駅前では 公衆電話が姿を消した
さびしいね
あなたが途切れさせた連絡網
伝言を覚えたあの子が
家族に話さずに旅立っていくよ
改札口はシュレッダー
ぼくたちを他人にして
誰もが無言で通りす ....
離島に夏がくる
隣の猫は人間になりかかってきた
この忌まわしい季節には
神経節細胞の痛みだけが秩序ある情報なのだ
ぼくの離島は温存されて
真夜中に大陸とひそかに交信する
部屋のAI ....
うまいこと言いたいとか
いらんこと言わないとか
あまり気にしなくなって
うまいこと言えないし
いらんこと言っちゃうし
自由でいいんじゃないかな
各々そんな感じだから
当然まとまら ....
かけがえのない 欠けていく 駆けていく
脳みその乗り物みたいな僕だった
清浄され、静かなシーンとなっている
身体と心の全部が耳を澄ます
間違いなく冷たくなってた
あいつ、死んだよ
法律って知ってる?
知らねえ、もう行こう
風呂屋が閉まる
東京はただの街
広島はただの街
日本はただの島
ここはただの場所
眠 ....
何故か去年の梅雨が気になった
今は梅雨の真っ只中
濡れたままの街の景色
去年の今頃は梅雨の中休みだった
晴れ晴れとした気持ちだった
雨に濡れた植物
葉っぱの色は鮮やかで
埃の ....
おととい 小さなせせらぎを見つけて
家に帰ると
網戸に黒い揚羽蝶がとまるのを見つけた
そして
蝶も私を見つけた
気配の優しさ
遠い記憶の静かな切なさ
完璧な蝶の姿で
再び会いに来てくれ ....
秒針は砂漠の中にとけていく
夜行バスのように星を抱える人
いつも、この手は温かさ放ってる
やわらかいカーテンと世界がゆれる
越冬のことはなにもいえない
あれから僕の身体には青空が広がっていて
雲もない
なにもない
誰にもなにも
いいたくなくなってから
人の言葉が
まるで湖のようにきこえる
僕は両手を
....
青色の携帯電話で撮った空
風のように心がまだ動いてる
雲のあいだを歩いてる人と犬
立ち止まっては朗らかに青く澄む
あめいろの
時が過ぎ行く
この夕べ
わたしの孤独は宙に溶け
一閃する光の海
瑪瑙の渦は天を駆け
静かさだけが降って来る
気の遠くなるよなこの時に
静かさだけが降って来る
....
私、感情がないのよ
えっ、本当に?!
ペシペシ
痛、痛た、何すんのよ
いや、感情がないっていうから
ペシペシ
おい、ふざけんなぁっ
あ、怒った
時を経て彼女はネットの怨 ....
ペダルを踏む足を止める
鳴るブザー
鳴るブザー
チョコレートの音
左の音を聞いてる
ドアを叩いてる
華奢な手
力はこもっていない
義務だから叩いてる
そんな音だ
ブザー、ブ ....
僕のぽけっとの紙片には
最新のもっとも無駄な解答が記されている
人生に必要なものの殆どが木箱にしまわれて
博物館の収蔵庫の奥深くにおさめられているとしたら
菫や蓬の花のように路傍にさり ....
外野を抜けた白球を追って走る
走者が一掃して
試合が終了しても
ひたすら追いかける
悲しみも寂しさも
ただの退屈だった
人の形を失っていく
それでも最後の一ミリまで走る
(午前7: ....
ひとり暮らしが長い
いつのまにか
ひとりの部屋でさえ
つく溜め息
気がつけば
カラフルが部屋から消えている
このまま立ち止まったまま
死ぬまで生きるのだろうと
よせばい ....
僕が世界と繋がるために
涼やかな夜風を浴びながら
今日も一つの詩を書き留める
それは静かな吐息をついて
雨降る白壁に投映される
夢の間に間の幻灯機
巨大な毒蜘蛛を追いやって
雨滴を溢す紫 ....
音楽の途中でぼくは飽きてしまう
本当は好きじゃないんだと思う
無理してるんだ、きっとそう
だってまた別のこと考えてる
ゆるやかにリムーブしていく
ああ、ああ
こんなはずじゃなかった ....
水槽に流れるおだやかな時間
他者だったことを忘れて声になる
春色の初夏 黒板へ吹いた風
思い出せない想い出を持っている
高台から遠浅の浜を眺めると波の照り返しには目が眩む。
鰯の群れを追いかけて飛沫をあげるスナメリが、
ハセイルカの一団を連れてやって来た。
小屋の喜三 ....
心地いい五線譜の上 止まる時間
あの時には桜は咲いていたのかな
誰かが眠ったこと考えている
あしおとのそばでは落ち葉たちが目をまわしていた、ひそひそとぶつかりあうすがたは、わずかな言葉で陰口をたたいているようで、走りだしたあなたはかぜのようにくるっていった、だから、それは、たぶん、そ ....
この瞬間にこの音楽を聴けるのは生きている証なんです
ちょっとだけ仙境を垣間見てそれでもやっぱり現実を改革する生命なんです
誰かを愛する合間に沢山仕事をしたいのですね
余計なことばっかして罵倒 ....
駅に落ちていく
そう言って笑った父方の叔父
さっきから肩があたっている
どうしたら落ちていくのだろう
父方の叔父、ねえ、叔父さん
夏の早朝の駅舎
点検する若い駅員
駅に落ちていく ....
窓外の夜空をめぐる、星の配置と
食卓にならぶ、料理の配置は
密かに呼応するという
互いの杯を交わし
秘密の物語を語らう
一期一会の{ルビ宵=よい}
君と僕の存在を、結ぶ
糸の{ル ....
いつかわたしが生まれ帰ってきたとき
もういちどこの詩をみつけたい
なまえも知らないひとの詩として
ささやかだけど悩みや哀しみ 楽しみなんかを書きとめて
人肌のあやうさを伝えたい
....
昂ってた筈の
青かった筈の
夜更けまで眠れなかった
あの感情が
ギターを鳴らし
夜が深くなる
懐かしい歌を小さな声で
雪吹のリズムで
歌おう
小さな喜びと
降り積もる雪
歌が途切れてしまうのは
いつも
ぬくもりを歌うところ
ギターの音と
雪吹 ....
いとしいといわない
愛しさ
さみしいといわない
寂しさ
祖母と行く畦道
ふゆたんぽぽを摘みながら
手は
手とつながれる
枯れ野には
命の気配がして
墓所には
命だ ....
外は曇り空
親指の爪が伸びている
じっと見つめる
この歳になっても
相変わらずの不器用もの
若者をみて妬んだり
羨ましいと思う
雨音の予感がする
恵みの雨の予感がする
....
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