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帰宅途中の
夕雲の群れに
滴るように
求めながら
どこにも空きは
現れない
千切れそうな
心持のなかで
言葉だって
ひとつもない
バターの日
強ばった手足に蜜を塗り
小鳥たちに愛を与える
ナイフ、なにも
切らないでいられるうちは
美しく澄んでいて
でもわたしたちには生活がある
パンもバターも熊の夢も ....
熊たちは夜をかみ砕き
蜂蜜の朝を得た
意味の羅列を踏みこえて
あたらしい夢をみるんだ
配管 像 通勤ラッシュ
茜色 ポリタンク 出されない葉書
僕の隣は空き続ける
なされなか ....
あなたのかわいい
おくれがちな相槌
寒すぎて ちょっと笑ったよね
愛してたけど
愛じゃなくてもべつによかった
隣りあう洗濯物
使いふるされた工具
石ころ
乾いたスポンジ
....
もう来ない誰かの代わりに花を折り 空洞がまた広がっていく
はじめからないものばかりを失って 立ち上がるたびに笑う三月