流れ星にもそれぞれ名前が在って
それらには台風に女の名前を付けるのと
....
若いなあと思いつつ同じフレーズでまた泣けるフジファブリック
花を抜くのも潔いのが名ガーデナーらしい
ビスが一つ落ちている。もう元の場所には戻らないだろうな
歩行者一人行かせて不満げな ....
今日もしんと快晴なり 、
深々と到来するこの夜明けに
あちこちでボール投げ合う
あの子らの声 木霊して
置き忘れてきた時の狭間
宏大な奥行き只々広がり
既定の時の流れ凍結さ ....
茄子は火炙りの刑に処する
獅子唐はオマメに挟んでおけ
ああ、俺が見てやるから
1.5meter離れて見てやるから
人参は小指に切り落として 玉葱の皮一枚だけ ....
軽やかに繊維の浪の上を滑る
ぶウうぅんと唸りながら
僕が通ったあとはふんわりと浪が笑う
憂いを払い落としたように
さぁ、まとわりつくように
こびりついた君の埃を吸い取ってあげよう
初め ....
昔もらった
ポケットティッシュが
引き出しから出て来た
あの頃はしあわせだったけど
今はそうでもない
ふと思ってスマホで
「しあわせ」を検索してみる
奈良時代は
為の文字の「為 ....
夢から夢に架けて羽ばたくときに、ちょっとの壁と扉をなくした出口は褪黄色の海が、いや世界が、フチだけ 描いてある光景で、今いるものがみちで届かない場所とすれば、水域はすこし背丈が高く、ここから下ってく ....
あなたはくちびるを固くとじて
わたしは
かみなりをきいていた
無人でない駅のひとごみ
ベンチに残る
前のひとの温度
夏 情欲とみまがうほど
はげしい雨が降って
わたしは乱雑な鞄のな ....
蹴られたこども
ふたりはどろまみれ
ひとりは白濁して
もうひとりは赤黒い
手をつないで
どこまでも走る
着ろ、差し出せ、選べ、脱げ
森では本が喋ってる
文字から孵った蝿たちが
鼓 ....
生まれた事が嫌だった
父はギャンブル狂で
女にもだらしなかった
雨漏りと床が抜けたあばら家に住み
幼稚園にも行けず
ろくに食べることもできなくて
何時も腹を空かせていた
学校では給食費も ....
私の頭の中のかわいい小虫
私の水たまりにぬれた太陽で游ぐ小虫
固い脳の幹がこんなにも目を詰んでは
住めなくなると申し訳なさそうな小虫たち
雷に撃たれた電信柱の記録
なんと ....
レタスがいのちをもっている。
わたしなんかより。
小さく千切られた彼のほうが
みずみずしく、麗しく、愛くるしく。
レタスにフォークを突き立てる。
ドレッシングの不純さが、
少しだけここ ....
眠りから醒めた夢が
空の中に溶けていく
名前も形も知っているのに
呼べないまま
その弱さでも
鳴らせるものが欲しかった
花が散る時に
ひらひらと聞こえるように
最後まで美しく
....
もうその土地は更地にして
地主さんへ返したそうですが
礼文の古い家 元は漁師の 父方の親戚の家には
ものすごく腰の曲がったおばあさんが
何年ものあいだ 一人で住んでおりました
私の母 ....
*
ねじれた果実の熟すころ
死は昨日のように訪れた
時間の底に焦げついた
小さな獣の影
かどわす風にいま黒い水を渡る
古い橋の真中から
栞を落とす子ども
その萎えた手の甲か ....
一
面取のない
三角定規で引いたガクガクッ
こころもとないあの日の線
それ宙の果にただようガスの森
誰かが時を人と無理に結ぶため時を隔て
違う誰かが拡がる空間を国家としてな ....
月に葉隠れとはいうけれど
そぞろ虫の影におびえる酩酊者
道端で眠る小地蔵が倒れて
まだ青い無花果の実が零れ落ちている
....
すずめを追ってヒヨドリは
桜の色葉をくぐりぬけ
共に素早く弧を描く
糸でつながったみたいに
*
落葉が元気に駆け回っている
ヌードになった街路樹の
先っちょでわずかな枯葉が千切 ....
おはようを言わない朝もある
おやすみに似合わない夜もあれば
留めておきたくない風景もある
鉄塔を怖がる鳥もいる
拾われて来た子のまま育てられた
白と黒、光と闇、どちらの味方もしなかっ ....
それは彼方からやってきた
アントニオ猪木ってやつだ
とても大きな塊で
サンプラーザでの生誕祭
ぼくは警備員だった
客席通路のまんなかあたり
猪木は全速力で走ってきた
ぼくは猪木とぶつ ....
友だちは欲しかったけど
仲良くなると怖いから駄目
正しいことは知っているけど
息が苦しくなるからお終い
薬じゃ治らない恋をした
私から私へと手に手を握って
大丈夫だよと言って欲しかった ....
イルバ赤坂ラウンジ是枝様
いつもお世話になっております
早速ですが手短にご報告申し上げます
先日の英雄ひよこ脱走の件につきまして
この度は大変ご迷惑をおかけ致しました
まさか一匹に留まら ....
理由もなく濡れるのが嫌で
だから雨が嫌い
蔑まれてでも私を救ってくれた
その人から逃げ出して
遠い軒の下
晴れ間を待っている
だから世界に雨が降る
だから世界は濡れたがる
今日 ....
結局のところ、残されたのはがらんどうの部屋のみだった。北に空いた窓から、曇りがちな今日の午後の光が遠慮がちに忍び込んでいるだけだった。気づかなかったけれど、午前中には少しの間雨が降ったらしい。窓か ....
一斉に発信される音を
受信したラジカセで変換し流す音楽が
ドアも窓もない部屋で飽和していき
ベッドの上で潰れそうになるから
カセットテープに録音してはつめを折って
レターパックへ入れても宛先が ....
愛した人よ。僕は光さんざめく山道を歩いている。
霜が溶けて濡れた土の匂いが、僕らの約束を祝福している。
赤い車は麓に捨ててきた。君をいつも助手席に乗せていた。
僕らは片時も離れ難かった。君の ....
ジグソーパズルに迷い込んだ
僕の愛だけ見つからない
空には無数のマシュマロパイ
僕ら楽しい遊びをしてただけ
少し夢中になっただけ
長い睫毛の未完成な君
開かない筈の門が開いた
さよならの ....
色は黒いが蝿ほどは大きくはない
主菜の皿の傍らで翅を休め
じっとしている
我が家はドアも窓も締め切ってはいるが
何処かの隙間から匂いに釣られ
入ってしまったのかもしれない
もしくはきっと見 ....
地下駐車場に止めてあった高級外車にガソリンをかけて火をつける
三つ又の銀色のエンブレムがボンネットの先端についている
メルセデスベンツぐらい、クルマに興味のないおれにだって分かる
炎が上がり、熱 ....
欲しいものがなくても
コンビニまで走った
あの人の好きなものを
まだ知らないから
お酒も煙草も
ガラスの向こうで
光って見えた
いつかは
扉を開けて
渡せるように
少し ....
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