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その川は病院の屋上にあった
男はゆっくりと川に入った

  早暁の屋上には看護師はいなかった
  監視カメラも男をとがめなかった

男の中で長年… 
そう 半世紀ものあいだ
渡りきれな ....
何故今頃になって
勝手に行ってしまった
お前の骨を洗わなくてはならないのだ


だが、
俺はお前の遺骸など
決して見たくはなかったんだ

お前の屍のぬめりなど洗いたくはなかった
約 ....
知らないあの子。知ってる私
話せるのは知ってる私
知らないあの子には話せない
目を見てなんて会話にならない
あの、えっと〜、あれ、
顔を赤く染めて言葉にならない
子どもならそれでもいい
 ....
初めて君に遭ったとき
君の瞳によぎった喜びの表情を
俺は見逃さなかった

人生で与えられる物は少ないが
創造という風をいつかつかまえることができたら
上出来な人生といえるだろう

醗酵 ....
  
昼間の火照りから解放された夕暮れ
ビルから流れ出た人たちが
睡蓮の群生する池の畔を帰っていく

池の畔のベンチに若い女が独り
 ....
静寂

   
街の喧騒から離れ
柔らかい羽根の中 疲れを癒す

遠くから誰かの放つエナジーが波形となり伝わる
独り蛍光色に染まり
人工ワールドの球体を転がる

浮遊するこの世の細 ....
土曜の午後
甘ったるいコーヒーを飲みながら
考えている 

風は南風
明日は梅雨入りの様だ

蛙の鳴き声がうるさい季節に
少し戸惑って
答えを急いでいる私

薬指に指輪がない君は ....
朝の光に濡れた電車には
七人掛けのシートに七人が腰を下ろし
つり革にも人の手がゆれていた

厳つい男と痩せた男の間に
若い女がはまり込み
ゆらーり ゆらりと
自分の世界で揺れ始めた
 ....
定期便さえない南の離島で
ひっそり平和に暮らす家族も
獣道のような細い山道の奥に
密かに暮らす人々も
二十一世紀は容赦なく襲いかかり
その存在を世界に知らせてしまう

 ここに珍しい十八 ....
霧吹きのような雨はふかみどり

胸の奥まで吸い込んで

わたしは森になる

しばらくすれば

じゅうぶんに水を含み

耳を傾ける

彼らは

永遠を指し示すこと ....
久し振りに訪れた賽の河原
幼子が鬼に虐められていないかと降り立てば
広々とした河原には鬼が一匹 所在曲げに石をつんでいた

おめえ 何やってんだ
子どもが少ないが 
まさか食っちまったので ....
   人は生死の境をさまようとき
   花園を見ると言うけれど
   地獄の蓋が開くという彼岸に
   見たのは色を失った現世だった

闇の空から眺めていた
墨色の広大な砂場には
まばら ....
雀始巣
すずめはじめてすくう


佐藤さんちの玄関の
パンジーの寄せ植えから
オハヨウを拾い上げて

鈴木さんちのベランダの
古い室外機の裏側から
サビシイを探し出して

 ....
かなしみが河いっぱいにあふれて
よろこびも一緒にいる

まるで流し絵のように一緒にゆるやかに
色をなしてゆくもう痛みもない河畔に

ちょっと嘘つきでよゆうのない自分が居て
漢字変換ではも ....
コンビニエンスストアーは小遣いがあるときはぼくらのポケットだが
だいすきなしょーもないもの以外はたいがいなんでも売ってるみたいだ

いつも仕事に出かける時は装備の点検をして
会社でも点呼をうけ ....
空から
剥がれた薄皮が
ふうわり落ちてきて
森と街と人の
あらゆる隙間を
滲ませる

君から
届いたLINEが
妙に素っ気ないのが
どうでもよくなるくらい
僕の指と吐息は
 ....
笑っている或は微笑んでいるきみを
僕は安心して受けとめるだろう
ボディランゲージとして

でもひとりになったときの
君の顔をしらないんだ

あっけらかんとしてあの時は不倫しててね
と皆 ....
指で感じて
頭で捏ねくり回して
指で嘘をつく

唇で感じて
頭で探し切れず
唇で誤魔化す

背中で感じても
頭は留守で
背中は語れない

爪先で感じても  ....
花粉も埃も取り去った無菌室で
くらしていますが
危険はどこかに潜んでいて
いつも隙をうかがっているのです

みがききぬかれた手すりが
不思議なことに
摩擦をなくしていたり
すべらないゴ ....
なんとなく
気配を感じて振り向くと
君は精一杯まん丸い目をして
じっとこちらを見つめていた

