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かつて潔く閉じた手紙は風を巡り
伏せられていた暦が息吹きはじめている
朽ちた扉を貫く光は
草の海を素足で歩く確かさで
白紙のページに文字を刻みはじめ
陽炎が去った午後に、わたし ....
擦り切れている背表紙を
後生大事に持ち歩く
付箋に躓くことを繰り返してしまった
左手には一束のシャレード
紐解いている間に
夏の森は
微笑や涙やトキメキを頬張って
色彩を奏ではじめて ....
硝子細工の
幾つかの重なりは
小さな風の溜まり場をくるくるとかき混ぜて扉を揺らし
丘に続く小道を夢見るのです
夏が降り
気まぐれな模様を織りなして
あのひとの指に留まった雨粒が私の
....