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雨のなかの声
とおりみち
夜に立つ
銀の生きもの
夜を 揺らす
曇の音
手をふるもの
雨の去る音
月が照らす海
小さな声
静かな ....
こぼすものなく
こぼすものなく
またひとつになる
雪の花が
雪の手に廻る
遅いまたたきが
音の背を見る
幾重にも連なる
虹の輪を見る
熱くて
触 ....
こがねに遠のくものを見ていた
忘れたままの息がひとつ
足元にかがやき 沈んでいった
冷たいまぼろしが 羽をひろげた
蝶は火のなかに火をそそいでいた
空腹への応 ....
言葉に割れる岩道の
ひとつひとつがまたたき並び
空の底へと落ちてゆく
出せずに裂いた手紙のように
曇のほとり
ひとり祈り
この手を焼く火が
この手のみであれ
....
白く大きな建物が倒れ
道に大量の湯を噴き出していた
蒸気と飛沫がとびまわり
離れても離れても熱さは変わらず
自転車を手で引きながら
白いかたまりを見つめていた
....
橋の下に残された冬
橋の下に生まれた春
流れに映るふたつの顔は
やがて向きあい微笑んで
結んだ手に降る雪を見る
遠い遠い雲間の陽を見る
風は降る
粒は降る
重なり 離れる
鳥の像と鳥の影
円のなかに降りしきる円
雨どいの羽
空へ帰り
曇と返り血
はばたきの跡
ひらめく道の
切っ先の音
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