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地面にめりこむようにして死んでいた
獣は獣として死んでいた
そして
殺したのは私たちなのだろう
忘れてはならないと思う
私もいつか
死ぬだろう
忘れてはならないと思う
死ぬというこ ....
川は流れをかえて
小さな水たまりを残していった
そこで鳥は水をあびていた
なんども
もしかしたら魚もいたのかもしれない
水浴びをした鳥はその
綺麗な羽をおしげもなく震わせて
水を切り捨て ....
あめの山にはいって木をきる人がいる
チェンソーをひびかせて
切る理由がある木なのだろうが
私にはわからない
他とどう違うのか
倒されてゆく木も
生かされている木も
ただ黙って空をみて ....
いつも正しいことについて考えている
正しくありたいから
せめて明日に
まっすぐ歩きたいと考えている
時間がないから
せめて明日は
悲しい気持ちは捨てたい
どうにもできないのを知っ ....
ソースとかしょうゆみたいに
自然にテーブルに乗っかってたい
だれにも気にされないぐらい
自然に過ごしてたい
たまには大量に必要とされたい
いろんなことが起きる
普通の居間の
普通のテ ....
優しくするのに理由があるとしたら
されないほうが幸せなのかもしれない
てんびんみたいに均等なんてありえない
庭でつばめが巣をつくる
それをねらってへびがくる
去年へびは雛を喰った
なの ....
透明人間になったらさみしくない
あなたの枕元にたったり
耳元でこしょこしょ話したりできるし
そっと服にはりついて会社にいったりもできる
透明人間になったらこわくない
噂話も知らん顔できる ....
山から
猫のひげみたいな藤がでているね
紫いろのつんつんを
みあげて歩く道は
いつもの道
悲しくても
うれしくても歩く
いつもの道
十二月三十一日で神様と決別した
もう神を頼らない
歯医者で思わず
神様! なんてすがらないし
こわい検査の前にもうっかり
神様のあしをつかもうと考えない
子供の頃必死で
神を憎ん ....
おかあさんだいすき
おかあさんだいきらい
どっちもほんとう
どっちもうそ
おかあさんは私の味方
だからおかあさんが重い
おかあさんはありがたい
おかあさんがしぬなんて考えられない ....
捨てようとおもいました
いろいろなものを
捨てようと
たくさんのものに囲まれて
いては息ができないと
重いとおもったから
でも
どれにもそれにも
わたしがいて
捨てたかっ ....
また道路に死体がありました
カラスが群がっていました
車たちは知らん顔で通り過ぎるのです
また道路に死体がありました
いつ死んだのかもわかりません
私はみなかった
なんの死体なのか ....
わたしをつくったのはだれですか
どうしてつくったのですか
びょうどうとはなんですか
それはいいものですか
わからないことだらけです
わからないままおとなになってもいいので ....
夜になるといつも
自分しかみえない
だからさみしくなるんだ
朝がくれば世界がみえる
だから歩きだすんだ
さみしい夜を
こえるために眠るんだね
なんのためになんて考えない
い ....
川の中に鳥が三羽
岸に一羽
川の中の鳥は
水にもぐったり泳いだり
一生懸命にみえる
三羽は家族にみえる
話しあっているようにみえる
岸の一羽
みなに背をむけている
別の方 ....
すきなひとに気軽に
すきと言えないように
きらいなひとにきらいと
言えるはずもない
一緒の鍋をつついても
心にふれないよう気をくばる
湯気があたりをぼやかして
ほんとのことが ....
そうだね
って言うのはむずかしい
たったひとことなのに
そうだね
って言えない
認めたくないわけじゃないと
おもったけどやっぱり
認めたくないのかもしれない
わたしは正しい ....
こどものころ
うそをつくときドキドキした
あいての顔をみられなかった
今は簡単に嘘がつける
安心して話しができる
ほんとうのことは
真っ白な綿につつんで
大きな木の根っこにうめる ....
夜のある時間には
落とし穴があるのです
いきなりストン
やれやれです
居心地よかったり
泣きたいのに泣けなかったり
しにたくなったり
落とし穴が
ちゃんとあることにほっとし ....
夕焼けは
顔をあげていないと
みえないよ
すいこまれたいような
あかい方向には
どんな世界があるの
今日の失敗とんでゆけ
じきにくる夜に
おいかけられている私