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仕事で疲れ果てて休みを取った日、君は仕事に出かけ、そのまま遠くの病院に行き実家に泊まってくる予定だ。僕は仕事からも君からも離れて、独身の頃のようにワープロソフトを開いている。人生は端的に切ない。そこに　.... 愛という血縁につながれて
異なる血を持つ僕たちは家族となった
異なる性と異なる音階、異なる正義を携えて
家族には形而上学がいらない
大地に根差した食事と空から降る会話だけでいい
宇宙に似　.... つめたい空がまっすぐに
地上に降り立ち響いている
その響きに応えるために
僕たちはそれぞれの手鏡をそろえた
光が未熟で流動する朝
誰かの唇には鋼鉄が芽吹いている
この建築の群れを貫くに　.... 晴れた空に小さな雨粒が兆す
漆黒の夜に光の種が兆す
そのようにして
私は私を兆す
死せる沈黙から呟きを
倦んだ身体から歩行を
鈍い感覚に一閃の痛みを 人のいない事務所では
書類から何から死骸のようだ
我々もみな死骸として
書類という死骸と
戯れているに過ぎない
事務所ではすべてが死んでいる
やがて勤め人が出勤し
事務所は賑わいを取　.... 公園には裸体がある
川のせせらぎの裸体に
虫の鳴き声の裸体
私もまた人間の裸形となって
身体中から言葉をこぼしていく
仕事の息継ぎのように
溺れまいとしてとった休暇
ここには社会がな　.... シンフォニック・メタルを車内に流しながら早朝の峠道を走る。車体がカーブを曲がるごとに風景はうねり、木々も道路も正しさを見分けることができなくなっている。現実という熱い海に溺れながら社会的反射神　.... 本質は本質として朽ちていき、装飾や細部にこそ神は宿るのだった。仕事は論理によって組み立てられた城であるが、その堅固さを基礎づけているのはむしろ至る所にある建具の装飾なのである。龍の形をしたり雲　.... 夏に投げ出された一冊の本が響いている
怒りでもなく哀しみでもなく喜びでもなく
ただ一冊であることの響きに満ちあふれている
本は活字の結晶として
この夏の暑気により一層硬くなる
これ以　.... この夏の澄んだ空気の中、あなたの墓前では、存在が、歴史が、社会が、人生が、すべて源泉に遡っていく。存在は素裸になって積み上げられ、歴史はその体躯をいよいよ明らかに投げ出し、社会はその緊密な構造を再　.... 傾斜を下り刺し殺された命たち
多くの者は海の最果てで
多くの者は自明な住宅で
この土地で地を這い工事していると
命たちが呼吸に紛れ込んでくる
もはや死んだ命たちは生活の粒子
我々の　.... 大震災と原発事故で被害を受けた土地に赴任して、日々復興の仕事をしながらもう一年になる。右も左もわからないうちから多くの仕事を任されてなかなか苦労した。今では大抵の仕事に慣れてきて、来年度に向け　.... 人間を開けるための鍵は
どこにも売っていない
水道管から漏れ出た水とともに流れ出すように
都市の末端に転がっている
人間を鍵で開けると
中に隠されているものは
小さな地球
人間は　.... 人のいない真昼
都市は連帯に悶えていて
都市の配管の末に一滴の誓いが芽生える
真昼の誓いは沙漠へと向かい
死の永続性を砂に誓う

涸れ果てた湖を
野獣の群れが飛び交っていく
無限に　.... 時間が感覚している
巨大なてのひらが極めて薄くなり
眼を開く刻限を探っている
仏は舞い散っては脱皮して
柱を支える土壌に滲み込んでいく
空間が覚醒している
門の内と外は色濃く混じり合って
　.... 葉が咲いている
膨大な緑素の内側に隠されていた
すがすがしい高熱が
いま葉をじりじりと焼いている
葉を継ぐものたちへと自らを遺すため
いま葉は美しい自殺を持続している
葉は世界の画素と　.... 君の姿を初めて見たとき
君の顔は白く固まっていた
初めましてのあいさつが遅れたね
僕は君の叔父さんだ
安らかに眠るといい
眠るために生まれたんだよ
君はきっと
君の顔は美しく化粧　.... 夏の間中じっくり眠り込んでいたものたちが
大地をぬぐうように冷たい夢を放ち始める
夢とうつつとが激しくこすれ合う中
秋の虫たちは生まれ秋の草たちは伸びる
夢が散り散りになって燃え果てていく　.... 死は形を持たない
一つの過程があるだけである
死の過程の支流に絡まることにより
私の過程も死と斉唱を始める
誰も呼ばない声がする
誰も来ない足音がする
だが空間が膨大に隔たっていて　.... 手を伸ばす
その先に誰もいなくて
その先に何もなくても
手を伸ばす
朝陽が至るところに集まっている
密度を増すことで却って希釈されていく
暗示と黙示ばかりがにぎやかで
記号が融け落ち　.... 炎が眠っている
その熱と光を休めながら
かつて燃えたことを証明する
灰が柔らかな布団になって
炎は夢を見ている
かつて照らし出した
闇の中に浮き立つ人の顔が
ばらばらになって融合　.... 雫が膨らんで
水の花を咲かせた
春というあいまいなかたまりが
名前を速やかに消し去った
ためらう太陽の灼熱に
逆らっていく風の翼が折れて
時間は無限に挫折を繰り返す
英雄の墓が芽を吹き
　.... 季節の冬ではなく
神経の冬がやってくる
いつの間にか肉も骨も失って
外界に直接神経で接触するようになった
神経は少しずつ削ぎ落とされ
細く細く、極限まで細く
硬く硬く、張り詰めてしまって
　....
ひだかたけしさんの葉leafさんおすすめリスト（23）
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
小休止- 葉leaf自由詩220-3-2
家族- 葉leaf自由詩319-3-6
冬の訪れ- 葉leaf自由詩318-11-2
兆し- 葉leaf自由詩317-10-12
オフィスの死骸- 葉leaf自由詩517-10-5
東ヶ丘公園- 葉leaf自由詩317-9-21
おぼれる- 葉leaf自由詩217-9-15
三十五歳- 葉leaf自由詩417-7-31
夏日- 葉leaf自由詩117-7-29
源泉- 葉leaf自由詩117-7-28
生活の粒子- 葉leaf自由詩317-6-6
土地- 葉leaf自由詩417-3-10
鍵- 葉leaf自由詩217-2-25
誓い- 葉leaf自由詩817-2-13
寺院- 葉leaf自由詩416-11-20
紅葉- 葉leaf自由詩416-11-3
葬儀- 葉leaf自由詩816-10-22
秋のはじまり- 葉leaf自由詩316-8-29
望郷- 葉leaf自由詩116-7-16
バス- 葉leaf自由詩316-6-28
眠った炎- 葉leaf自由詩1516-5-14
Spring_Song- 葉leaf自由詩616-5-3
神経の冬- 葉leaf自由詩216-4-17
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