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肌と肌
擦れ合い
デコルテに
爪痕を残す
なんてことのない
ここは魂の坩堝
外は風が冷たい
冬の終わりに
また交われた歓び、哀しみ
背中にまとわりつく
不快な重み
正体は知ら ....
こんな話、どこかで誰かにもしてみたい
心臓の鼓動と
もう一つ
人には心に脈拍があるのです
意識していないとき
心臓がそうであるように
いつも揺れているメトロノームの振 ....
雪が、雪が 降ります
しずか、静かさ 纏うように
アスファルト道、しろく純白に染め抜き
雪が、雪が 降り続けます
遥か遠い国からの
見知らぬ差出人の筆跡に
しばし眼を奪 ....
深夜から勤務の節分は
その年幾度目だったろう
もう分かっていた七時過ぎの休憩
だから持ってきていた
サッポロ一番味噌ラーメン
休憩室のガスコンロでぐつぐつ
さて、からだも ....
四足歩行から二足歩行へ、いつの間にか背が伸びて、視界は地面から離れていった
地面を手放して、人工的な空を話す
泥や砂にまみれた手で作った空想は、どこかで今も呼吸しているだろうか
具体的な空想 ....
「星ころし」
悲しいことがあると
星を見ていた
お姉ちゃんは夜に泣く
一番小さな星を探していって
順番にころしていた
悲しいことが多すぎて
埋葬された星の数は
あと一つで百になる
....
グラスの縁に
刺さっている飾り切りレモン
指先がそれを摘み上げて
絞ります
グラスに
シュワシュワと濃度を増した酸っぱさが
沸きたち消えていく
その香りを 見つ ....
夜風に紙垂がゆれる
一文字だけの汗
斜影のない自転車を追いかける
金星はいつも金星で
見上げれば笑う檸檬の月
御前三杯酢をと乾く舌から 季節は巡り
....
あの空の下からあの空の向こうまで、なだらかにせりあがりなだらかにくぼみながらどこまでも続くみどりの丘、その丘を白くつぶつぶと覆いつくすほどのあの羊たちがいっぺんに、シーツをめくりあげるように消えて ....
人間は一人立つ余地があればいきてゆけるものだ
人間は愛するものをうしないつづけてつよくなれる
だれもふりむかない路地裏の暗闇のなかに人生があったり
戦場を迎える兵士は誰に誕生日を祝ってもらえ ....
雨が降りそうだからこうもりを持っていけ
出がけにそんな言葉をくれた人はもういない
傘のことをこうもりと呼ぶ人はもういない
雨に打たれることを案じる人はもういない
雨に打たれたことのある人は ....
なにも 間違えじゃあなかった
自転車とは 自分で ころぶから自転車
自転車の練習をして みごとに こけたのは わざと だよ
わざと 痛い目にあってみただけさ
新しく自転車を買って その ....
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