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T+74.130
Last radio signal from orbiter.{注*=Challenger timeline(UPI)}
切断された管をたなびかせながら
放物線を描いて ....
ダイ、ダイラ、
風吹きわたり
陽あたりのいい場所で
投げ捨てた果実の種が
ことごとく芽吹いて巨樹となり
大地を引き裂いて
ダイ、ダイラ、
風吹きわたり
陽あたりのいい場所で
はらわた ....
そしておなかがすいたのでビルの隙間を水平にいく鳥たちをながめていると
泥水を手のひらですくってのんでる子供の映像がコマーシャルで流れて
記憶という文字があちこちで文字化けし
円山町の ....
吸い込まれてしまいそうな青だ
水になって垂れてきそうな空だ
まばたきの間にも雲の形は変わる
海が青いのは海底に空があるからだ
知らないことについて話せないから
知っていることしか語っ ....
こころが風邪をひくと
遠いどこかへ行きたくなる
誰かとバスを
待ちたい気持ちになる
まだ幼かった
あの日の僕と母のように
むかえに来たのが
バスではなかったとしても
見知 ....
なだらかな坂道を
だらだらと歩いている
なさけない言葉たちを
だらしなく発しながら
なまめかしい誘惑には
よだれを垂らしている
なよやかにしおれているふりをしている
なんとなく日 ....
ひからびたからだと
ひらかれたからだとで
だらだらと抱き合ううちに
汗ではないものが流れ出た
かなしくはないのだが
うれしくもないままに
むなしさだけがわいてきた
背中で虫がつぶれて ....
熱い帯にタイダイの笑い声が響く
電気工事のおじさん
駐輪場のおじさん
建設現場のおじさん
交通整備のおじさん
ペンキ塗りのおじさん
たくさんのおじさん
設備工事の父さんも
あんな風にタ ....
まだ
夜は
寒いので
海岸に落ちていた生乾きのコートを
拾って羽織った
シャツも落ちていたが濡れていて
靴も落ちていたがサイズが合わず
人間の男も落ちていたが
触るとぬらぬらし ....
川の水だらだら垂れ流し
みっともないくらい
あたしの住んでる川はこんなもんじゃない
もっとシャッキリしてて底が見えてる具合のいい川だよ
でも海に入れば一緒だね
川の上流れてく ....
ゆうろさん料理をしましたか
ええ、しましたよ
左手 お野菜洗ったので冷えてあかい
右手 あついお鍋を見ていたのでももいろ
今日はどこで
小鳥の巣箱よ
小さなやかんに小さなお鍋
風邪ひいた ....
夜になると
鳥は空を飛ぶことを諦め
自らの隙間を飛ぶ
高い建物の立ち並ぶ様子が
都会、と呼ばれるように
鳥は鳥の言葉で
空を埋めていってしまう
知らないことは罪ではな ....
自転車はその肢体を空気の隅々まで伸ばし
僕らのささやかな会話は言葉を放棄して
水の海になってしまった
沖へとゆっくりこぎだして行く
すでに失ったペダルを懸命に踏みながら
陸のいたる所では ....
冬の寒気が細く伸びて
岬の先のほうへ
鋭く尖っていった
遠くで生まれた赤土の丘が
最後に海へこぼれ落ちていく場所で
わたしの そしてあのひとの
フレアスカートのはためく裾から
なめらかに ....
地平線さえ見えないほどに
一面に広がる小麦畑の
只中に突き立った一本の潅木の下には人が揺れているのだそうだ
金色の穂が乱反射する
歪な真夏の陽光の中で
限りなく乾きながらしかし決して ....
女にふられたので、
稚内へ行って死んできた。
稚内へは、羽田から直行便が出ている。
うすぐもりの空がまるでばけものの飛ぶ空のように広い。
ツアー客のでっかいトランクのなか、
浪人生みたいに手 ....
ちいさいお魚 池の中にいて
緑の葉の下 見え隠れする
山茶花が咲いて 悲しい日だから
私 うずくまっているの
寒いお魚は 貝で出来てる
寒い山茶花は じくじくこぼれる
寒い私 傘を ....
ねこや青空や荒野を
ねこや青空や荒野と
なづけたひとにあなたのなまえを
なづけなおしてもらいにゆくのなら
てぶらで部屋を出て
ふいにバスをとちゅうで降りる
もう二度と帰らない旅行へ出かける ....
ずるやすみの木で
かみさまを見かけた
なにをしているんですかとたずねたら
ずるやすみをしているのさとこたえた
ぼくも人のことは言えないから
ああそうですかと
おおきな幹にせなかをよりか ....
死期が近づくと
彼等は自ら首を吊って死ぬ
夜に 孤独な木を探してその枝に
縄を垂らして果てる
南の大地は熱い
吊られた身体は素早く腐る
自分ひとりで首を吊れない者は笑われる
ましてや ....
折りたたみ自転車が
折りたたまれていたのは
空いたばかりのトランクのなかで
トランクをバタムとしめると
あなたは取り乱しもせず
じぶんじしんを折りたたみ
わたしのバッグのなかにもぐりこ ....
ある麗らかな朝、一行の詩が書物から立ち上がってはるかな水平線をめざして言葉の海を泳ぎだしたまま行方不明になった。さっそく捜索隊が組織され船出することになった--------。
どうも気がすす ....
プラットホームに着いた 銀色列車のドアがひらいて 夏の海が溢れだしました
ピストルが鳴って 貌のないメッセンジャーが フリースタイルで泳いできます 燃えあがるピアノの上の老いた漁師は差し ....
藤根の
公民館の屋根の下
雨宿り
雨やみますか
恐らくは
白濁窓ガラス
その向こう側のアナログ時計
(さて そろそろかな)
毎日変わらず六時半
雨やみますか
もう すぐ ....
錆こする
蝉 が赤土の
踊り場を囲い 哉
哉哉哉哉 といにしえの
合
唱をまねび叫ぶ
哉 哉哉哉 哉
橡の木の下で錆び
た旋盤機が
抱 ....
くだらないやつが寝て居る
小便くさい空に寝て居る
サラリーマンが行き過ぎる
労働の汗がワイシャツの下に張り付いている
終の棲家を持たぬ半端者
住むべきところに住めず
食べるべき ....
きれいなあきびんを
ひろったので
ひとり
となづけた
ごしごしあらって
ちいさながらすだまをいれると
そこをころがって
からからおとをたてた
まどべにおくと
ひとりは
かぜやあ ....
ここが
せかいのはしっこだ
もんばんが
ゆびさした
しょっていたものを
ぜんぶすてると
からだがかるくなった
せのびやくっしんをするあいだ
もんばんはうでぐみをして
かぎのたばを ....
びんのなかの
うごきは
とてもかんまんだった
ときどき
うろこのようなものが
ひかったように
みえるけれど
すぐに
どろみずにかくされてしまった
ぬるぬるしてて
なんだかきもち ....
じいさんが
あの世へいってからずっと
8ミリを回すと
青鬼が映る
8ミリを映写し
妻や子供との暗い部屋で
(僕だけが斜め下におり)
青鬼を見る
木や鳥居の影などに
七五三だというのに ....
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