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日、いちにちと
冬のけはいが濃くなり
きのうより
はやくなった夕暮れ
人はみんな
もうこれ以上は失われまいとして足早になる
冷気はあしもとからやってきて
なにかによばれたような気がし ....
人はとまどうのに
季節にとまどいはなく
電線の上の二羽の小鳥にも
とまどいはなく
おひさまにむかって
しみじみとふくらんでいる
楓の木は赤く燃え
天国に届きそうで届かない
よく晴れ ....
十月だというのに夏のなごりの暑さは
公園に夕暮れが訪れても続いていた
娘とふたり
野外フェスティバルに来ている
紙に書かれた手書きの進行プログラム通りに
何人かの歌手が次々と登場しては演奏し ....
夢のなかで喋りすぎて
目覚めた朝の喉は
砂漠の楽器
おはようの声は
なににも震わせず
深い秋の空気に溶けていくだけ
あたりまえのような朝が(声が)
あたりまえに訪れるわけではない ....
金木犀がたった数日でいなくなった公園で
わたしたちはどんぐり拾いをした
ここにも
そこにも
あっちにも
おいで、おいでと
どんぐりがわたしたちを呼ぶから
キミのズボンのポケットはすぐにい ....
夜空に雲たちが浮遊していたが
いくつかのそれは白い馬だった
わたしの馬はどれだろう
目を凝らしてみても
それらは似たりよったりで
見分けがつかない
夜に生まれたものたち
東の空に出たばっ ....
あ、季節が変わったなと
皮膚がおもう
湿度を手放した風が
腕の産毛に触れて去ったあと
なつかしい秋を感じた
蝉のいのちは地の下へ
コオロギの鈴と入れ替わる
空も変わった
こんな ....
なつのよる、満月の路や
夕暮れてゆく公園、回旋塔の下や
線香花火が咲いた、一瞬の光の下で
見つけた
かげぼうろたち
かじってみたら
やさしくほどける
ほおってみたら
ふうわり浮かぶ
....
指輪を脱いだ指は
素の自分に戻って
ちょっとほっとしてる
全然きれいじゃなくても
それでいい
それがいい
しわしわの
手の甲の指の
第二関節にある
眠たそうな沼みたいな目が
笑 ....
昨日産まれたばかりの吾子は
わたしの横で寝ている
なんてかわいいのだろう
産毛のような髪の毛
耳も口も鼻も小さいけれど
とても精巧に作られていて魅入ってしまう
閉じられたまぶたの中でどんな ....