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ああ、もうすぐ
あなたの誕生日
秋だというのを
忘れそうだった
忘れてないけど
わたしはと言えば
くちびるを噛んで腫らしてる
ジグソーパズルは吊リ上がり
笑顔も汚れてしまったかもね ....
濃紺のとおいとおい沖
そこだけ白く光る帆
透いた筏の上に
栞が挟まっている
厚い無地の記憶に
プレスされた 絵はわたし
どんなにのぞんでも
やさしい明け方の帯は
沖へと踊らされる
....
白線の外側には
出られなかった気持ちを
服のポケットで押し砕く
(一糸乱れないように)
フェンスの向こうにある
夜明けという抱擁の残酷さよ
迷い子の蛍たちが
溶けたチョコレートを ....
いつもの会釈にお決まりの挨拶
それにあとひとこと
胸につかえたしゃぼん玉を ひとつ
ことばに込めて放ちたい
世間話にも地雷はあるかなとか
ぜんぜん気の利いたことでもなく
毒にも薬にもな ....
会釈と定型のあいさつに
あとひとつ何か言って
少しだけ 少しだけ
つかえたしゃぼん玉を空に放ちたい
その話は地雷かなとか
ぜんぜん気の利いたことでもなくて
毒にも薬にもならないような
....
首筋に滲む汗が皮膚のくぼみで停滞している
めずらしく鬱屈したものとひっくるめて
無になれない顔になったまま
往復するうちわが申し訳程度に会釈する
トロトロとした頭の中でなにかを想像してみても
....
毎夏見る帰省のニュース
しっかりと時間を費やす 家族たち
それを眺めることが毎年の行事
思い出すのは病室の洗面台や
トラバーチン模様の天井
となりの家から夕ご飯の匂い
てん ....
月が光ったり包むように照らす記憶のない、まだはじまったばかりの夜だった。
顔の何処かで泣かないように空に瞳を任せていた。どこを見上げてみても
わたしが知らないだけで、星はやさしく奏でていたんだった ....
勝手のうえに
勝手をこぼしてたら
「それをじぶんに言われてたら
どう思う」という矢印が向いて
ハッと
黙ってしまった
おむつなどを買いに走り
熱り疲れた頭で
排尿日誌がいるか、とか ....
知らないところでさり気なく
「うちの妻が」と言ってもらいたい
時代に逆行しても
「思い出に残る熱い先生でした」と卒業式の寄せ書き
オルガンをうまく弾けなくても
「あの子守歌、背中がこ ....
(また降りそうになってきよった)
泥酔状態で唄う桜坂 音痴でふざけすぎるけど
黒いネクタイと白いワイシャツが いつもより艶っぽかった
「泣きそうになったわ」と あとで口にした
その ....