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あなたの息づかい
あなたの体温
ほんとはね、わたし、それだけで生きていけるの
夜が明けたら
真っ白の世界
魔法使いが杖をひとふり
呪文を唱えた
犬は喜び 庭駆けまわり
猫のあたしも
心躍る
歩道橋ですれ違う子どもはみんな
いつもよりはしゃいで見える
い ....
もう二度と歌は歌わない
そう決めたのは
合唱コンクールの練習の時
隣の子がクスッと笑ったから
以来本当に僕は歌を歌わなかった
音楽の時間は口パクで通したし
歌のテストの日はズル休みをした
....
肉体だけが失われた
魂だけになった人々のすむ世界は
遠くて
案外近い、のではないか
たとえば
風の吹いてくる方角に向かい立ち
乾いてゆく眼球の映す景色が
そのまばたきのたびに
一枚 ....
冬庭は音符を奏でる
花の終わった残骸は
案外気難しく
やっと植木鉢から引き抜けば
無数にめぐらせた白い根は
持てるかぎりの土をかかえこんでいる
ああ うたはここからも
うまれてきてい ....
母から聞いた遠い日の思い出話です
貧しい農家だった父と母は
農耕馬に馬橇を引かせ
町の市場へ暮れの買い物に行きました
正月のための食材を買い
家族の冬のビタミン源として
おそらく当 ....
真夏の鳥取砂丘には
ただ一本の樹さえなく
にぎわう人と数頭のらくだの黒い影を
その茶色の肌にゆらしていた
運動靴を履いてきたけれど
砂に足をとられて歩きにくい
切れる息
額から滴る汗 ....
渇いた落ち葉を踏んで歩いた
湿ったアスファルトに
暗い空から
時折雪がこぼれてきた
かじかんだ手で傘の柄を握り
歩いたことのない道を選んで
なるべく迷子になるように
帰る方角 ....
晩秋の頃
血を吐くように
楓は赫く染まる
握り拳ほどの肉塊
女は躯に楓を孕んだ
命の蘇生
輪廻転生する魂
春になれば
....
突然の驟雨に匂い立つ森が私を呼んでいる。
どうしようもなくお前たちに会いたいがそれが出来ない。
胸苦しさが止まらない。
次に生まれてくるなら私は森になりたい。
何かに生かして ....
時々思考が靴擦れしてしまって
開いた口が痛い痛いと叫んでしまう
時々思考がふやけてしまって
歯ごたえのない口になってしまっている
時々思考が気化してしまって
きかない筈の口も ....
太った
ぶくぶくと
心はやせていくのにね
あなたが水草だった頃
わたしは産まれた
あなたは水草の味がした
ここにつどうすべてのいのちは
いのちをきょうゆうしている
だから
それをざんこくなどとおもわないでおくれ
あなたは ....
憧れの地を目指し
長い旅に出たはずだった
針葉樹林が空を突き刺し
波頭が眠たげにまばたいて
気球に乗った少年が
スローモーションで手を振っていた
漂う筏に寝そべって
分厚い書物を読み ....
朝、駐車場の前に
犬の糞が落ちていた
私は舌打ちをして
それをテッシュに包んで
ゴミ箱へ捨てた
二日後、駐車場の前に
また犬の糞が落ちていた
私は憤慨し殺虫剤を撒き散らし
水を入れ ....
今日という日の終わりに君の事を想うよ。
僕の枕元に降りてきた天使。
信じるってことを忘れていたよ。
寂しさなんてどこかへ消えていったよ。
今日という日が終わろうとするその時に ....
予想を遥かに上回り
伸び過ぎて
手に負えないほど
細い支柱に幾重にも絡まった蔓を
所々自分で縛った紐をほどきながら
根気よくはずしていった
はじめは
知恵の輪をはずすようで
楽しか ....
勝たなくていい
負けなくていい
それで、いい
夜全体が不気味な光を投げてくる
私の窓辺に晩秋の風がやってくる。
あの山の麓の村にもそれは訪れただろうか。
恋しくてたまらない。
我が半身は今どこを旅しているのだろう。
想像の翼を広げてみれば新たな地図が必要ら ....
人は忙しい
食べなければならないし
時々泣かなければならない
すべてなげうって
頁のなかほどでずっと
うずくまっていられたら
どんなにいいかとも
思うけれど
ごめんね
もう行 ....
無関心無関心夜のままのセロファン
太陽の爪が喉にひっかかり時差ボケなおらない
言葉を
全力で守る
シュプレヒコールを唱える事が
ハロウィンのパレードと
どれだけ同じに見えようと
発言するほど
唇寒く
弱点を突かれ
攻撃されることになる ....
月曜日の朝はよほど嫌な顔をしてるのだろう
だからか、いつもより少し長めのいってらっしゃいのチュー
それがぼくのビタミン愛
夢の尾はいつだって手からすべりはなれてゆく
そして明けて
朝、
つかみそこねた少し乾いたその手触りを思い出している
どんなにこごえても
血液は凍らないやさしい不思議だとか
たとえ凍ったとし ....
晩秋の風は悩みをはらみながら私の窓辺にやってくる。
ああ、悩ましい。私は上手に言葉を紡げない。
限界を超えたところに真実があるのなら私はそれを見たいと願う。
私の存在に真実があるのな ....
母子で違う月を見ている
軽トラックの
荷台から
あふれんばかりの、かや
山盛りということはこういうことだ
現役で農作業をされている人が
こんなにも近くにいるということが
無性に嬉しい
今朝スーパーで見かけた車の ....
闇がさらけだされる
十三夜
君ものぞき見しているだろうか
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