すべてのおすすめ
濡れ伏して
夕闇の 湖面に一艘
舟影とおく
浮夜で だれぞ、
釣り糸垂れん
やすらかな君の寝息をそっと聴き
独り静かにグラスを傾むける
まどろむ君に{ルビ詩=うた}歌い
もう一杯とキッチンに氷を求め
明日の天気を占った
酔い夢を…
否! 良い夢を
....
観客が立ち上がると
わたしは魚になりそこねて
また化粧室の蛍のよう浅い渚の飴玉、
ハミングしたんだ、追いかけるように
誰かのかわりになって
担って、産まれていった
無音のクラッカーは香 ....
薄氷の上を
危うくも繊細な
ステップ踏み進む
いつ崩れ瓦解しても
後悔だけはしないように
慎重に大胆に歩み行き進む
この社会は獰猛な場所
人と人が競い差別し殺し合い
狭い半径に官能 ....
凍窓に
陽、昇りし今朝の
比良を見ゆれば
お引摺りの花嫁御寮
おもわせる
電子レンジを開ける
中には海がある
波間にレンジが漂っている
泳ぐことは苦手だけれど
意を決し飛び込む
君との二人分の
ご飯を温めたかった
何とかレンジに辿り着き
扉を開ける
....
ズズズズズズドンッと
とつぜん、学校が
手足をのばして
立ち上がる
で、ドドドドドッスン
ドスンと、しこを踏むと
走り出した
窓から、扉から
子供たちがこぼ ....
{引用= object. }
人の手
に依る。
風雨の蒼に堆積した
埃を払う
木肌
に触れる
涼しげな冬
の絵に
雪が降っている
窓の外には
いつもの
静かな朝
....
レタスの先端
心音のひずむところ
温度の終わりに
少し触れる
つめたさ
教室みたい 、
と思う
穏やかな湾の入口を
句読点が航行する
健康的な食事
その後で
わたし、 ....
夜の{ルビ静寂=しじま}に独り遊びは慣れている
悲しみと 愛しさの狭間でウイスキーをあおり
君を待つ秒針だけが過ぎてゆく
期待と不安がよぎる交差点
ヘッドライトだけが過ぎていく
ぼく ....
ぼくが帰るとき
いつも停留所ひとつ抜かして
送ってくれたね。
バスがくるまで
ずっとベンチに腰かけて
ぼくたち、ふたりでいたね。
ぼくの手のなかの
きみの手のぬくもりを
いまでも
ぼ ....
寂れた町の匂いのする
季節外れの席でビールを飲む
砂粒だらけの赤い足で、
板張りの床を踏んでいた
濡れた髪の女の子が
ハンバーガーとポテトを運んだ
台風が去った跡の景色が、
そのままこの ....
永遠と思ったことが
後悔でしかない
春先の霞が澄み渡る風に飛ばされ
蒼然と光が落ちる
青さを一層増す丘陵地帯
あ、あの、あのね
ね、その
それ、 おきて
居ないものを見た
居 ....
あの人に
人生への愛を教えてもらった
いのちが晴れる事を教えてもらった
青く
果てしない空
私の心は今 澄んで
深呼吸をした
飽くまで
人生の中の
平凡な一日の事だった
貴方と逢っての帰り
雨雲が 電車を追うその先
西山へ落ちかけた陽が鮮やかに薄紅で
大きい
稲の穂先に むせながら
田の中を歩き
やがて深い竹林に入った時
....
沸き起こりながら
奥底から響き立ち襲い来る
このなんとも憂鬱に芳しい
逆巻く熱波更に突き抜けながら
爛熟した強度の破裂に継ぐ破裂に
明度増しゆく意識の視界開きひたすら
私という人格の中 ....
雨は涙ににていてね
いつかこぼれるものなのよ
どんより空を見てごらん
うるむ瞳にみえるでしょ
雨は涙ににていてね
とまらなくなるものなのよ
空がわんわん泣くのなら
今はいっし ....
眠りについた赤子の
涙一筋
大人の期待と
赤子の不安
(先立つ不孝をお許しください)
一筋の涙が辿った
走馬灯よりも短い
私の生涯でした
大人の欺瞞と
赤子の正直
....
貴族と武士とあなたとわたし
原則は
ゆつくりリズム
なかに韻
ときどきうまく
まとまれば吉
問題は
良心の音
ハモネプし
君の根でなく
みんなのおとね
無意識は
今 ....
欠けていく
月のすき間に入り込む
涙みたいな悲しい記憶
言葉より
刺さる牙などない夜の
そして月さえ牙に視えるよ
おだやかに
生きてきたからおだやかな ....
空のうえで点滅してる 赤 あお 白 のテントウムシは
とても小さな機械だから
あやつられて綺麗な夢を見るたびに
ポストに絵本を返していた お母さんのベッド
さびしい 思 ....
雨が降る
激しい、激しい
雨が降る
漆黒に濡れ光るアスファルト
雨垂れは規則的に軒先から落ち
わたしはコンビニのイートインにて
濃いアイスコーヒーを啜っている
さみしい気持ちとあ ....
旧い友だちが訪ねてきた気がして
俺はうっかり夜の扉に手をかけた
友だちは俺を素通りして
何食わぬ顔をしてこう言った
やあ、初めまして気分はどうだい?
お前のおかげで、最悪さ
夜に意味を求め ....
青い空が何処までも
広がっていて
僕は泣く
青く在ること
それだけが
ただ哀しくて
僕は泣く
この無限の下に
曝され歩み生きる人
〈何処から来て何処へ去る?〉
永遠の問い掛け、 ....
絵を飾る
遠い砂浜
日が沈む五分前
遠くに人影が
犬の散歩だろうか
それとも
心の散歩だろうか
気がつけば
絵の中に立っている
橙色に染められて
描 ....
毎日すべての珈琲が
あたたかい国
街の真ん中には日時計の柱
海の上で
狩りを覚えはじめた小禽
無人の駅を震わせるピアノ
なめらかな不発弾
幾何形体
迎える身体が
どんなに拒んでも
....
穂渡りの君が
口笛を吹く
錦糸町にお蚕さんの面影を重ねてみる
ほら
そんなふうに季節を忘れた町に
探している何かを求めている
探している
穂渡りの君が
嘘をつく
....
紅葉の文様、その磨りガラスを叩くものが、
とんと鋳る
虚しいものだけ集めて終いたい
僕の中には それが軸になって
ぐるぐると塒をまく
ひかりだのやみだの、
どうせ狂ったように刺し混むだけ ....
素晴らしい朝は
岬の鴎たちが啼き交わす言葉までわかる
遠い希望は持たないほうがいい
ただ一瞬の充実が幸福論のすべてならば
そこに集力してそれが結果になる方がいい
それからが始まりだと ....
角張った部屋に 感覚を求めて
拍を数える。解決方法が見つからない
コトバに裏はないが
ファスナーに羽音を冷やかし、
どっちつかずの空耳に捕まる。
いい面の皮をなきしきる風が吹く、 ....
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