すべてのおすすめ
{引用=八月の月で海鳴り
それでも僕らは響く波音を知っていた}


  僕は今、紺碧の{ルビ海=マーレ}を閉じ込めた窓辺から
  君に宛ててこの手紙を書いている


  {ルビ ....
藤の実が剣のようだ
ものすごい湿気とものすごい気温の中
藤棚の下で目を閉じて
何も見ない
藤の実が剣のようだ
おそらく
噴水の前を通り過ぎる自転車のベルも
風鈴のようだが
でもそれはも ....
富山から鎌倉へ帰る旅の終わりの朝
旅の宿を貸してくれた
姉が作ってくれた目玉焼きを食べながら
居間の床に座る3歳の{ルビ姪=めい}が
赤いリボンを頭につけたキティーちゃんのぬいぐるみに
話し ....
        

旅館から浴衣がけで我々は夜の温泉街に出かける。川の橋の袂に、テントがけの射的場がある。酔っている我々はそこに入った。一本の銃がぼくに渡される。紅い人形を撃ち落せという。ぼくは狙 ....
手首の上をながれてゆく触覚を足の裏に溜める。肌からにじみでる殺意が皮脂に溶け込んでしまうのは、私の内なる単子が水を吸った海綿だからだ。水色の球面を幾度となくめぐり、針をうしなった摩擦力。角の取れた立方 .... そんな恋は、落雷みたいなもんだ。遠くのほうでピカリ、と、気づいた頃には、サングリアのワインと果物のような関係でいたい。それで、ぼくらは届かない空も君も何もかもを見上げて仰ぎ、ピース、と言って逃げる。平 .... 銀の柄を握って
車輪を回していました

沢山の貝が車輪の下から生まれてきたので
焼いて食べたり
髪に飾ったりしたのです

髪は細かく編んで
魚を獲るのにつかいました
魚のヒレはいつま ....
  イーサ・ダラワの七月の浜辺には
  遠い国の浜辺から
  いつのまにやら波が攫った
  いくつもの言葉が流れ着く
  

  嵐の後にそれを集めて歩くのが
  灯台守のワロの ....
老人ホームの送迎車から
半身{ルビ麻痺=まひ}で細身の体を
僕に支えられて降りたお婆ちゃんは
動く片手で手押し車のとってを握る

傍らに立つ僕は
宙ぶらりんの麻痺した腕と脇の間に ....
どうしようもないくらいの
空の返還が
わたしに帰ってきた
わたしの唇は青いことでいっぱいになる

空に着歴がある
それは長い長い数列
雲は遠くの蒸気と会話したりするけど
やがて話が尽き ....
玄関のドアを引く
駆け込むようにして進入してくる朝は
少しだけ暗い白
今日も天辺まで積み上がった世界で
濡れたままの人たちが歩いていく

傘を忘れたわけでもなく
濡れることに気付かないわ ....
わたしは、ほんとうは楽譜なのです
と 告げたなら
音を鳴らしてくれるでしょうか
指をつまびいて
すこしだけ耳をすましてくれるでしょうか
それとも声で
わたしを世界へと放ってくれるでしょうか ....
未開の地に降り立った
巨大なる男根魔人の翼
の陰にひっそりと咲く
可憐な一輪の花のよう
なあなたは道行く人々
の喉元に見境なくその
尖った牙を突き立てる
のだけはお願いだから
もうやめ ....
車の走る音が聞こえていて、「くらい」と「くろい」の境目をさがしています。光る点は、ぼくは、時間とは。かすかに白がぼやけて湿らせた夜、ゆら・ゆれるあふれをせきとめるようにして、すれ違う日々/人々をなぞり ....  寝息の聞こえるドア
 金具は錆び
 閉まり続ける
 中には
 黒顔のシャーマン
 人里を離れ
 壁と向き合い
 人を忘れる

夢を見た
姉が形をなくし
虎になり人に喰らいつく
 ....
錦糸町では世界が
落下を始めていた
世界は徐々に
錦糸町に収束し
凝縮し
一点の穴から
落下している
俺は子供の頃
家のものに連れられ
錦糸町駅で降りた
公園ではルンペンが ....
いってらっしゃい

と手を振り
別々の時間が始まる

あなたは電車に揺られて会社へと向かい
わたしは洗濯をはじめる

あなたはお昼頃わたしを思い出し
1時にはわたしを忘れる
わ ....
きみは静かに
美しかった
この土地はきみの中で生まれ
きみは一滴の
沈黙の中で
ぼくの愛を生んだ
走り去ってゆく時間は
さまざまの彩りの中で
きみの姿を奪い去ってゆく
空を穴が空くほ ....
ぼくは歌わなければならない
風をひとつ折って その先で
記憶する 読むことのできない詩集の中で

