一つ銀河を買った
安かった
お値打ちだよと町の骨董屋が言った
どのへんのですかと尋ねたら
古いのだからずっと遠くのらしいねと答えた
持って帰って
包みをほどいて中を覗くと
赤い惑星に
 ....
充溢していた時とは
自分が消えてなくっているとき
思えば大体そんなものだった

そんな風に出来上がった世界に
生まれて生きていつか死んでいく
そのことに絶対的な反感を持ってもいいですか
 ....
「詩人になれたら死んでもいい」
と、みかちゃんが言った
「あたしは詩人になれなかったら死ぬ」と言い返した
あんなにあたしたちがなりたかった「詩人」て
なんだったんだろう

私も彼女も
自 ....
降り始めたちいさな雨粒を
ひとつひとつ
こぶしで撃っていく

敵のいない闘い
ボクサーのロードワーク

撃ちきれない雨粒のなん粒かは
火の玉になり
眼球の中で
また、道々の砂利のす ....
廃田の草を刈っていると突然大雨となった
しばし、刈り払い機を雨の当たらない所に置いて
雨の中に立ったまま私は辺りを見ていた

これからのことを打ち消すように
雨は降りしきり、そしてまた
何 ....
夏に買った
金魚鉢は
金魚を飼うための
金魚鉢なのに、

いまではもう
青空を飼ってしまっている。

いつか知らないうちに
金魚が青空に
溶けてしまったという、
嘘みたいな嘘 ....
蒼いインクを流し込まれて
世界は行き暮れた
やがて長い夜が明け
暮らしの屋根から細く立ち上るかまどの煙や
打ち寄せられた農具さえ
インクの色に染まっていた


それでも 鐘の音を聞くと ....
やはり中国人を
日本に入れないというのが
我々の新しい生活なんだと思う

何度注意しても
「めいよーうえんてぃー」って
バカの一つ覚えを繰り返して
コウモリとかセンザンコウとか
食うの ....
抒情という故郷にはもうかえれない
父母を墓苑に棄てた罪状は計り知れない

閉ざされた街に住むと
誰ともつながれないようになる

パッケージされた夕食が配信で済んでしまうのなら
目玉焼きと ....
高々ノーベル賞を
もらったぐらいで
専門外のことに口出して
感染者数が激減してきても
まだまだ油断は出来ませんなどと
不安を煽っている暇があるなら
STAP細胞でも作ってろ

200回
遺伝子というつづれ織り
きみとぼくを区別できなくったって
たいした支障はないのにね

ぼくの遺伝子はときどきエピタフを聴きたくなる

螺旋状の階段をのぼりおりするうちに
階数がわからなく ....
鈴は沈む 大気の蜜へ
黙したものの{ルビ自重=じじゅう}により

若葉に光の飛沫
     木漏れ日の揺り籠に落下する蜂

五月の河畔を夢がさまよう
  ポケットの中に全てを失くしている ....
哀しみを風呂敷で包み
胸の穴を塞いでくれる
空はタイムマシン
目も口もないのに
明るくなってまた暗くなるよ
仲間がいるだけで強くなった
月も星もこっそりと顔を舐める
この広い場所が全て
 ....
火曜日を素因数分解していくと沢山の小さな火種が残るとのこと。
そんな可愛い奴らが、かつて、地球を氷河期から救ったとのこと。
世界は薬品用小瓶に入っていた。

そんな朝に動物園でキリンが

生まれたよ。



きみは喜び、驚いた胸の地平線から

太陽がのぼり世界を照らす。



ぼくたちの世界 ....
今宵、
白い部屋に
在るもの在るもの
自らの輪郭を鮮明にして
回流する澄み切った夜の空気に
すっかり馴染んで留まっている
横たわっている私もまた寛ぎ
在るものたちと繋がり合う、
揺るぎ ....
背後から呼ばれたような気がした
雑踏に立ち止まり振り返ると
それは自分ではなかった

ぜんぜん知らない誰かが
知ってる人間を偶然見かけたらしい
呼び止めて懐かしげに言葉をかけていた

 ....
詩を書くと
詩のなかに彼方が生まれる
その彼方について詩を書くと
そのまた彼方が生まれる

身体は此処にとどまったままで
幾重もの彼方の谺を聞く
今夜は雨もしとしと降っていて
もうずいぶん遅いから
誰も訪ねてはこないだろう
だから玄関に鍵をかけて
雨や風が外の空気を伝えてこないように
窓もしっかりと閉めて
ひとりで
瞑想するように ....
かれはすごい 
てんかんの発作で
鼻の骨が見えそうな傷を負っても 
支援学校の上級生に引っかかれ
ほおに血を流しても

