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海よりもとおい海の
浜辺には声の真空があり
水と石だけがきざまれて在る

列島の等高線をきりおとして
おんなたちは口々に
あれが星の曲率なのだとささやく

だがひとえに言ってしまえ　.... 雨と雨との距離を測りかねて
戸惑いに揺れる傘は
五月の鋭敏にやられた心です
ビル街はところにより墓地のよう
予報どおりに雨は止みました
枯れかけた花束の空ですけれど
新緑が瑞々しいですね
　.... ビルの窓に褪せた空の青さ
夜のままの側溝の饐えた臭い
音漏れしている流行曲
眩暈のするようなデジャヴ
なにもかもが痛くて堪らない

肉体は暴力である
殴打された何十億光年の静寂に
雑踏　.... この花は永劫の畔にゆれている。
あまたのうつろいをながめ
蕾という名の一輪となって。

風よりもとうめいなあなたの声が、
水面をやわくなでている。
どことも知れずに吹いてきては。

　....

Giovanniさんの新染因循さんおすすめリスト（4）
タイトル	投稿者	カテゴリ	Point	日付
海のパース	- 新染因循	自由詩	16*	21-2-25
五月の鋭敏	- 新染因循	自由詩	9*	19-6-14
肉体のシニフィエ	- 新染因循	自由詩	11*	19-5-13
永劫の蕾	- 新染因循	自由詩	13*	19-2-14

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