右手にホクロを
刻まれて生まれて
ホクロが消えかかった
アリバイのように
一切の追憶が
証拠にならなくても
誰も知りえない罪の
秘密は何よりも甘く薫りながら
孤 ....
あなたはたぶん
わたしがシアワセと感じる指先や
透明になれるほんのすこしの暗号を
ちゃんと知っていて
いつだって手をひいて
この思慮深い森の出口につづく
複雑な線をといて
近道へ、
近 ....
向かい風の吹いている
地図の上です
収縮と膨張を繰り返す波打ち際の
緩やかなカーブをなぞること
波音は届かずに
待ち焦がれるばかりの
海岸線が近い
そうで
少しずつ僕らに迫 ....
虹が
吹雪いてるよ
夜の窓は魔法であるから
てのひらに息を
当てて
もつれている糸を
たぐる、ダウンは
少しジッパーが
しまりにくい
川と友達になりたい
流れの無限に逆らい
....
毎日涙を流しても平気だと言うな
叶うか ....
浴槽。
膝。
俯いて、抱えて、
今、誰か出会った。
あまい波が
寄せては返す。
わたしは、
匂いに飢えてたね。
ストローの紙袋を
できるだけ遠く
白く、吹いて
氷の空へ飛ばす
と
コツンとあたった
かすかな点から
ぱきぱき、と
空はひび割れて
肝油ドロップがふりそそぐ
雪乞いの
甘い甘い、 ....
夜中、目がさめて階下に降りると
君が僕を積み上げていた
たどたどしい手つきで慎重に積み上げ
途中で崩れると
ふうとため息をついてまたやり直す
時々どこか気に入らないようで
何か ....
もっとも純粋な時間が
気温としての灼熱を超えはじめる
すでに熱した魂の最速
澄みきった事実の連続と
広がりつづける夢の持続の中で
胎動する情熱のはじまりは
あるまじき事件として
....
静かな夜。まだ眠くはないが、電灯のスイッチを切る。大気が重みを増し、数百メートル離れた隣家から冷蔵庫の低いうなりが伝わってくる。窓ガラスに埃の粒が当たる音がする。ひとつ、ふたつ。そして、目がだんだん ....
たぶんみんな知っている
本当は女のアレの中に男のアレが入っていないことや
男のアレに添えた手の裏側に白い液体入りのスポイトが隠されていること
つまり薄いに越したことはないけれども
丸見えを望ん ....
閉ざされた窓の外は氷点下の青空
冬には
見えないものも見えるものも等しく正しい
さよならも云えないままに消えてしまった夏は
凡てが微熱に喘いでいた
空
向日葵
海
神様
....
男たちで集まって
何々であるべきであるとか
やれ何が深いだとか
ピストルとか
ロボットとか
かみさまとかじゃ、ないくって
くつをはいていない
女の子た ....
西武新宿線の下り各駅先頭車両の一番前っていうか
その、つまり運転手さんからとびら一枚隔てたすぐ後ろで
ぼくは黒人と並んで窓のそとをみていた
正午過ぎでさわやかな気持ちだった
俺たちはもう猛獣を ....
一日の終わりに
シャワーの蛇口をひねると
十二時のひずみから
しずくが落ちる
窓枠の
カタカタ
と鳴くのもよそに
通り過ぎたのは
秒針で
洗いながしたのは
遠い遠い
約束 ....
冷水を浴びせかけられ
びしょびしょのグー
小指から開くと 小さな傘があった
「何故」と問うには細心の勇気が必要だ
「どうして」に至ってはよく咬んで生殺しにする
「誰」かの「何時」 ....
聖地の方角へ向けて祈る
巡礼者のような面持ちで
私は此処に立っていた
星たちの第五待合室
そこにある伝言板に
私が一行書き加えると
誰かが四行詩で返信する
....
質の中に量があり
落下の中に流れがある
無数にまとまる一つ
雨と呼ばれるものの名
儀式のように繰り返され
思い出された最初の音
絶えず動きながら
点在する光を導き
生かしてゆく雨の ....
それは 私の中の悟りのようなものなのかも
小学生の時に こんな事がありました。
「どんな風景でも良いので 風景画を描きなさい。」と言われ 好きなようにスケッチして絵の具の色をおきました。
....
「病院」と云う単語を口にすると、決まってあたしの脳裏には秋の終わりの桜並木が過る。枯れた葉が風に巻き上げられ、足を進める度にかさかさと乾いた音を発て、粉々に散った。手が冷たくて、外套のポケットに入れて ....
高架下の
冷えたコンクリートに
みみを添えて
こうこうとひかる夜の電車の
進む方向を
聞いている
せわしなく交差する線が
夜へと潜る
瞬間
手にするのは
あざやかに灯るうたごえ ....
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