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水面を幾重にも抱きながら藻が囁く
流れは何をも見送るもの
躓くものも うつむくものも
嘲笑うものも 祈りのひたいも
魚が撥ねる
いま その尾が視とめた光の破片が
太陽の剥がれた抜殻とし ....
大気の継目
深い呼吸に上昇し
仰げば次元の小径
真鍮の足跡
蟻となり纏った視野は日輪の槍に射貫かれ
せせらぎは大木に流れを受容される
私は硬直した椅子の背となり空間に浸る
それは賛 ....
からだを崩して
水の音が静かに静かに
重力に逆らい天上へとそそぐ
赤ん坊がボールの中で宙返りをしている
老婆は手編みのベストを厳かにまとって
庭木は樹海の水脈を眩しげに浴びる
洞穴 ....
透明なビニール袋に夜闇を包んで抱きすくめたい。耳梁から泡になって消えていく音楽のように、この部屋に息をしている形容しがたいもの/ほら、私の爪先に侵入していながら体温は南極の氷に閉ざされてしまう。いくら ....
糸を伝わる震えとぬくもり
声の往信が私達をつがいの鳩にする
時間が道路なら振り返って走ろう
白線にそって回顧の草を摘みながら
あの白い家屋に飾ってある
陽に焼けた一枚の写真を目にするため ....