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僕はいつでも
丸いから
君は僕の襟足を鷲掴み
えいっとばかりに
放り投げる
どんなに空高く飛んでいっても
僕は君の胸元に ふらり舞い戻る
それが僕の愛 ....
それはすてきな
なつのそらを
かついでかえったのに
いない
なつくさのみどり
たっぷりと
しみこませたのに
いない
さっきとったトマト
しおかけて
きゅーっとうまいのに
....
いくら温めても孵らない夕暮れに
灯りはじめた明りが視線にぶら下がっている
帰り道を間違えた私は
街角を覆う木の下で傾くようにして
蝉は鳴かない
明日への蓄えを手のひらに溜めるようにして
燃 ....
{引用=
水は低いほうへ流れてゆくのだよ
}
空がようやく白みはじめた
霧の山小屋
去りゆく人の走り書き
{引用=
めざとくえらんで流れ込み
いつかは、とまる
....
空をゆく流氷が
原に立つ子の瞳に映る
旧い川が運ぶ黒い土
小さな光の波
いつの日か原に
何本も土の柱が立ち
やがて次々と倒れ
原を埋めていった
原はうね ....
花陰に風はやどり
月星を愛で
いつしか
浅い眠りにおちて
天の川から
舟を漕ぎ出し
月のうさぎに恋をして
手に手をとって
星々をめぐる旅をする
そんな甘い夢をみた
....
グラスの縁を滑り落ちる
雫のまるい膨らみの中に
千切りそこねた夏景色
麦藁帽子の少女の幻を閉じ込めて
氷の欠片をもてあそぶ指先の
すこし伸ばした爪は
太陽と同じ色に染められて
行き場 ....
花火だとか祭りだとかその類の
絵柄を下にして
団扇を伏せるという其の場凌ぎの隠滅法は
やけた畳の匂いがします
だから
私の脈拍が夏風邪に飛び降ります
溶け果てた氷枕の代 ....
深くまでつづいている
いつか見失った道の先にある、森で
夏の日
ぼくたちは、生まれた
頭上には空があった
ぼくたちと空の間を通り過ぎてく風があった
ふりそそぐものは、光
光とも見 ....
君がぽかんと口を開けているのは
口の中で風が吹いているからだ
その正体が何であるのか
問う方法も知らないまま
ある日突然に
君は君であることに気づくだろう
そしてそれは
君が君で無いこと ....
わたしは宇宙人を見つけた
自分でそう言っていたから
たぶん宇宙人なんだと思う
宇宙人はロックバーのトイレで煙草を吸っていた
フロアが混みすぎていたからだと思う
ずいぶん痩せているから
....
おばあさん たべねば だめだ
見舞いにきた人が
そう 励ましてから
おばあさんの 体調は悪化した
食べれねぐなったがら もうだめだ
と 急に思いつめたらしい
看護婦さんがみかね ....
月のきれいな夜に友達に言った
そんなポンコツスクーターじゃ
どうがんばっても月には行けない
じゃあ見てろ、と友達は言うと
アクセルを一ひねりして
鳥海山をジャンプ台にして
飛んでいってしま ....
帰り道に迷って
泣いてる子羊
あの空の羊雲は
違うよ
君の帰るところじゃない
涙を拭いてよく見てごらん
発見はいつも
ほんの足元からはじまるんだ
背伸びをしてると
ほんと ....
ボール紙で出来た
四角いお菓子の箱
砂に塗れて
埋もれていた
ガムテープで止められた
蓋をこじ開けようとして
恐怖に手がすくむ
この中には
赤ちゃんが入ってる
たぶん
....
体育の後の教室
濡れ髪のフローラルを手でおおいながら
つかのまの夏に飛び込んだ
空の青は私の青を許してくれる青で
急アングルにめまいながら
ただ 何かを得たいと思っていた
胸が腫れ ....
こんにちは
頼りのない足取りの青年が囁く
こんにちは
つぼみのままの桔梗のようなからだが
治療病棟の個室に吸いこまれる
「若松さん。」
人の傷跡が残る廊下に ただよう消毒液のにおい
若松 ....
平日のストレンジャーは 知ったかぶりでを街を読む
河岸を撫で上げて 風は
わかい緑のたちこめる
捕まって あおられて 木漏れ日の空を仰ぐ
油断だらけの表皮に 羽は
微動の小虫 無数の交差 半 ....
甘栗むいちゃいました
三点倒立で甘栗むいちゃいました
航空ショーで甘栗むいちゃいました
筋肉ミュージカルで甘栗むいちゃいました
死海で浮かびながら甘栗むいちゃいました
女性専用車両で甘栗むい ....
<早朝のめまい>
無数の針が 雪の地平線に整列してゆく
朝日に小刻みに照らされて
瀬戸際の美しさを
告げている
銀色の予感はめまいの中で
怖れながら起立する
人肌の息を含んで 撚りをかけ ....
きれいだよ
声は
寒空を切り裂いて
一万カラットの流星を産みおとした
ありがとう
たましいとからだは別のもの
暴言を
内臓にしまい続けてから
もう
泣きぬれて びしょ ....
2月になりはしても 北方の冬は
大雪の屋根に腰掛けたまま
目を細めて今日も 微笑んでいる
南風の萌黄色のシフォンスカートを
夜明けごといたずらに ほつれさせながら
生まれた街では凍える ....
薄曇りから
薄く、射す、朝
射す、薄く、朝
灰汁のような、擦り硝子
カーテンの、微細なファイバーの乱反射も、吃り
秩序が溜まってゆく食卓は
ピルケースのように正しく
グラニ ....
この前
青白い顔をして
「死にたい」
と言う客が
いましたので
僕は宮沢賢治にならって
「怖がらなくてもいい」
と言ったところ
「私はそんな事を聞きに
きたんじゃない」と
ぷ ....
からだにはいつも火の精が住んでいて
受け入れる場所で炎を上げる
紅をさしたような君の唇からは
水の精がそっと頬を濡らす
「知っていますか、
とってもやわらかいんだ。」
強く抱かれ ....
空腹だけは真実だ
R246、クラウンのシートにてやや傾く
高架下の信号待ちでスパイラルカフェの
ランチについて考えている
急発進がサイドブレーキを促す
再び加速
する、欲 ....
砂塵に覆われたコンクリート
目を凝らせば
ほつれ落ちた枯れ枝、その向こう
目を凝らせば
灰皿代わりだった冷たい赤い一斗缶、その向こう
公園を閉じ込め続ける鉄条網、その向こう
澄 ....
指にはさまれた紙片はガラスの破片のように鋭利に
あなたの皮膚を切っているらしかった
あなたの体液はきっとすこし酸っぱいのだろう
あなたの指を舐めている蛙は
横に広いはずの口を丸めている
....
渋谷だらけの東京を秋雨前線が通過していく
地下鉄は簡単
指先のさじ加減で喜ぶことも可能です
走れ!って ぎっ?
トルエンをやめて三年目の兄弟が叩くレジから発生した油
川の流れ ....
ゆきちゃんを迎えに行くと
金木犀の香り
静かなおうちの中には
病気のおばあちゃん
少し日当たりの悪いお庭に咲く
石蕗や
柊
藤袴
「お勉強するから遊べないの」
そういって、優しく ....
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