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晩秋の頃
血を吐くように
楓は赫く染まる
握り拳ほどの肉塊
女は躯に楓を孕んだ
命の蘇生
輪廻転生する魂
春になれば
....
朝、駐車場の前に
犬の糞が落ちていた
私は舌打ちをして
それをテッシュに包んで
ゴミ箱へ捨てた
二日後、駐車場の前に
また犬の糞が落ちていた
私は憤慨し殺虫剤を撒き散らし
水を入れ ....
築十八年になる
カステラハウスと呼ばれる
小さな三階建ての家に住んでいる
毎週日曜日になると
潔癖症の夫と二人で掃除をする
掃除機を抱えて 嬉々と
バトルスーツをきた戦士のように
家 ....
『夕暮れ』
寂しいと呟けば
誰かが
肩を抱いてくれそうな
そんな
秋の夕暮れに
『曼珠沙華』
野辺の道に咲く
真っ赤な曼珠沙華が
やけに扇情的で
まるで娼婦のようだ ....
一匹の青むしが
道路を横断している
ゆっくりと
ゆっくりと
(小さな青虫だから)
這っていく
きっと
道路を渡りきってしまう前に
あの青むしは
車に轢かれてしまうだろう
そ ....