すべてのおすすめ
今日の初めの一歩は
泥濘んだ土の上
靴が滑るのを必死に留まった
右足が自分の意志に逆らって
少し前に進む感覚は
ほんの少しでありながら
驚異であると同時に
快感さえも感じられる
....
吐き気を催すほどの閉塞感
我慢をし過ぎるなと常に言い聞かせているのに
自分でも上限を認識できないらしい
まるで他人事のようだ
優しい気持ちをどこかに置き忘れて
目の前をすべて遮断する
独り ....
この虚ろな気持ちは
満たされることなく
時間が過ぎてゆく
笑顔の作り方を忘れ
言葉を発することもなく
身動きもせずに
ただ一点を探して
視線が彷徨う
宇宙の闇には
光の射 ....
汗に塗れた自分の身体が
悪臭を放っているのではないかと気になる
居心地の悪い想いを拭えず
いたたまれずに苦笑いをしてみる
誤魔化したい逃げ出したい
だのに身動きがとれない
拷問 ....
言葉にするとすべてが嘘に変わってしまいそうで
だからずっと黙っていよう
嬉しいことも悲しいことも
なにもかもを飲み込んで
明日もこうやってここにいなくちゃならないし
行く場所なんてほ ....
一直線の細い雨が降り注ぐ
大海原はビクリともせず
静寂で寛大で奇妙で
恐ろしい
嵐の前の静けさというのか
不気味なほどのしじまは
いつまで続くのか
素足のままでいいのか
ここで ....
君が通りすぎたとき
羽根が一枚落ちた
真黒な羽根は美しく
光を放つほどだった
僕は心配したけれど
君は痛みを感じていなかった
僕が羽根を拾い上げても
君は驚きもしなかった
....
いつも優しい気持ちでいたい
そう思うのは嘘じゃない
常に穏やかな気持ちでいたい
本当にそう思っている
だのにそうはできないのは
私が悪い子だからだろうか
怒りに顔を赤らめ
哀 ....
真夏日の暑さが続く中の発熱は厄介で
自らの体温と外気がほぼ同じというのは
得も言われぬ不思議な感覚を覚える
体温計の目盛が三八度を越えると
自分はいかにも重病人になった気分で
悲劇の主人公よ ....
力の限りに走っているのに
ふんわりとスローモーション
もうすぐこの世の中が
終わってしまうのだろうか
一滴の雨が頬を伝う
生える緑の匂いが鼻を突く
右足が地に着くと
ずしりと沈み
ボタ ....
華やかに散ってゆく
花びらは雨だれに撃たれ
風に身を捩らせて
朽ちてゆく
救われることなく
踏みにじられて
それでもなお凛と
色を失わず
最後の一瞬までも
華であり続ける
誇らしげ ....
月が見えない
こんな夜は
余計に淋しい
仲間を探してみようか
そんな想いが過る
よしとこう
どうせ見つかるはずはない
吠えてみようか
誰か返してくれるかもしれない
なにを期待 ....
明日の姿が見たくて
空を仰ぐけれど
深い藍の色が拡がるばかりで
不安を覚えたくなる
1 2