ぼくは歌わなければならない
花と恐竜の足跡を辿れば
やがてぼくらは海の波のひとつであること ....
知らない足音がわたしたちを追い越し
立ち止まっていることに気づく
群れるものたちのすべてが
居場所を持っているように見えて
小さな声でいることに
少しだけ疲れて

彩られた樹木たち ....
知らない方角から
明るさを取り戻してゆくかのように
朝はぼくのもとにやってくるのでした
遠くの響きは
古い透き間から静かに流れ
ぼくを取り囲むのでした
後戻りする物音は見あたらないのでした ....
僕等は話した――
いつでもない時のことを


音声が行き交った、焦点は結ばれなかった。
それは戯れだった、
語の群れの、
午後の戯れ。


僕は既に複数形だった、いくつもの相反する ....
細倉鉱山は
日暮れにどこかへ通じていく。
無人の坑道の先にあるのは
 ほんとうの地名か
親しい人のまぼろしか。

 夜,蔵王の山陰に
たよりない記憶はのみこまれ
 吹き越す風に
   ....
すとん
  すとん
    すとん
      雨
散発すると

すとん
  すとん


血が四散して
痛い

 残響が強い部屋に住んでいるので


  おとといのお ....
わたしは見る
羽の折れた飛行機が
回転しながら飛んでいくのを
人数分も無い
パラシュートが開かれぬまま
次々と脱出するのを
計算上は
緑豊かな森と
豊穣な大地と
献身的な住民たちとが ....
窓ガラスがケラケラ笑うので
つられて笑った拍子に
右手にコンパスを刺してしまった
ついでに半径五センチ程の円を描こうとしたが
うまく描けないものだから
窓ガラスはいっそう声を高くして笑う ....
いけないかしら
なにもかもを言ってしまう
ということは。
ポツリ ポツリポツリと雨が
じめんでひとりごと
どこからくるのか
しびれたあたまに すきま風
雲は虚空で身を焼いて
あの子のこ ....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった

少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
空をみあげながら どこからが宇宙なんだろうと くびをひねる

      はてしない

てのひらをみあげながら どこまでが自分なんだろうと ぼうようとする

      らちもない

 ....

降るのかしら。

先のことなどわからないから
ただ ありのままを見つめる

内側で降る
血の流れが
どうしようもなく
わたしを形作り
{ルビ廻=めぐ}る

こんなにも
 ....
岡部淳太郎さんの自由詩おすすめリスト(739)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
八月の海鳴り- 嘉野千尋自由詩16*05-7-2
公園の昼間にて- 黒田康之自由詩505-7-2
旅を終える朝に- 服部 剛自由詩8*05-7-1
射的場の光- 殿岡秀秋自由詩605-6-29
儀式- 葉leaf自由詩6*05-6-28
水蒸気のような、消えていない- nm6自由詩1105-6-28
車輪- ふるる自由詩15*05-6-27
イーサ・ダラワの七月の浜辺- 嘉野千尋自由詩14*05-6-27
手像の指- 服部 剛自由詩9*05-6-26
空の形- tonpekep自由詩45*05-6-25
雨が積もると- 霜天自由詩1205-6-20
アンダンテ- 望月 ゆ ...自由詩53*05-6-19
10W×56L- 大覚アキ ...自由詩205-6-15
そうして積もっていくのなら- nm6自由詩1105-6-15
- りょう自由詩205-6-14
錦糸町では世界が- たもつ自由詩805-6-11
バランス。- 大西 チ ...自由詩9*05-6-7
夏の日(II)- tonpekep自由詩9*05-6-7
夏の日(III)- tonpekep自由詩9*05-6-7
都市伝説- いとう自由詩22*05-6-7
土曜日の朝に- tonpekep自由詩20*05-6-7
相反する時制で- 安部行人自由詩505-6-6
裏奥羽- 朝倉キン ...自由詩8*05-6-6
- 黒田康之自由詩305-6-5
飛行機- 黒川排除 ...自由詩205-6-5
外の景色- たもつ自由詩405-6-4
通り雨と(詩人)- こしごえ自由詩2*05-6-3
すべてのあとで- たもつ自由詩4705-6-2
はざま探訪- かぜきり自由詩3*05-6-2
有形の不在- こしごえ自由詩12*05-6-1

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25