まごころ屋が閉店になる
食っていけなくなったのではなくて
もう跡継ぎができたという
けれどこの町の誰も
その跡継ぎのことは知らない
まごころ屋は
壊れたオルゴールの ....
オレンジ色のワンピースを着て
散歩に行こう
目的はないけれど
一緒に行こう
あなたは
「心が血でいっぱいだ」
と書いていた
あなたの目に空が何色に写るのか
私の顔がどん ....
うまくいかなかったね
おれたちはぜんいん うまくいかなかった
るーるをやぶってばかり
そらをとぶゆめをみてはしゃいだ
うまくいかなかったね
おれたちは ぜんぜんう ....
私は、海辺の工業地帯の予感だけが漂う産業道路の歩道を歩いている。
静かだ。
何故なら、街は私の平和で穏やかな気分にちっともさせない。
かと言って、反対に人里離れ過ぎても、これはこ ....
全ての愛に報いをあげる
独り言はそう言った
全ての愛に祝福をあげる
隣で誰かがそう言った
愛して
愛して
愛して
言葉に出来ない何もかもを
ねぇ
....
夜に眠れないものを見下ろす
ハイウェイのカーブ
自転車の隣にはキリンがいて
見上げるとキリンの後ろには月が浮かんで
何かを告白したくなるけれど
キリンの前では
とても小さい
風のない日に
風を探しに行く
吹き始めるところを知りたくって
風に似た音を求めて
ヤブに入り込む
茂みを抜けたらいきなり開けた原っぱに出て
キャンプファイアーで盛り上がる人の輪を見つけ ....
月に一度の給料日なのです
たまには贅沢したって
いいじゃないですか
ちょっとの贅沢から
ささやかな幸せだって
見つかることでしょう
また頑張ろうと
気合いだって入るかも知れません
たまの贅沢くらい
....
俺は時計を持たない営業部員でつまり仕事ができない
もらい物の手帳に不明瞭な単語だけ書きつらねて
昼間を秋葉原で過ごし歌舞伎町に立ち寄ってとにかく帰ってくる
今日は何本のエロビデオを店に突っ込んだ ....
内から外へ
広がる気持ちの真ん中へ
水色のレンズをつけたまま
私は一人で立ち尽くす
うらうらとつもった心のチリを
動かせる事のない
非力な自分
描く放物線も心なしか弱く
そ ....
公園の真ん中に
ぽつんとジャングル
あの
お人よしの頂上に
登ってみたら
気がすむのかな
それとも
もっと複雑な
迷路だったらよかったのかな
そこは
夕陽の沈むのが
ほんのちょっ ....
高層ビルは嫌い
地震がくると
とても揺れるし
台風でさえ
ぐらぐらと頼りない
ただ
空に近い
秋のとうめいな空に近い
高層ビルの
高さ分
天上のあなたに
近づくなら
....
大きな家並み
さらさらと消えていく
小さいものは遠い
遠いものは小さい
当たり前のこと
当たり前のことなのだけれど
座席にまぁるく
またひとまわり
小さく白い母
毛繕いする風
瞼の ....
な〜んにも
かざるものをもたずに
うまれたままでわらっている。
眸がわらっている。
ふれれば
こわれそうなひかりが
とことことことこあるいている。
眸があるいている。
ちいさく ....
生まれ変わったら
何になりたいかって
お前は聞いたよな
俺は
男も女も生き物はいやだぜ
俺はね
街になりたい
色んな人間がいて
楽しいことも
悲し ....
あなたと
よるだけに であう うたを
よるだけに わかれる うたを
こよいの まんまる しゅるり ほどいて
よるだけしか みえない うたを
よるだけしか きけない うたを ....
兄は無口になる
暗さが増してくるこの頃
筋肉を持て余し
内部の膨張を持て余し
彼岸花の咲く川縁は
自転車を押して入る
鷺が落ちるように飛ぶ濡れた地帯
自転車を押して入る
彼岸花の咲く川 ....
やっさん
噂ではあんた、かなり嫌なやつ
あの相方がいなかったらただの禁治産者だったろうね
あんたいつの間にか、死んじゃってるんだよ
まあ、それはオイトイテ…
もし第二ミレニアムの神な ....
空の底に飛んでいく何かを眺めたいのですが
ただでさえ寒いこの部屋の 窓は開けません
想像してください
「矢印が3つばらばらに別の方向を指していて
その三角形の真ん中には 目のグラフィック ....
彼はにんじんだが
私がおろしてしまった
まな板のすみに にんじんのおろし
主人の好きな きんぴらをつくらなければいけないので
いつもより速く ごぼうを切る
トマト 枝豆も切る
その ....
夜の憂楽町線は
疲れたメガネの顔でいっぱいで
うんざりしていたら
隣に座っていた女の人が無言で泣いていた
女の人は下を向いていて
しゃにむに手で前髪をすいている
耳をすますとポツ ポツ ....
ロマンチックは
たったひとりの食事のようで
たったひとりのセックスみたいだ
ロマンチックは体では作ることができない
言葉
はロマンチックを形作る
ロマンチックはカタカナなので
哀愁として ....
地下深くもぐり
モールス信号を
生涯送り続けた男が
死んだ
その晩
世界中の
ラジオから一斉に
鐘の音のモールス信号が
響いた
今日も必死で走ったけど…
躓く穴が見えてない…
つぎはぎだらけのストッキング…
どんなに必死に走っても…
今日も貴方に会えなくて
どうでもいいやと涙が霞む…
何かを求めて走り出し
....
さみしいなんて言葉
だれが作ったのかしら。
10分の家路をたっぷり1時間半。
町中のコンビニぶらりぶらり。
台車は情緒不安定ですぐキュルキュル泣くから
遠くへは連れていけません。
なつ ....
今日も脈打ちはでたらめだ
はるか遠くから聞こえてくるよ
君の声にまざって
電波の届かない場所におられるか
電源が入っていないため、かかりません
幾度となく幾度となく
嘘はからだ ....
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