薄く陽光がさしている
植物園では植物がよく育っている
今日は花が少ない、と言って
きみはラッパズイセンを植えている
母親に手を引かれた女の子が
しきりに言葉のようなもので何か話している
話 ....
ぼくは詩人
無は存在し
それは有の存在と
連続している
今日もまた
夜の散歩をしていると
闇に出会いました
何も見えず
つかもうとするものもなく
どこまでも深い闇が続 ....
海で眠る
大きい貝は見えない
貝は大きいから見えない
貝は大きいから見えない貝だから
大きい貝だから見えない貝だから見えない
身体ごと
くるりと曲げてしまってしまお ....
犬の耳がわたしを駄目にする
駄目になったわたしは
大きな桃になって歩く
途中遠回りして
家族に小さな菓子を買った
今日はかけっこで一等になった
娘は得意げに話してくれたが
何メートル走か ....
お見合いしないの?
って、長いつきあいのおんな友達に聞いた。
「しないよ、どんなの来るかわかんないじゃん。」
いやなら断ればいいんじゃん。
きっとさあ、
銀縁メガネでさ。
市役所の市民 ....
コントラバスは 宇宙からできている
共鳴胴は スプルースやメイプルなど森の木々から、
弓は 草原を走る馬の尾の毛から
成り立っていて、
弓に琥珀色の松脂を塗り 弦に滑らせることによって ....
夜に、わたしは
はしたないほど口を開けますから
どうぞそこから私の中に
入っておいでなさい
内側から私を喰い尽くして
やがて空洞になった私の躰は
それでもまだぬるま湯ほ ....
インテル、入ってる?
他人のセックスをみて興奮してる奴は変態
だからアダルトビデオを観てオナニーをす ....
たべかけのくっきいに
ゆうひのはがた
これは いったいぜんたい
こんせいきさいだいの なぞですぞ
そういった はかせのくちもとから
うつくしいゆうひが こぼれてる
*
わ ....
詳細は
きみの感じやすさ
詳細は
君の声
オクターブ上でキャンキャン言って遊ぼうよ
夜中にいっぱい歌って
隣人を全員追い出しちゃおう
キッチンでは妻の脱皮が始まっていた
手伝われるのを拒むように
かつて僕が愛撫したことのある皮膚を
ゆっくりと丁寧に脱いでいく
新しい箇所は少し湿って
しわしわしているけれど
やがて ....
切り刻め
春を
芽吹きを
生え初めたばかりのあわい下草を
切り裂け
よく研いだ鉈で
大地を
老いぼれた大樹を
枯れながらまだ生にしがみつく老骨を
一刀両断されたきみの住まいに ....
父の墓に特級の日本酒をぶっかけたい
父の墓をキックしたい
父の墓のまえで煙草を吸いたい
父の墓の前で女とやりたい
父の墓の前で女にしゃぶらせたい
父の墓の前でいろいろ考え ....
俺の恋人は
俺を置いて行っちまった
どこに行ったかはわかっているけど
追いかけてゆくのは大変だ
道はわかりやすい
迷うほどの道はありゃしない
あいつが行くのは
いつも決 ....
スパイスきょうじゅ
スパイクはいた
スパイクはいて
スパイスのんだ
いちめん ひろがる
じゃがいもばたけ
おくさんうめたの
だれでしょう
*
あさ うたたねをしていたら ....
幹さん、
どうでもいいですけど
高円寺のキャバクラで詩人っていう名刺配りまくるのはやめて下さいよ。
大将二号店で2本目のつくねをほおばりながらキムがつっけんどんに言い放った
どうでもいいけどキ ....
正月に日本酒を飲みながら詩を書いていたら
火曜日に詩を教えているキムからskymailがきた
「幹さんやばいっす、オレ犯罪犯しちゃいそうです」
『ちゃんと詳しく説明してミソ』
「ちんこ ....
先生
唇が、
ふるえてしまいます。
電線に
飛行機雲が斜線して
雨上りが地上をうっすらとはいでいきます
あの日
陽炎で生まれました
わたし
浮遊する
夢みるからだで透けていき
....
糸であやつられたカイト
空をへんぽんと翻る
だが糸がなければ
凋落する
自由ではない
手に結ばれることによって
初めて自由になれるのだ
....
とにかくピンクだったのです
とにかく
と
じゃりじゃりになってしまった雪を
踏みしめ踏みしめ
私はつぶやくのです
とにかくゼロだったのです
とにかく
限りなく
完全には
ゼロ
....
嗚呼 もう夜明けだ
囀りが聴こえはじめる頃なら淡色でいいよ
鳥達が遊びに行ってしまった頃はもう耐えられない 瞳が痛い
希望は痛みだ
嗚呼 また日が傾き始めた
囀りが聴こえはじめ ....
てのひらにドアを取り付けた
白くてとても素敵なドアなので
一度遊びに来てください
と、旧い知り合い数人に手紙を出した
一通が宛先不明で戻り
それより早く金を返せ、という返事が来た以外は
い ....
まだぼくはほんとうに人間を愛していないのかもしれない
ぼくはぼくのなかのぼくを愛しているだけなのかもしれない
ぼくはひとりのナルシストなのだろうか
ナルシストが時代の流行であった ....
庭の木にセミの抜け殻があった
手にとって握りつぶすと
ぬちゃ
それはセミの抜け殻ではなく
抜け殻のようなセミ
もて余した僕はこっそり
ぬか床に隠してしまった
夕食の時
今日のぬ ....
おおきい かあさん おおきいな
ちいさい とうさん ちいさいな
ひるね ひるね らいおん ひるね
おしろのてっぺん こうじちゅう
+
さとうと えんぴつ けんかし ....
灯油ファンヒーターを
いもうとがつけておいてくれた
ありがたかった
割れて 砕けて 裂けて 散る*
波がみたかった
マックでアイスコーヒー飲みながら
夜の海が見 ....
少年は貧しかった
少年は淋しかった
少年は孤独だった
父も母もエイズだった
少年に稼ぎはなかった
食べるものも
着るものもなかった
少年に運命などとい ....
夕暮れ時のトイレで俺は
花子を殴る
ドリフの大爆笑のオープニングテーマを高らかに歌い
俺は花子を殴り続ける
だって、お化けだぜえ、恐怖だぜえ、恐いんだぜえ
俺は花子を殴る
花子は微 ....
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あ ....
俺を押しこめようとするな 俺を狭くするな
俺は到着したばかりの華麗なオタクちゃんだ グルグルパンチだ
昨日より少し大人しい犬の頭を撫でているのだ
こら そこのお前 おれを押し込めようとするな ....
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