蛾がひとつ
短命ながらも風情をもって ....
身体の自由を奪われることと引き換えに
過去の重荷をどこかへ置き忘れて
少しづつ解き放たれていく
その手を見ればわかる
長い年月を耐えて踏んばって
あなたは生きてきたのだから
ちょっ ....
まず、最初に言っておくけどね。
冷凍室から取り出したばかりのアイスキャンディーを
すぐに舐めてはいけないよ ホワイト
表面を白く覆う 霜という物が消えてから
静かに舌で突っついてさ 甘 ....
てふてふが
海を渡つてゐるのを
飢ゑた勇魚が、
ぢつと、見た
食べてはいけないのだよと
言ひ聞かせながら
....
八月二十七日 午前二時
病室の小さなベッドの上
真っ白なシーツをかぶって
はしゃいでいました
夏が
終わるのを知って
少し ....
たまたま人からもらって一度だけ食べたお菓子の味が忘れられないのに、どこのなんというお菓子なのかさっぱりわからない。しかも、その人とは音信普通になってしまって、もはやそのお菓子を探す手がかりが何もない ....
どうしましょう
幸せなのです
幸せでたまらんのです
涙も出ます
あ
それは煙草の煙のせいかな
とにかくとてつもなく幸せなのです
不思議な気分です
ほしいものがありません
必要なも ....
3匹目の獏は道端で
へたりこんでるところを拾った
小さな獏は虚弱体質で
夢はもちろん秘密も嘘も受け付けず
今にも消え入りそうに震えている
私は必死で噂とか言い訳とか ....
私小説というものがほぼ死に絶え、小説はエンタテイメントとして書かれ・読まれ・消費されるものになって久しい。それに対して、詩というものは、未だに“私詩”とでも呼ぶべきものが大半を占めているように思える。 ....
生まれた日のことを覚えている
ちらちらと雪が降って
がやがやと人の声が聞こえた
そして何度か暗くなった
明かりは穏やかに灯った
鳥の声が聞こえた
硬貨の匂いがした
笑っていた
抱きしめ ....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
骸骨がブラブラ廊下歩いてく音楽室の鍵は壊れた
理科室の匂い取れない制服に誰かの刻印深く押される
日食を見るため屋上集まった魔女が湧いてる魔女が湧いてる
チャ ....
入院してる友達のために折ってるのと
その子はちょっと淋しそうに
鶴を折っていました
それを手伝おうと
わたしも折ったのですが
できあがった鶴の
羽を広げようとしたとき
その子 ....
1 2 3