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肋骨の奥
さざめく{ルビ内海=うちうみ}
水面には
破砕された斜陽が撒かれていて
大都会みたい、
いつか つながっているという証明すらあった
いらない町みたいだね、
と つぶやくにも莫大 ....
胎内で飾られた
くるわない羅針盤が
まだ胸で光っているのがいけない

この先を覆っているものが真白い羽根なので
どうにかなると思っているのか わたしは
この発電器が雨にうたれて
錆びてい ....
干あがりはじめている
眼球に満月がうつって
わたしの魚類は決起した

精度をあげた
鱗は
  鋭利になった
  鱗に覆われた
そこを掻きむしる指先は真っ赤
な爪の間に平然と住んでいる ....
きみは
{ルビ無重力=マクロ}の落雷にうたれた
{ルビ最前線=フロンティア}に魅せられて
とんでゆく
その脳内に
{ルビ霊長類=わたし}は窒息する

アローン、
アローン、


 ....
ぶら下がっているわたし
の、創立八十年
の、生後十一年
の、柔軟を奮って弾丸になり
この袋を突き破るのは
口のゆるめ方がせこせこしているので

権力は
狡猾なのではなく
短絡的なので ....
海岸線の弧が抉る
砂浜に埋まっている
息を
ひきとったはずの感傷が濃度を上げて
臭う潮風を
追放したい

 繋がった手の
 甲の皮膚から
 繋がった肩に
 鎮座するわたしの
 頭 ....
わたしの声帯から延びた
蔦が
ビリジアンの意地悪だった
集合体は頑丈で 瑞々しい
唇をつたって、ずるずると
出ていく
あのひとの唇をつたって
入っていく
 取り返しのつかない色
 取 ....
陽射しが勝ち誇っている
圧倒される肌や
追いやられた雲たちを見まわして
自惚れている
晴天に
傘、

傘を抱えている、
チラ、不審、チラ、白い目、が、チラ、チラ、と、
きみの傘、
 ....
無邪気ではなかった
大人、そう
そうすることでしか立ち上がれない
きみが貶した街に立つ

軽やかな構成を切り離したい
上顎が
切り離したかった
きみを溶かす
舌が
強力に吸いついて ....
先刻もたましいは訴えて
飼い慣らせない宇宙は慌てて
また
握りつぶして
わたしはそれを見ていた
ひとりきり
越境も
指たちも壁につぶれてしまって
凹凸も埋められてしまって

向こう ....
きみの合鍵を駆使する
ひとつの過去が
忍び込むその、とき

怖れているはずなのに
無抵抗に引きずり込まれる、混同する
きみの残酷さは少年で
叫ぶ
わたしの幼さはあまりに過去で

 ....
胃袋をふるわせて
吐き出した
現実は
見事にきみの同情を誘って
ううう、ううう、
うなる
わたしに蔓延する味方を
蹴散らせない
縋れない

泣かないで、なんて簡単に言うからだ
き ....
持て余した
生命力を
持て余す熱が社会を築く
その隅
引っ掛かってしまった
この髪が
縛りつける
遠心力の両足
掻き回す、両腕が
振り回して
そうして
ここに残った言葉なら信じて ....
たったいま完成した
きみの思考の円錐
てっぺんからひん曲げて打ち崩したいから強く
強い骨をつくるために
わたしは泥臭い牛乳を飲もうと思った
信じられないほど白い液体
きみを信じられないと思 ....
母は逃げ出した
母は我慢強いひとだ
景色を失ってもどこまでも失っても
触手のぬかるみをものともせず闊歩する
母はとても強いひとだ
母はわたしたちを愛している
母はわたしたちを置いていけるは ....
手つかずの塗り絵です、
希望的な観測は
完成された白黒写真です、
絶望的な差異だった

容赦なく掌が、爪先が、舌が、
息が、声が、視線が、這入りこんだ
その底で
きみがなにか掴めるので ....
切り
開いた
現れた秘密
立ち眩むきみ
ただこれが信頼を顕せるのだと知っているわたし
ここは胡桃です
安心の窮屈です
近寄れないと知っているので
この膝小僧にキスをねだるのです
目配 ....
片足を曳いて
空を登る
これは頂上から下げる予定の頭
導く、斜陽は赤く、大きく
目を伏せる、花は白く、不気味に
大きく
わたしを
きみを
祝福して
大きく散るだろう花の学術名を手探っ ....
岡部淳太郎さんの伊月りささんおすすめリスト(18)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
揺曳- 伊月りさ自由詩1111-11-13
知命〜take_leave_of_my_senses〜- 伊月りさ自由詩5*09-2-7
An_ENPTY_OVEN- 伊月りさ自由詩3*09-2-5
進歩- 伊月りさ自由詩8*08-12-24
有袋- 伊月りさ自由詩6*08-11-13
空を切る- 伊月りさ自由詩5*08-11-1
蔦狩り- 伊月りさ自由詩15*08-10-26
返照- 伊月りさ自由詩17+*08-10-18
帰郷- 伊月りさ自由詩3*08-10-12
一葦- 伊月りさ自由詩3*08-10-8
消去- 伊月りさ自由詩3*08-10-8
臨界- 伊月りさ自由詩1*08-10-3
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独走- 伊月りさ自由詩12*08-9-26
止息- 伊月りさ自由詩7+*08-9-25
突撃- 伊月りさ自由詩3*08-9-22
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投身- 伊月りさ自由詩28*08-9-20

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