風の内緒話し
鳥の告白
雲の散歩道
白い花は雪の匂い
怖いほど空が近い
妖精の羽音が聞こえる
どれだけ登れば逢えるだろう
頂上に咲く雪の結晶
エーデルワイスの優しい瞳
....
冬の晴れた黄昏の海
彼の足元に波が打ち寄せる
私は背中に耳をあてる
このまま背中に溶けてしまいたい
おんぶされて見る景色は
夕日の味がした
並んで飛ぶかもめが聞く
「ついてく ....
もうすぐ寒くなる
誓おうとして言いかけた
言葉を持ったまま
迷っている君が
好きだよ
いつまでも
言い終えないで
それがわたしの
永遠
時代から遅れている
線路の上は日に炙られた枯れ草の匂い
歪んだ電車が走る
腕に時計は嫌だ
なのに
心に繋いである懐中時計は
いつも壊れている
生きている
というのは
そう ....
通り過ぎてゆく人々
通り過ぎていった人達
何なのだろう、何だったのだろう?
あれらこれらの出来事が
今は嘘みたいに消え去って
僕は嘘みたいに落ち着いて
ただ目を閉じる、ただ目を瞑る
あれ ....
何でかな あの人 せっかく道ですれ違ったのに
知らぬ顔 横向いて
久し振りに 見たあの顔が あなたなんか知らないよって
そう言ってる 気がついて
だからわたしも 目を逸らす
....
夜明けには まだ遠い 眠れない夜
夜明けが近い もう眠らない夜
もうすぐ聴こえる 早起き鳥の声
もうすぐやって来る 新聞配達
夜明けには まだ遠い 眠れない夜
夜 ....
激しい痙攣のあと、強制終了のように訪れる眠りの中で見る悪夢にも似た感覚を現実まで引き摺り出してしまう不得手な目覚めの数十秒、果たして俺はすでに死人なのか、と無意識に手首に触れている…微かに、致命的な嘘 ....
さようならの後ろで
顔を出している人がいる
気付いてほしそうにしているのが癪に障って
無視をして歩き出した
でも何だか涙が出てきて
振り返ってしまったのだ
だけれどあなたは振り ....
風のすっかり止んだ朝
あなたと僕とは
公園のベンチの見える辺りで
昨日の雨の激しさを思い出した
いつのまにか あなたがポケットに忍ばせた
淡色の宝石が 太陽を透かす
哀しい石鹸の香 ....
向かいの家の屋根瓦が
黄金色に照り輝き
高い高い秋晴れに
遊ぶ子供達の声も軽やかだ
一方私は布団のなか
鉛の憂鬱を抱えながら
それでもこの美しい秋日、
天高くから降って来る
青い青 ....
ことばって何処にあるの
辞書のなかに埋もれているの
人間って何処にいるの
へそまがりな生き物じゃあなければよいけれど
幸福と善とはいっしょなのでしょうか
あるいは幸福のしっぽが見え隠 ....
疑い始めて聴き流してた
音がくれる歓びや哀しみが
どんな曲でさえ心を離れて
戻らない旅を続けるのなら
カレンダーの左端の箱に
生ゴミを捨てる怠け者では
宝物を置く場所も分からずに
ク ....
陽はすぐに暮れる。
晴れた日には外へ駐車しないか。
デパートの屋上。
隣は同じ背丈の介護施設。
山は夕焼けに染まり、
、まるで絵のようだ。
眺めてみろよ。
もったいないじゃないか、今 ....
記憶なんてさ、
いつかは星屑になってなくなっちゃうんだよ
つらくて悲しかったことなんてさ、
あっさり笑い話になんかなっちゃって
楽しくて笑い合ったことの方がさ、
残酷なことのように変 ....
いちめんの漆黒の空に
銀色絵の具を 振りかけて
秋 星座 またたく 地上には すすきゆらす風
生きて味わった苦しみが
嘘でもあるかのように消えていき
一日を そこそこ懸命には ....
たいがいの人は
生きている為の良好な条件が損なわれてしまうと
生きている事に嫌悪感を覚えてしまう傾向が表れてしまうようだ
もちろん例外はあって
逆境にこそ生きる闘志を燃やして前向きに突き進 ....
買った古本に挟まっていた褪せたレシート。
97―8―3、1:28PM、遠い夏のかけら。
樹間から
覗く秋晴れの青、
ふるふる震え
金木犀の香が舞う夕べ、
時はすっかり透き通り
遠い記憶を辿りいく
)何があったか
)細かいことは忘れちまったが
)ただ喜びと懐かしさだけ
....
点線のように
切り取られない
その形をまだ
誰も知らないの
下書きみたいな
心をはみ出し
飛び回る日は
また別行動だ
何よりも高い
場所から見ている
小さな買い物
大 ....
海の部品が落ちていた
大事な部品を落として
海は今頃
どこで凪いでいるのだろう
行方を捜すにしても
持っている地図は改訂前のものだし
海に関係する友達も
親戚ももういない
海を作っ ....
脈拍が異常に速い
肉体が何処かに
逃走したがっている
あるいは魂が
真夜中、突然飛び起き
巨大な虚無の穴開いている
闇に、平板な闇に
恐怖、恐怖、只恐怖
上下左右、空間意識 ....
思考する
宇宙の糸を
一本借りては
掴まり
ふわふわふわふわ
揺れ踊る
わたしのなかをながれ
静かな時流の奥へ奥へ
少しずつ速度を上げ
着実に遡行しながら
来るもの来るもの
....
戸棚にクリスティン。
チュリーップのマリーメイアは、
野原で{ルビ潮=うしお}の夢をみてうたっていた……
みず、のねが
ひかりと ともにはじける
それを きいている
おさないころの おもいで
あめがてんてんと
じめんにえがいた
わたしはそれを かきうつす
ことばには ....
気怠い色で澱む部屋の
暖かい風を吐く窓際
当てもなく呼吸しながら
かさぶたに爪を立て
血が溢れないように
恭しく祈り
取り返し得ない時間とともに
ひと思いに掻き切った
きっと傷 ....
軋む夜に宇宙は静謐を装って
僕のアラートは適切には鳴らないようだ
優しい朝のひかりを浴びて
入浴したての君がいてくれればよい
絶対零度の幸福論と
肩のこらないレトリック
アルマ ....
落ち葉の海で溺れるカラス
魚になりたいと鳴く
妖精が黒い羽をすべて
赤い葉と取り替えるかと聞く
カラスは喜んでうなずく
鱗のように落ち葉で身を包み
赤いカラスは飛んでいった
....
僕たちの影を
ひとつにしようと
月が動いた日
星が泣いた夜
まつ毛のお皿に
乗せる料理を
唇の先で
運んで行こうよ
割れても良いのさ
舐めて返したい
接着剤のような
....
主役はもちろんこの商品
だけど瞳が指先が
私も見てと訴える
なるほど細身で清楚だね
少しの憂いがほどよいね
チラシ収まる美しさ
それ以上は内緒かな
だけどすぐに忘れてね
そのう ....
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