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子守歌がきこえて
野は秋色にひらけゆく
かなたを渡るひとひらの雲
古き心のなつかしさ……


夏のかたみに置き捨てられた
小さな竪琴を奏でてゐるのは
優し気にうなだれる草々 ....
前回に引き続き、拙詩集『ソナタ/ソナチネ』所収の一篇『落日』を、動画クリエイターの橋本美千夫さんの編集により《映像詩》として制作していただきました。ボイス担当は印あかりさん。今回の朗読は作品への没入が .... 耳を澄ませば年を経た森の童話。
海よりの黒い夜風に濡れて
千の天使が鳥よりもひそかな物語を囁く
打ち捨てられた古代の四月。


 (狩の女神が嘘つきな鈴を鳴らし
  箒星を見 ....
それはむしろ沈黙の季節か
静けさがあどけない恋を焼くのは

お前の微笑みに宿るいつもの翳が
僕の限りない望みをひそかに砕くのは

「フォーヌよ七月の訣れの笛を吹け
 フローラは永 ....
何でもないやうな
大したこともないやうな
永遠なるものが流れてゐた。
そこらの小川のやうにゆつたりと流れてゐた。

しめつた、つめたい風が吹き
茜の雲の、{ルビ一群=ひとむれ} ....
動画クリエイターの橋本美千夫さんが、拙詩集『ソナタ/ソナチネ』所収の一篇「夏の水」を見事な「映像詩」にしてくれました。
朗読は詩人・画家の印あかりさん。使用音楽はショパンの練習曲作品25-1《エオリ ....
いつしか秋の色もしみじみ深く
高くさはやかな空のすきまには
うまれなかつた光のかなしみなど
きよくちいさくはりつめてゐる

 こんな日はきみとはなしてゐたいなあ
 いつしよにあをぞ ....
昼間の夢と云つたら海の色した童話ばかり。

流線形を解いて身を楽にすると

このかがやきは永遠の答案のやうに姿を消して

はかながる薔薇を秘めた僕らの仲らひに

束の間の雨滴は ....
街いつぱいに風は吹き

何とも夏は近く思はれ

風は膨らみ{ルビ艶々=つやつや}流れ

ブランコ遊びの五歳児は

雲もろともに溶けること、溶けること!

すつかり晴れてて 路地 ....
花がいつせいに咲いたので

風もなかなかお洒落なもので

埃つぽい老婆や街の子たちも

きやすく四月のあどけない挨拶にしたしむのだらう

さはやかなハ調の音階がきこえてくると

 ....
つめたい万華鏡のまばたきが
角笛吹きの感傷を揺らし
梢のうへから、いやみな天使が
それを微笑つた。
琥珀いろの木洩れ陽と
昼下がりの回想が
共謀して、道化師を泣かせた。
腹立たし ....
凍りついた曇りぞらと

あをぐろく{ルビ執念=しうね}くうねる海の

きたぐに

確然としてくらいちからのくに

俺は心ひそかにきたぐにを愛し

乾燥した都市から遠く北方を ....
春の水蒸気は何処に行つたのか
この空は{ルビ禊=みそ}ぎするものの色
永訣の色

地上は百色さんざめき
めざましくもゆたかである

いちめんの輝かしき生存
疾風は田園の暮色をよ ....
遠い話とほいはなし
ああそんなところだね
いまとなつては
大気は海の継子じみて
地中海色のタイルの
すました青磁のなかに透けてゐる
カラカラした浴場のなかで昼寝してたら
いつのまにやらお ....
好い天気だ。
聖地の{ルビ陽光=ひかり}が混じりつ気なく鳴り響く
こんな好い天気だ。
振つ切れたやうな気圏のまつただなかを
透けた{ルビ南風=みなみ}がかるがると翔び
雀の子等はあどけなく驚 ....
{引用=*筆者より――ちやうどこの時期、十二年書けずにゐた詩作が復活して三ヵ月が経ち、十二年分のマグマの噴出が落ち着いたこともあり、いま読み返すと力が抜けてゐる感があつてそれが良い方にも悪い方にも出て .... {引用=*筆者より――筆者が本フォーラムでの以前のアカウントで投稿した作品はかなりの数になるが、アカウントの抹消に伴ひそれら作品も消去された。細かく言ふと二〇一五年十二月から二〇一七年二月までの間に書 ....   なつぐも
{引用=―エミリ・ディキンソン " AFTER a hundred years --"に基づく―}

