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朝日はね
特に良く晴れた日の朝日はね
そりゃあもう別嬪さんで
たったひとりで見ていると
もったいないような
独り占めできてうれしいような
不思議だね おれは
新しい朝と結婚したくなっちま ....
海が
めくれてゆく
いくつもの
いくつもの
海が
めくれて
岸壁から
追い縋って
宙を泳ぐ指先に
紫貝のように
閉じる音楽

 (母は海に還ったのだ

街が
たわ ....
 
 
郵便受けに海が入っていた
海配達の人が入れたのだ
いかだが浮いてる
昨日遭難したはずの僕が
新聞を持って手を振っている
 
 
腹をすかせた人に
必要なのは
おにぎりであろう
一篇の詩など
あったところで
なんの役にも立たないのだ

心に空洞をもつ人に
必要なのは
一篇の詩であろう
おにぎりのように
それ ....
おかあさんは空からばらばらになって降ってくる
ぼくが呼ぶたびに、こたえてくれるのだった
地下深くにねむっていたまものの声が
その空に響くたびに
十五年という年月の短さと
まだ君は鉄道を降りて ....
 
 
人が眠っている
眠っている人を起こして
人はまた眠る
金物屋の主人が寝言を言う
釣り堀から帰ったばかりのように
 
 
ある日
おもい扉の
無言に背をむけ

行くへのない
路線バスにのって
靴をながめ

芋虫のような地下鉄と
真昼の亡霊たちの
ガランとした電車にゆられて
未来をあきらめ

だれ ....
赤ちゃんは
眼が見えるようになると
まず
人の顔を認識するらしい
丸の中にふたつの小さな丸があったら
それだけで顔だとして
笑いかけるように
出来ているらしい
そうすることで
世界は ....
夏にあいたひし形の穴から
海が溢れだす
きみは定規で水平線を引き直す
クジラが大きな口を開けて
ぼくの腹話術で、あー、と言う
 
 
雨上がりの金属に
陽ざしが降り注ぐ
澄んでいく歩道橋の上で

ブルゾンは人の形
人が着るから
着なければならないから

産まれてくる、ということに
ここにいる、ということ ....
そうして
列車は燃え上がる火山の山腹を廻り
向かい合って座っていた僕たちの
車窓から美しく災害が眺められた
列車のドアから乗客たちが飛び降りていった
飛び降りては降りそそぐ炎のように水鳥を抱 ....
ほね ほね ほね ほね
ほね ほね ボーン と跳びはねる。

骨はどこ?
探してみても骨折り損
おまえは骨のある奴だ
 と思っていたが大間違い
見当違いの 骨抜き野郎

ほね ほね  ....
 
 
軟らかな自転車に乗って階段を下りる
ハンドルが人の手みたいに生温かく汗ばんでいる
階段の下には民家と民家に挟まるような形で
小さくて細い劇場がある
切符売場で数枚の硬貨を出すと係の ....
 
 
深夜の冷たい台所で
古くなった冷蔵庫が自分で自分を解体していた
もう冷蔵庫であることに
いたたまれなくなったのだ
時々痛そうにはずしたりしながら
それでも手際よく仕事を進めていっ ....
私は眼鏡をかけてよく負ける、無重力を味わうかのように。
鳩尾に鈍痛が走るように、断腸のように、そのように。私の泣かない場所が、
糸巻貝のなかで爪を噛んで噛んでいる。私という肉はすぐに罅割れ、れ ....
たくさんの花を枯らした
サボテンやアロエも枯らしたし
ケフィアやカスピ海ヨーグルトも駄目にした
それでも命は大切にしなければならないからと
小さな虫はその形や色が嫌いでも
なるべく殺さず ....
きみをひらくと
なかから ちいさなきみが
ぽろぽろと はだかのままで
たくさんの 砂金のようにこぼれて
たくさんのきみは 少しはずかしそうに
ひざをかかえてる

 ....
そうだ
そう云うと彼女は乳房に埋もれていた私を引き剥がし
ピシャッと
私の目の前でテトラポットから飛び降りたのだ

海の中で泡になってしまった彼女にかける言葉を持たない私は
恐ろしい疑念や ....
針のあなに
糸をとおす
磨硝子からにじむ
光のあわい
しずけさ
のおくのほうから声がする

……わはわをたまわる)

柔軟にしなう
わたしの呼吸をなぞるのは
失われた かなしみ
 ....
夕焼けは決して終わらない
さっき、オレンジのストローで
おもいっきり膨らませておいたから
輝く小石たちのいるポケットの輪郭
指先の土は、もう、乾いた


工事現場の重機の群れは
拳を打 ....
持っているの?
あなたに尋ねられて
思わず
持っているよ。そんなものと
答えてしまった
だけどね
ほんとはね
バッグのなかを
さんざ探しても見つからなかった
どこかで買えるのかな
 ....
どうも!
かくれんぼで鬼になったのはいいが。
百数えている間にみんなに家に帰られた事のある。
そんな日の夕焼けが目に沁みて仕方なかった僕がここにいます。


どうも!
当たりつきのアイス ....
道路に似た人がいたので
間違えて歩いてしまった
慌てて謝ると
よくあることですから
道路のように笑ってくれた
よくあることですから
そう言って
許したことや諦めたことが
かつて自分 ....
簡単な申請をして
小さなお役所のソファーで
僕らは順番を待ってる
制度はいつも公平で
人に優しい
前に座っている子供が
しきりに咳きこみ
母親と思しき人が
その背中をさすっている
僕 ....
今日は朝から
角を曲がる犬にたくさん会った
いま目の前を歩いているこの犬も
やがては角を曲がるのだ
君にその話をすると
頷きながら聞いてくれたけれど
僕がどれくらいの角を曲がってきたのかは ....
脊椎動物として生きる
その悲しみ

そして
珍しく雪が降った
朝の喜び

もし君が生まれてきたら
おもいっきり抱きしめて

そんなことのいくつかを
教えてあげたい
ランドセルから鉄屑をまき散らし
小学生たちが歩いていく
賞味期限が切れて
生温くなった答案用紙を
噛み砕きながら
テレビで見るホームレスも
ここにはいない
家がなければ居てはいけない
 ....
多分僕は 優しくなんてないし

多分僕は 沢山間違えてる

多分僕は ひどくひどい人だし

多分僕は 多くのモノを失い続けてる

多分僕は 君の知らないところで

僕すら ....
ぼくは詩人

無は存在し
それは有の存在と
連続している

今日もまた

夜の散歩をしていると
闇に出会いました

何も見えず
つかもうとするものもなく
どこまでも深い闇が続 ....
海で眠る


大きい貝は見えない
貝は大きいから見えない
貝は大きいから見えない貝だから
大きい貝だから見えない貝だから見えない


身体ごと


くるりと曲げてしまってしまお ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
黄金の花嫁- ただのみ ...自由詩28*12-4-22
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ジョバンニへ- 佐伯黒子自由詩10*12-3-4
age10- たもつ自由詩612-3-3
ある日- 浩一自由詩512-3-2
- そらの珊 ...自由詩19*12-3-1
age4- たもつ自由詩912-2-26
ブルゾン- たもつ自由詩9+12-2-22
大鉄道旅行時代- 片野晃司自由詩2810-3-24
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劇場- たもつ自由詩1010-3-19
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区別- たもつ自由詩1207-2-6
制度(制度)- たもつ自由詩13*07-1-26
制度(角を曲がる)- たもつ自由詩1607-1-25
制度(悲しみと喜び)- たもつ自由詩1107-1-23
制度(街)- たもつ自由詩1507-1-21
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