「今日の貨物も 重そうだな」
「ああ 空の雲も 重そうだな」
凍り付く森の枝先 すり抜けて
貨物列車がゆく
港の駅まで たんたたんと
コンテナの奥はガラスの水槽です
銀の平原を ....
僕の部屋は世界の一部を切り取ってできた図書館
明るい修道院でフィヨルドの冷たさを内包している
戦争でたくさんの僕が死んでゆく
たくさんの君が失われてゆく
誰も混沌からの道筋を知らない
....
何かを知りながら生まれてきて
何かを少しずつ忘れながら育ってきた
見知らぬ街でのZDF彗星のように
ドミノ倒しさながらに価値が顚倒するので
5万年先にどうなっているのか予測できないでいる
....
柔らかな機械
拘束されない想像力
サイバネティクスの夢は
四肢をもがれたバッタのように
プレイリストのなかに埋め込まれるのだろう
残酷な朝は天体を廻し
透明な朝をスルーしてゆ ....
商店で見た山崎パンの
バターケーキが豪華に見えた
電話ボックスに置かれた缶コーラに
毒が入っていたニュースが怖かった
ユリゲラーがスプーンを曲げたかと思うと
あのカルト教団の教組が宙に浮いて ....
四時に起きて朧な月を眺め入る
おでんつつきつつ夢の音楽を聞いている
さびしい、部屋を片付けつづける
生きて行ければそれでいい
善行を積まなくても良いのかもしれないが
澄み切った悪行ってあるのだろうか
調和を前提とした濁りがあって良いのだろうと
石畳みの街に日差しがやわらかに差している ....
けさ少しふって今しずかな朝です
僕はときどき深く潜りこまなければならない自分を抱えている
僕はいつも以上にきみとの距離をはかりがたくなってしまうが
言葉と音符が似ているのならば変換ソフトがあれば良いと想う
けさは不安定のピエロであります
くすり服し苦味にお湯飲む
雲水にあこがれて物手離してゆく
使えるものは使い切るボールペン
きみはまっしろな歯を見せて笑う
中也読んで軽鬱になってカフェインでボヤボヤ
軽い鬱どうにかしようと居間片づける
春風強くせんたくものが揺れている
洋菓子を久々食べて世界よりとおく外れて
ベランダで煙草を喫 ....
冷えるが寒くない春となったよ
郊外に歌姫と暮らしている
祈りは熱さか 祈りを知る
春の妻の歌のお上手
雑な部屋となった、あす片づける
本に線を引こうか迷う
じぶんを ....
ひとり 銀河にひとりとなり
荒れた手もはたらいた手だ
甘味のない夜の居間、炬燵
おこずかい帳ひさびさつける夜が永い
水を見習いこころ透明にしてゆく
ぼくに真っ白な本を一冊ください
そこにポンチ絵や日記や駄文を気ままに描くのです
丁寧な装丁は要りませんが季節の押し花なども貼り付けて
グーテンベルク聖書を冒瀆するわけではないのですが ....
ええ今日で最後のホームルームだな当たり前か今日はいつもよりちょっと変かな俺っておい誰だいつも変とか言うなしかしこれからはお前達も先生の顔を毎日見なくて済むわけだ嬉しいだろ皆顔を上げて俺のイケ面を見納め ....
僕たちはそれぞれ違う重さを抱えて同じ言葉を求めて
普遍は真理とはイコールではないにしても難儀な旅をするのだろう
愛したものの破片を集めてはならないのだと想う
戻らないものの再生には魔術が必要 ....
歴史は勝者のみによって編纂される
ゆえに歴史を疑え
きみの記憶のなかの恋人は
常に美化されてゆくかもしれないがその過程を
冷静にわきまえて恋はしようね
傷つかない体験はないのですが
....
時速16キロの自由はとてもやさしい
細分化されない感覚が基調演説する共和国のユートピア
孤独や言葉が加速されない世界に
きみのスクーターがポイントして
僕だけが時速100キロで仕事しな ....
芽吹く木々にあこがれて黙している
雨のいきおいの中にある溜息
祈れば胸に熱いものあり寒の明け
買い急ぐことのり弁がまだありました
のり弁に妻が喜んでうれしい
のり弁ぱくつく妻を眺めてうれしい
妻は風呂場へ私はベランダへ向かう
ちかちかする星が電線にひっかかってい ....
ひとり夜明けに声を聞いた
春風吹くじぶんを変えてしまいたい
詩ノート汚れぬまま置かれたまま
陽の光り受けてぐんぐん元気になってくる
純、過ぎるこころは時にひとを殺めたい
....
春風受ける丁寧息をする
皿洗うに水を飛ばした、反省する
増えてきた白髪、そのままにしておく
欲しいものが沢山ある妻と暮らしています
路上、玉葱が落ちていた
孤独感情もなく ....
思想的骨格なんてないんだ
生活の輪郭は薄葉のように
透けて見えているさ
命の混迷はシナプスの独語にすぎない
教育は幸せの基礎を教えてくれる
ルール。道徳。
大好きな理科。
ち ....
詩人はたまに発掘される
死人はときたま以外には埋葬される
しょーもない音楽が僕のちからならば
ときどきとおるきみの声がとてもいい
貫通しないトンネルはいまもあって
とても大好きな僕の ....
妻が泣きはじめて時がとまる
霞む三日月 童話の世界を歩く
カレーライスと妻が待ってるおうちに帰る
仮寓の蝸牛には
やり残したことがいっぱいあるのだが
奇遇という気球に乗って
無音の空の旅をしてみたかった
修羅場という修羅場がなくて
絵になる風景も知らずに
雑踏に紛れて遺伝子 ....