ともだちがだれもいなくなったとき
わたしはその野原にいき ....
{引用=*筆者より――筆者が本フォーラムでの以前のアカウントで投稿した作品はかなりの数になるが、アカウントの抹消に伴ひそれら作品も消去された。細かく言ふと二〇一五年十二月から二〇一七年二月までの間に書 ....  詩は生きるために必要なものではない。

 例えば貧しく混乱した世の中では人々は生きていくことに必死で、詩どころではない。豊かで平和な世の中になると今度はしなくてはならないことが多すぎて、やはり詩 ....
{引用=(*筆者より――筆者が本フォーラムでの以前のアカウントで投稿した作品はかなりの数になるが、アカウントの抹消に伴ひそれら作品も消去された。細かく言ふと二〇一五年十二月から二〇一七年二月までの間に ....    羽


 とんぼが旗竿の先にとまつてゐる。

 セルロイドのやうな羽の一枚が、半分切れてゐる。

 緑の縞の入つた黒い胴を一定のリズムで上下させ、三枚半の羽を震はせながら、とんぼは ....
なにか

白い ものが

のこされて ゐる


うまれたものが

去つた そのあと に

そしてこつちを

みつめてゐる


長い午後に

時が

裏返 ....
うつくしいひとたちに遇ひ

うつくしいはなしを聴きました

空はたかく 澄んでゐました

かなしみはもう とほくにありました

よろこびは すぐそばに そして

手のとどか ....
花がしづかに揺れてゐる。

その横に小さな言葉がおちてゐる。

姉さんがそれをひろつて、お皿にのせた。


子供たちは外であそんでゐる。

まぶしいほど白いお皿に ....
ryinxさんの石村さんおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
竪琴_(旧作)- 石村自由詩9*23-11-14
映像詩「落日」- 石村おすすめリ ...2*23-11-5
森の童話_(旧作)- 石村自由詩3*23-11-3
火の月_(旧作)- 石村自由詩3*23-11-2
初冬の風景_(旧作)- 石村自由詩3*23-10-28
映像詩「夏の水」- 石村おすすめリ ...4+*23-10-21
口笛_(旧作)- 石村自由詩2*23-10-11
水滴_(旧作)- 石村自由詩3*23-10-7
新緑幻映_(旧作)- 石村自由詩3*23-10-4
転調_(旧作)- 石村自由詩9*23-10-3
絵本_(旧作)- 石村自由詩5*23-10-1
きたぐに_(旧作)- 石村自由詩4*23-9-30
訣れ_(旧作)- 石村自由詩9*23-9-27
裸足_(旧作)- 石村自由詩10*23-9-26
最終戦争_(旧作)- 石村自由詩4*23-9-25
旧作アーカイブ5(二〇一六年四月)- 石村自由詩17*19-5-30
旧作アーカイブ4(二〇一六年三月)- 石村自由詩21*19-5-16
なつぐも_他二篇――エミリ・ディキンソンの詩篇に基づく(再掲 ...- 石村自由詩18*19-4-19
旧作アーカイブ3(二〇一六年二月)- 石村自由詩15*19-4-13
なぜ詩を書くのか- 石村散文(批評 ...14*19-3-15
旧作アーカイブ1(二〇一五年十二月)- 石村自由詩14*19-3-11
羽・廊下・絵本- 石村自由詩24*18-10-22
白いもの- 石村自由詩10*18-9-10
- 石村自由詩15*18-9-2
草色- 石村自由詩19*17-8-31

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