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ランドセルの 中
風の背を 乗せ
揺れる ブランコ
淋しい 音
割れた カスタネット
紫いろの 真珠
これを 彼女に
何千という 空の裾を截り
赤らむ 校舎の
大きな 時計が ....
人を語るには 背骨が足らず
陽を仰ぐには 背は歪み
背中のまあるい 雑草猫も
綺麗な姿勢を しているのに
祖父と思しき 影を落としつ
奥より垂れる 奇妙な方角
暗澹たる 手相に敷かれ ....
祖母の 遺骨かと
焼けた雲 追う
折り紙の 鶴も
川くだり する
縁石に 添う
ひしゃげた 靴の黄
踵 上げ
芽吹く 緑
竹の 支柱に
絡む 蔦
編む 影
思しい 葉脈
....
野菊が 弾く
露の 散弾
衝動に 燃ゆ
火種は 雨
戻れぬ 時に
靴を 埋め
針が さした
五時へ ゆく
はや 暮れぬ
静止を 集め
野菊は いま
一言を 持つ
土 ....
どこへ いこう
故郷も 青も
霧に 埋めた
迷える この身で
暗い 一節を
夜陰に こぼす
指を 捨てる
子どもの 様に
母の 声で
夢魔が 読んだ
デカダンスの 絵本に
....
男の髑髏を擂り鉢に入れ擂り粉木で砕き擂り潰しながら傍らに置かれた壺の半ば迄腐らせた自らの血を柄杓に掬い垂らしていく
黒ずんだ液になったのをみて両の掌に掬いとり口に含むと舌で撫で付け広げていった
擂 ....
静止した 夕ずつを
灰の妖雲が 覆う
静寂が 孤独な
姉妹のように ひろがる
暗い空の 水脈から
垂直に 降る雪は
地に落ち 鬼火になり
辺り一帯 埋め尽くした
人は こんなに ....
少年期の 苦悩が
舌の上に 暗く燃える
燎原の火とも 思しく
火力を 増幅する
のたうつ 蟒蛇の様な
凶悪な 輪郭に
驟雨めいた 思考の
黒煙を漏らす 眼瞼
少年から 幽鬼へ
....