すべてのおすすめ
別に天国の歌声に耳を奪われている訳じゃない
地獄の底から湧き上る苦悶の呻きに眠れない訳でも
聞いているのはこの世界 尽きることのないお喋りと
拮抗しながら 解かれて往く 形あるものの軋み
....
その夜空に
つよく金色に光らせた
するどい星で
屠るように
線を引いてしまった
星は消えそうして夜は終わり――
(やがて陽は昇った)
ぼくは
ぼくの目は
ぼくの頬は
....
赤子が泣いてる
怯えて泣いてる
しがみつき
泣きじゃくり
ぬくもり求めてる
母の胸の中
すやすや眠る
夢見てる
鳥の夢
花の夢
笑ってる
....
まだ晴れている朝
片方の前髪だけ趣向を変えて
より露わになった左半分の肌色が
まるで新調の石鹸かなにかのように光っている
かつては他人の雨傘をほんの少しの間だけ
秘密の甘い果実として共有し合 ....
悲しまないで御姉さん
LEDでもない安い光のしたで
そんなことを楽譜にします
インスタントラーメン二人ぶんつくって
踏切までの坂道を考えています
なんで平気なんだろう ....
オレはだあれも来ない神社の神様だ
霊格が
人格ぐらいまで錆びついて来やがった
だからもう腹も立たないし
だれかのために
一生懸命になるようなことももうない
金持 ....
二等辺三角形の鋭利の角度は
圧迫された空間に横たわる
平穏の日常までが揺れている
溢れた人命の数と延髄の覚醒
言葉はもはや暴力であるが
沈黙もどこかそれに似ている
都市はやはり欲望の結 ....
花のかたちは化かしあい
化かしあいはいたいけな愛のかたち
水はかたちをかえていく
とめどなくこんなとこまで流れ来る
不安と寂しさがまじりあう
健気な生き物たちを迷わせ ....
ワイフが夜中に突然跳ね起きた
「どうしたんだよ」と尋ねたら
「いや!怖かった!
追いかけられる夢をみていた」
「そういう時は逃げちゃいけないんだよ
逃げるから追いかけられるんだよ」
目が覚 ....
時計のないまちを歩くと
歩数計が時間にすりかわる
きみの面影ばかりがやきついた瞳は
きょうも空疎で狭窄しているみたいだし
きのう人参畑だった農地には
いつのまにかウイークリーマンショ ....
右うしろに自然落下
そのまま真横にぶつけて行け
ベッドから飛び降りて
兄貴の身の上ばなしをきく
俺の話もする
暗い因縁めいた続かない出来事ばかりだ
ドローンはつまら ....
癒して 月
トカゲのしっぽ
電車に轢かれて
切れちゃった
血も涙も
出ない切り口から
コルクが伸びて
油断したあいつのハート
からめとる
好意と憎悪を織り交ぜながら
交わす唾液 ....
妖怪を詰め
妖精を詰め
見たこともない色彩のスペクトルよ
野性と滲み
偶然と繊細
子供が死んでも世界は音さえしない
米中の大量破壊兵器
目ぢからだけで戦う ....
どんな黒よりも黒い黒の髪
黒い髪をさらに黒で染め上げたように
さらに黒で染め上げたように
夜よりも黒い 漆の中の黒
煌めく星々の鱗粉の 黒揚羽の 黒
それから空は夏雲湧き立ち、風は川を越えて丘を越えて、それから線路を越えて団地を越えて、それからあの家の窓を抜けて、あの白い壁の部屋をぐるりと回る。部屋には檻があって虎がいて、虎は檻の中で待っている。誰 ....
浮上した潜水艦で灰色の海原をゆく
索敵されなければ帰れるかも知れない
よくある話だ
紛争地帯から戻ってきたカメラマンが
青信号の交差点で車に突っ込まれるなんて
たとえ港に ....
薄くにじむ曇天に
陽は破れ
私たちは歩く
口の尖った犬を抱えて
濃い実の残る柿の梢に
風をぶら下げて
風の飛び去る松の林に
大きな瞳を棲まわせて
薄くにじむ曇天に
陽は動かな ....
{引用=
つやのある蟻のような円らな瞳で、住みついている栗鼠のようにや
さしく微笑みかける。いま柔らかな月光によって冷ややかにコーテ
ィングされながら、か細く流れる川の音のようにやさしくせせらぐ ....
思い出が傷跡に勝ることはない
喜びが悲しみに勝ることもない
その逆を高らかに歌いたいのか
荒れ狂う波を逃れて舞い上がる
喜びの 幸いの 愛の翼を
だが日々萎れて往く切り花のように
全ては古 ....
樹林帯の中の一本のブナの木に粘液の足跡を残しながらその大蛞蝓はたたずんでいた。
雨は樹冠から大木の幹をつたい流れている。
大蛞蝓にとって、雨は自分の分身のようでもあり、慈雨の恵みなのかもしれ ....
川が近づいてそっと入っていく
金属くさい くさい 私と
その鎖のつながりあるところまで
この世が終わるなら私ひとりだけ終わっていいと
いつも思っていた いつも思っていた ....
大学に居着いた野良猫のチャッピー
理系の癖に高校の全国実力テストで現国全国1位だった君
わたしの事も野良猫のチャッピーの事も書かないよとあなたは言った
結構繊細だよね。
わ ....
「海のサル」
ローションをつかって
亀頭オナニーをしていたら
突然、眼前の風景が変わった!
オレは下半身のみを海面下に浸して
海も空もどこまでも晴れわたって
青くてもうとにか ....
私は、書かない。一文字たりとも書かない。何があろうとも、絶対に、絶対に書かない。
あの春の出会いについて書かない。
あの夏の思い出について書かない。
あの秋の大喧嘩について書かない。
あの ....
痛いほど歪めたsmileで
あらゆる価値を打ちのめす
dirtyなcupid、dirtyなcupid
悲しみのない国から来た
右手はLOVE、左手はDEATH
両手で俺に差し伸べる
ウ ....
わたしの骨がぎくしゃくと、鳴る
肯定的な歌
1+1=人間じゃない
不恰好な日々のつまずき、こそ
しんしんと軋み泣く骨の{ルビ声音=こわね}、こそ
人間の調べ
すけるとんよ
ぎくし ....
意識はふくらみ 肉体から浮き上る
こどもの手に握られた風船みたいに
実体のない 軽すぎるガスで ぱんぱんになった
自我――今にも破裂しそう(でなかなか破裂しない)
が 明後日の風に弄られる
....
水面から突き出し露わにされた
見えざる岩の 固く 鋭い突端
流れを切り裂いて
空間を満たしとどまることのない
行進を
ただ白く ....
台風のあと散らずにいた
白い小菊の花びらの中に座り
濡れた髪など乾かしながら
やっとひとごこちつく
清涼な香りに
生き返るここちする
草むらで横たわった猫は
生き返らなかった
その ....
雨ばかり降るね
まるでお日様がいなくなってしまったみたい
天岩戸伝説みたいに宴でも開いたら
お日様 姿を見せてくれるかしら
{ルビ天照大御神=あまてらすおおみかみ}は太陽の神様で
隠れてしま ....
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