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私の内側には究極の自己犠牲というテーマがある。
そして私の答えは何時も同じで、現実の社会では
自己犠牲で「救われる人」の中には「私」もいる
ということ。

銀河鉄道の夜のカムパネルラは友達を ....
▽ 5月病/5月3日の ℹ︎ 短文から ▽

少なくとも、色と数と線と面とが、つながる
脳内神経の束を強制的にブチ切った上でーー
再構築の島で、死ぬほど虚しくならないでね
後生だから、2 ....
あれはどうしたことだろう
ベランダの物干しに
靴下がひとつのみ
寂しそうにぶら下げられている
一足ではなく片方だけ
その柄からして左足用の靴下だろう
右側はどうしたのか
というよりも
 ....
夢売るかいじゅうに夢見られたくて 水溶性のチケットを握りしめた夏

穴空きズームで遠くを見てるようなぼくの毎日から
声がする

きっとまた会える あの日みたいにハルゼミの鳴き声が 雨が また ....
山頂の光と影と馨りに届かぬ蛍と傅カシズく、
まるで紙吹雪の鏡写しのような
奇病、らしさ不束にも視線を預ける

薄化粧の貝塚を通り過ぎ 
伝書鳩の半分の血を 
白装束とする臆病な子猫の、
 ....
たまには近道を通ったほうがいいと
私の手を引いて 導く人がいる
私は
どこかへ行こうとしているのか
どこかへ帰ろうとしているのか
その人に 手を握られ 腕を引かれた瞬間
わからなく なって ....
理科室の小さな変化を見逃さないね

境目には冬虫夏草とあいまって水没する勿忘草
影も形もない退屈な装飾は 底に結晶として花を植える
汚れた手で掬った川の水で薄眼て溶いた
冷ややかで真っ青にな ....
優しいなんていっときのことや
遊んだらええ
内なる鬼はすぐ現れる

誰でも心を常にしぶとく
遊ばしたっていったらええ

少なくとも君たちを
人でなしと呼ぶような人の顔が
人であったこ ....
晴れている

ぽかんぽかんと
晴れている

飛行機雲が伸びていく
遥かな航跡が光っている

沈黙に世界は覆われて
青い青い沈黙に

今世界は覆われて

わたしにできることはな ....
知恵が足りない線路上の進み具合は怖いと云う、

立ち止まってこたえを、
その黄金律、そっと顔を上げる。

地道に取り片づける生理現象は、
泥を固めているのか。
撫で摩る、と刺青の、風のよ ....
最初から
  黒檀の木の股が壊死している 
    不定形の少年と探し求める恋物語
      海辺に戻り 脱法ハーブの建前へ。

  黄土色の哀れみを。一欠片しなう 七宝のゆたり 

 ....
 〈おいらが{ルビ鯰=なまず}だったらいいのにな
  ディープ・ブルーの海を泳ぐんだ
  そしたらいい女はみんな
  おいらに釣り糸を垂れてくる
  おいらに釣り糸を垂れてくる
  おい ....
筆が立つ護美箱への事物のまとわり
あたまとからだに訳される
転がした電子タバコと夏の大三角まで
やはりふわりとかおる
冷床に舌を揮い合図を送る重げないっぺんに
星座占いのひらがなは不埒である ....
こぼれおちていった色たちを  
奮いたたせることができますか

やわらかなうす水色が
風をふくんで
ゆっくりと 空いっぱいにひろがれば  
あの ぶきみな瞳も
きえるはずです
  
 ....
春は淡い
命がそこかしこに生まれては散る
風はそよぐ
樹々の葉がさざ波になる
風と水は似ている
そうかな
そうだよ
どちらも掴もうとしても掴みきれない
手のひらを開いたとたん
そこは ....
今日も冷たい雨が降る
お庭で坊主が雨に濡れ
ひとりぽつんと笑っている

過ぎ行く時の哀しみは
麻痺した記憶の仄かな揺らぎ
孤独な個体を遠去けて
薄手の膜で包み込む
悲しみに満ちた逃避行 ....
ウェンディ
お前がお前の目で
見たものだけを
信じれば良いほど
お前の目が信じられる訳がない

それは
今のお前の立場で分かる

だからウェンディ
お前の見たものだけを
信じるな ....
暗鬱としたコード進行が
延々ループしながら続く
僕らは没頭しながら従う
次々開ける光景は白昼夢
明るんだり暗んだり
いずれもそこは極北の地
いずれもそこは極楽浄土
君は泳ぎだし
僕を導 ....
ちりちりと
夜風が弾ける
肌の面
肉から解離し
タマシイの
涼やか響く
原音が
辺りに木霊し
光っている

脳髄はとろり
蕩けるよう
夜風にうっとり
流れ出す
彼方此方を巡 ....
ご存知の通り
猫は足音を持たない
そのことについて
当事者から相談がある
上等な紳士のような
靴音とまで言わないが
せめて幼児が裸足で歩くときの
ぺたぺた音くらい
よかろう
それでは ....
胸の内に留めておく 未だ青い林檎 
竿を置いて当りを待つ 檸檬の横顔 
腹を割るように刺し違える
ただ、はなひらを みおくるだけの
プラットホームからふたり お下がりください
幸せの数だけ、 ....
ふりそそぐものが仰向けでしびれたのは、いつだってなつだった、かえり道でゆらゆらとした意識が、にぎりしめた手のうちに、だれかがいそうな、とても晴れた日だった、ころされた石のような影がこわ .... ぶきような男にうまれてしまった
きような生き方ができなかった

会話が下手くそ
人前では緊張した

だけど
波長が合う相手と一対一になると
素直に自分を表現できた
会話を積極的にでき ....
毎日
踏んだり蹴ったりで
激し過ぎだわ
わし
そんな
かわいいんか?
そろそろ
認めてもいい頃やろ?

書類の山に
てんてこ舞い
これ今日中に
さばききれるんか?
無理やろ? ....
ペットボトルの口が開いて
 水蒸気舞い上がればイルカが波に乗ってやってくる
街のカラスが餌を探す
 幼虫は産声を上げるその時をじっと待っている

怪しくもない人々が夜を擽るのは   塵
 ....
つま先にあたった石ころが

ころころ

ゆるく転がって川に落ちる

何の音もしない

七年前

職場のわたしの歓迎会は

小ぎれいな洋風レストランに皆集まった

こ ....
遠雷が鳴る あとかさき
かなかなひぐらし かなしんで

夏の報せ、がたくさん奪っていった
なつのせみはるのせみ黙っていった
遠野で踊るハタタ神、てをのばして

あの遠雷に帽子を被せたい
 ....
私は妻であるようだから
妻の声帯から声を出す
「夕飯はなんにします?」
私の息子があたかも私であるかのように返事をする
彼とは離れて暮らしているのに
「ひさしぶりにトンカツなどがよいです」
 ....
君の吐息はちいさな部屋の空気を揺らし
君の想念はだれかのベッドにしのびこみ
不思議な夢を紡ぐだろうか

ヴィトゲンシュタインにも小さな教え子に
猫の骸骨を組み立てさせたり
社会実習を経験さ ....
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