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春が
わたしの中に入ると
増えます
やがて溢れ出して
玄関では靴が
遊びたそうにしています
妻と相談して
家にエレベーターを取りつけることにした
けれど、取りつけた後で
この家には二階も地下室も無いことに気が付いた
ボタンを押すと
チーン
と音がして扉が開く
上にまいりませ ....
彼女からの手紙が
炊飯器の中で見つかった
もう
ほっかほかの
ぐっちゃぐちゃで
炊きたてのご飯はうっすら黒く
食べると微妙にインクの味がする
時おりぐにゃりと繊維をかんだりもする ....
バス停で
ネクタイをしていないことに気がついた
社会人としてあるまじき失敗
かといって家までネクタイを取りに帰る時間も無い
ネクタイに代わるものを探していると
あった
ベルトだ
....
彼女に歌をつくってあげたかった
とってもスウィートでハートフルなやつを
彼女のためだけにつくって
彼女のためだけに歌いたかった
プリンの歌がいいな
うん、いいね
僕はノートに詞 ....
年老いた画家は絵の中の少女に羽を描いた
羽を得た少女は絵の中の空を楽しそうに飛び回った
画家は少女にもっと立派な羽をつけたくて描き直そうとしたが
羽をとられてしまった少女はうつむいている ....
街中を
ウィリアム・テルが走り回っていた
何故ウィリアム・テルと分かったか、というと
それはどう見てもウィリアム・テルだったから
駅前の市営駐輪場に
真っ赤なリンゴがポッツリとあった ....
私はもう涙しません
何故なら、そう決めたからです
だからもう涙しないのです
地球温暖化が進んでいるといわれている昨今
これからの降雨量も心配でしょう?
だから貴重な水資源を失いたくないの ....
たわしはもう
わたしのことなど忘れて
海に帰ってしまった
たわしのかわりに
いわしで風呂の掃除をすると
少し生臭かったけれど
自分も海に帰れたような気がして
そのような気がして
....
たわしを買ってきたわたしは
綺麗な洋服を着せて居間に飾った
たわしはどこかわたしに似ていて
わたしは一度もそのように飾られたことなどなかった
日曜日
わたしはたわしを使って風呂掃除を ....
いろんなものがぶら下がっていたので
ついつい拾ってきてしまった
天井から吊るすと
いろんなものがいろんな色に光り
窓を開ければ夏の風に吹かれて
いろんな音をたてる
シャリン、チャリ ....
夢の中で
年老いた象が悲しそうな顔をしていた
どうしたのか、と聞くと
故郷のアフリカに帰りたいのだと言う
草原で捕獲され
動物園に運ばれてからの調教師との親交や
子供を出産したこと ....
台所に落ちていたピーマンを
コロコロと転がす
窓の外
喪服を着た人が数人通り過ぎていく
誰かの死はいつも何気ない
昨日より少し蒸す部屋に
何の比喩にもなれない私がいる
....
駅前で冷蔵庫が名刺を配っていた
私も一枚欲しくて列に並ぶ
冷蔵庫の中が無性に見たくなって
ドアを開けようとすると
少しムッとしたみたい
ガサガサ音をさせる
もらった名刺には冷蔵 ....
虫歯が痛んだので歯医者に行った
虫歯を治してください
口をあんがあと開けたのはいいけれど
白衣を着たおじさんに
ここは目医者ですと言われてしまった
仕方なく
僕は自動車の整備工であ ....
ねえ、雨
+
音
+
遠い
+
いつも
+
記憶
+
遠い
+
ねえ、雨
+
崩れる?
+
崩れない ....
1.
顔を洗って髭を剃ると
私の顔は鏡の中にあった
洗面所の窓
その外にはいつも外があって
夜がまだ薄っすらと残っている
貞淑なやす子は朝食の後片付けをしている
今までの毎朝 ....
二十数年前
大量の醤油を飲んで自らの命を絶った科学者がいる
それが私の父だ
いったいどれくらいの醤油を飲んだのか
警官が説明しようとすると
母はそれを遮り
私の手を引いて長い廊下を歩き ....
【透明人間の憂鬱】
透明人間の悩みは
最近、髪の毛が薄くなってきたこと
これでも若いころは
リーゼント、ヨロシクきめて
ハマのあたりでバリバリに透明だったぜ、ってなもんで
今ではバ ....
道端に膝が咲いていた
膝が咲いていた?
膝が咲いていたとはどういうことだろう
膝は、知りませんよ、とばかりに
風にゆれ、少し音を立てている
春も終わるころ
ぼくは何の確証も持たずに
....
街中ですっ転んだ
視界にあるのは人の脚
何事も無かったかのように通り過ぎる脚
立ち止まってこちらに視線を投げかけている脚
スーツの脚
ジーパンの脚
スカートの脚
ルーズソック ....
多々田 駄陀さんのたもつさんおすすめリスト
(21)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
童話(春)
-
たもつ
自由詩
16
04-7-17
世界エレベーター
-
たもつ
自由詩
39
03-10-14
置き場
-
たもつ
自由詩
18
03-9-30
人生劇場
-
たもつ
自由詩
4
03-9-30
プリン
-
たもつ
自由詩
6*
03-9-16
一枚の絵
-
たもつ
自由詩
3
03-8-26
さよなら
-
たもつ
自由詩
2
03-8-26
炒めた玉ねぎは涙の味がするのだ
-
たもつ
自由詩
4
03-8-18
それからのたわし
-
たもつ
自由詩
8
03-8-11
たわし
-
たもつ
自由詩
6
03-8-11
夏の音
-
たもつ
自由詩
5
03-8-1
象の夢
-
たもつ
自由詩
4
03-7-29
梅雨入り
-
たもつ
自由詩
3
03-7-25
生きていくこと
-
たもつ
自由詩
10
03-7-23
素敵なこと
-
たもつ
自由詩
13
03-7-14
雨
-
たもつ
自由詩
7
03-7-11
時代
-
たもつ
自由詩
17
03-7-11
醤油
-
たもつ
自由詩
92
03-7-9
透明人間と
-
たもつ
自由詩
47
03-6-23
春も終わるころ
-
たもつ
自由詩
4
03-6-11
人の脚
-
たもつ
自由詩
21
03-4-2
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