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深海に降り積もる
白い白い亡骸
音も風もなく
海面に溶けゆく白と白
波は高さを増して
世界中のさざ波が
私に寄せてくる
さみしいです
さみしいです
と
私は
この場所からも動けずに
結局
生きることは
さざ波なのだ、と
私は思う
かなしいことも
....
ときどき うたが ほしくなるのは にんげんが にんげん だから
街を車で
走っていた時だ
コンクリートの
道端を
ひとりの浮浪者が
歩いていた
....
自分が何者であるのかを忘却したヤモリが
月夜の草原を歩く
湿った土の上を迷いながら
虫の恋う声を聴いていた
冷えた風がつるりとした肌を撫でる
ヤモリは小さく震えた
きょろりとした眼 ....
チェジはかわいい
あたしたちの街の中では世界一の女ということになっている
かわいいの次元を越えた、とマイカは言い
スヌーピーの鼻をへし折るかわいさ、とハイリは言った
チェジの腕はいつも ....
きっとめをつむっているうちに
文字はしずかに
みみのよこを抜けて
みずうみのように
空の低い
やさしい墓地のように
まっさらにひろがってゆく だろう
とうめいなかいだんが ....
子供のころ
父さんの行きつけの床屋さんで
髪を切ってもらっていた
そこのおばちゃんは私の髪を梳かしながら
「○○ちゃんの髪はほんと硬いね〜、櫛が折れちゃうわ」 って笑うから
いつも ....
半分描かれた
絵のなかの原
どこへそよぐ
絵のなかの原
ことり
ことり屋の前をゆく
ことり
声は少なく
一本空けた
りんごの酒
二本めは苦く ....
じいちゃんが火葬された
あっけなかった
歪んだ炎の真っ赤な色や
煙がひたすら立ち上るところを
なんだかわからないけど想像していた
けれど実際は
でっかい鉄筋の建物の中で
僕が親戚 ....
小学2年生の時だと思うけど
ずいぶん前のことだから
1年くらいは違っていて
3年生の時かも知れない
初夏のある日
国語の時間に先生が
詩を書いて下さいと
おっしゃった
....
死ぬときはひとりでいたい
本当にひとりで
見守るものもなく
見捨てるものもなく
星が
星の瞬きが
気づかれないうちに黒く
黒く輝くように
かなしいとか
なみだとか
そんなも ....
枕のなかに棲む魚が
ゆうるりとからだを波打たせている
何の音もたてることなく
ただ端から端へと動いている
わたしは魚が静まるのを待ち
左向きに頭をのせる
魚はい ....
今
ひゅうるうるう
と
風がなった
うーともないた
マンションの中にいる少し苛立つ僕に
窓から
風は声に聞こえる
今日彼女を後ろに乗せて
あるいは
かわりばんこに
新 ....
さよならダーウィン
僕は気づいてしまったから
さよならルーシー
夢の形
宇宙からやってきた父
光ワープ
通り過ぎる星は次々と砕けた
時間さえ追い越し
....
なんで千切れてるのかな
バス停に蝉のからだがおちてる。
きっと、
もう何回も死んだのだとおもう
リーディングしているときは、
「どうかあなたに触れさせて」と手を伸ばしてる気持ちになる。
....
さよならの温度が肌に絡み
満月が揺らぐので私は
消えていったあなたのために
右の頬を撫でてあげる
幾たびも満ち欠けを繰り返すあなたに
満月は寄り添うので
もうそれ以上
満ちることはな ....
( ビーズで編んだ
クリスマス・リースを
(ももよ
君にあげよう
いま君はベッドのなか
ももよ
遊びつかれて
ねむろう ....
消えていく
痛みをなぞりながら
その痕こそが
証であるかのように
鮮やかに
鳴いている
幾羽か、を、目に
焼き付けることもなく
空の夢をよく見るのだと
その人はうつむく
....
好きだよ。
116時 @ハト通信
めそめそ
やぎがないています
またやってしまったんですか
めそめそ
おてがみなら
きっとまた
とどきますよ
めそめ ....
なんだろうねえ
きっとねえ
たおれるねえ
わたしは
うたがっても
どこまでも群青は
消えなかった
ひにくって
躊躇もしないで
にんげんのその肌の
かんしょく
....
トレーのすみっこにたまった水を
ひょい、とつまんでそれ
愛だ なんて
あたしはいくつ細胞を集めても
1にも満たないのに
キスはいつも
練習だ
別のところであたしたちが
同時 ....
しゃららん
きみのあしくびについた
すずが 鳴るよ
うさぎの
耳とコンタクトレンズ
きみに似合うのはかろやかなプリエ
チュチュの波が
ひるがえれば
はるのうまれる
....