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今まさに開いた花に蝶が来る
命の奇跡を見逃した
誰かと入れ替わった事に気がついた
この空いっぱいの蜻蛉どこへ行く
南の山から転げ北の海に流れ着く
サギは白い服着て人を欺す
水の夢を見て泳ぐ
退屈の有り難みを思い知らされる
底まであと何分
水面を見つめ続ける
料理人にも退屈は平等に来る
挨拶が照れくさくて苦手だ
やり残しの仕事が不眠へと誘う
脂っこい地獄の脇を通る
嫌なものから解放されない
プラネタリウムでブラックホールを探す
懐かしい歌から逃げおゝせる
過去の退屈は今の郷愁
体育館の声に耳そばだてゝ
夕立とあの雲の行方を誰が知ろう
シムシティの原発でさえメルトダウンする
雪は降れどもいそいそ出かける
夕焼けの鐘もう帰ろうと呼んでいる
元気な街の駅へバスで行く
雨に触れ雨だれに触れ
スリッパの裏側に張り付いたセロテープを剥がす
他人の悩みが降りかゝらぬよう歩み遅め
酔っ払っている時間が勿体ない
経験に従い今日は家に帰る
部屋を出て溜息をつく
男だの女だのにまだ拘るのか
湯船に片足だけ入る
替え玉の前にスープを飲みきる
魅力に欠ける者は己に似ている
二人並んで牛丼を食べた雨の深夜
退屈に任せ明日の掃除をする
怖くて電話ができない
和やかな時が知らぬうちに訪れる
思い込みで現実逃避
他人の鼻歌に苛立つ
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