一番好きな映画の
一番良いシーンを横目で追いながら
僕は君の真っ直ぐな視線に負けて
し ....
風は光と影に囁き
透明な空気を細やかに主張した
何故なら
ある歌の中では 黒が白となり
ある叫びの中では 赤が青になるからだ
透明感のある言葉は一体どこに隠れたのか

人の主張は圧縮され ....
単焦点のレンズをつけて
春を探しに出かける

低い雲が垂れ下がった街は
名前の無い色合いで
マフラーの内側の囁きは
聞き覚えの無い言語で

嫌なものは
ぼんやりとしか見えない
 ....
真っ赤な嘘っぱちを
誰も見抜いてくれなかった

橙色の夕日にとろけそうな
もはや追う者もいなくなった
逃亡者の長過ぎる影

気味の悪い戯言を並べた
ノートの頁は哀しく黄ばんで

 ....
どれくらい時間が経っただろう
もうずっと
海の見える街で
透明な観覧車に乗り
まわっている

昼間の
高い位置からの眺めにみつけた
泳ぐ船体はすこしずつ南方へ向きを変え
遠ざ ....
白い都会の硬い土塁の中
あなたが灯をかかげれば
わたしは虹を灯す

遙かなやまの森の中でも
あなたが歌えば
わたしもさえずる

海の彼方の小さな島で
あなたが跳ねれば
こころは ....
あなたが笑っている
あの頃とちっとも変わらない笑顔で
透明な手が拍手している
わたしの胸が温かくなる

あなたが俯いている
心無い言葉の礫に打ちひしがれて
透明な手が拒んでいる
わ ....
吐く息で散り 
舞う 雪の朝に
傷口のファスナーは下ろしたまま
眼差す問いが鷲づかみにした
瞑る心臓 跳ねる魚
口いっぱいに頬張って
ダシテ マタ クリカエシテ
僕は確実にろうそくより青 ....
目をつむると見えるものがあった

遠くの山頂に輝く光
道は途中で草むらに隠れ
どこまで続いているか見えないけれど
どこかに沢が有り
林間に小道が有り
小動物の通る道など
きっと到達する ....
風を読もうとして
青空の中に人差指を立てた
風上から風下へ
紙飛行機は滑っていった

時を堰き止めたくて
夕焼けの中で小指を絡めた
川上から川下へ
笹舟は忘れ去られた

水面に ....
重たいドアを押して外に出ると
階段を数段上ったところで
思わず立ち止まる

百貨店の屋上は
すっかり様変わりしていた

複雑な段差を組み合わせた
明るい色調のウッドデッキ
オリー ....
為平 澪さんの自由詩おすすめリスト(268)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ある男の命日に- イナエ自由詩11*16-6-20
骨を洗う- レタス自由詩416-6-15
失恋「2」- 独奏自由詩116-6-14
死者の書- 梅昆布茶自由詩1216-6-6
睡蓮池の畔にて- イナエ自由詩14*16-6-6
再生の巣- 星丘涙自由詩4*16-6-5
六月の雨- 星丘涙自由詩7*16-6-4
スマートフォンの間で- イナエ自由詩13*16-5-30
21seiki- イナエ自由詩6*16-5-9
休園日- 自由詩37*16-3-23
賽の河原- イナエ自由詩6*16-3-22
地獄- イナエ自由詩7*16-3-22
雀始巣- nonya自由詩18*16-3-19
be_happy- 梅昆布茶自由詩1516-3-17
コンビニよりあなたの歌へ- 梅昆布茶自由詩916-3-17
春って- nonya自由詩13*16-3-15
たった一人の- 梅昆布茶自由詩1316-3-4
ポンコツ- nonya自由詩16*16-2-26
塀の中が生きる世界の全てだとしても- イナエ自由詩16*16-2-15
君が教えてくれた- nonya自由詩23*16-2-12
- 鷲田自由詩616-2-9
単焦点- nonya自由詩18*16-2-7
虹の後始末- nonya自由詩22*16-2-3
観覧車- 自由詩14*16-2-3
あなたに- イナエ自由詩16*16-2-2
透明な手- nonya自由詩21*16-1-31
抱かれて抱いて- ただのみ ...自由詩19*16-1-30
「目をつむると」_ー歳を取るとはこういうことか(9)ー_- イナエ自由詩16*16-1-25
- nonya自由詩18*16-1-19
煙突と月見うどん- nonya自由詩22*16-1-7

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