夜、パパが家に帰り 
ドアを開くやいなや
百万ボルトにまさるほほ ....
風のつよい朝は
こころの傷が浮かびあがる
神聖な朝日に触れられて
恥ずかしげに
うずうずと傷がうごきだす

傷は
しんぞうから流れる
からだのなかの
赤い悲しみの出口で
 ....
明日がなくなるのが怖くて
今日を必死に生きている

明日がなくなるなんて
到底受け入れられないけど

いつか突然目の前の世界が全てなくなって
消えて仕舞うまで
呼吸はし続ける

私 ....
お言葉ですが、と言った男
確かに言葉に違いない
うまく喋る
来年の言葉も昨年のように喋る
言葉は耳で聞くものではなく目で見るもの
肉体だからね、目で見る
 山下君、山下君だったね
 はい ....
おかしな時間に目が覚めて
それからずっと眠れない
閉じ込められた寝床で
脱出計画を練っている
きちがいは耳を澄まし
こそこそと覗いている
晴れるという話だが
夜明けまではなにもわからない ....
街路樹の根元に
延々と連なるラベンダー
夏になったら咲くのだろう
この街に 夏が来るのなら

誰と誰が生きのびて
新しい詩を書くだろう

マスクをつけて歩いていると
先生が電話してき ....
詩病を患って久しい
いったい誰の詩を読んで伝染してしまったのか
今となってはわからない

いくどか再発と自殺未遂をループするが
扁形動物のように死なない

書かれた詩はそれを ....
工具箱に銃弾を一つ忍ばせている男になるべし。
大量のボルトやナットに上手く紛れ込ませるべし。
たぶん30ぐらいの
白人の妊婦さんが
息も絶え絶えなのに
“コロナにかかり重篤になるのは
高齢者ばかりじゃない”とかなんとか
スマホで自撮りして
大変なところ人類のために
うった ....
歩き疲れてベッドに横になった
からだがスライムみたいに
ひらべったくのびて
平面と化していく
目も鼻も
どこにいったかわからない
耳だけはラジオの音をひろう
手も足もシーツの端から
ゆ ....
羽の落ちた三日月は

爪の残骸を集めた太陽です

あなたの知らない発条は

あなたが知らぬ間に爆発し

夢で見た場所まで

血みどろの感傷を運ぶのです


わたしたちが

 ....
もちはるさんのおすすめリスト(35)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
銀河を買う- 道草次郎自由詩1420-11-12
週末の反感- 道草次郎自由詩8*20-10-10
詩人になれたら- Lucy自由詩12*20-7-5
ボクサーと燃えたカエル- そらの珊 ...自由詩13*20-7-4
これから- 山人自由詩17*20-7-2
金魚の音- 秋葉竹自由詩1120-6-28
- Lucy自由詩13*20-6-27
新しい生活- 花形新次自由詩220-5-25
マルコポーロの旅- 梅昆布茶自由詩920-5-25
山中教授が嫌い- 花形新次自由詩420-5-23
遺伝子のうた- 梅昆布茶自由詩920-5-18
忘れられた一行のために- ただのみ ...自由詩7*20-5-16
- ミナト ...自由詩2*20-5-6
火曜日- クーヘン自由詩8*20-5-5
非常事態宣言が出された日- フリーダ ...自由詩920-4-29
今という時- ひだかた ...自由詩620-4-22
傷口が塞がらない- こたきひ ...自由詩720-4-19
彼方が生まれる- 塔野夏子自由詩7*20-4-17
訪問- 岡部淳太 ...自由詩1120-4-12
電球のひと_――ダウン症児の息子に――- 服部 剛自由詩1120-4-8
風の鳴る未来- 秋葉竹自由詩1020-4-5
明日がなくなるのが怖くて- こたきひ ...自由詩620-4-4
明滅- たもつ自由詩1520-4-2
白紙のページを信じる- ホロウ・ ...自由詩5*20-4-2
夏が来る前に- Lucy自由詩7*20-4-2
病者詩覚書- ナンモナ ...自由詩3*20-3-30
銃弾- クーヘン自由詩3*20-3-29
未感染者- ナンモナ ...自由詩4*20-3-29
洗脳- Lucy自由詩12*20-3-26
InternetExplorer6.0以上のみ- 竜門勇気自由詩1*20-3-25

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