魂の底湖碧く潜むヴェスタの涙
広場を暖かく囲んだ木立は嘆いている
「わざわざ緑蔭を設けてやったのに
冬に向かうからといって
裸にするとは
何事だ」と
でも赦しておくれ
それはニンゲンさまの
ご都合主義というエゴ ....
刹那に殺せる だからコーヒーを飲む
人の怒りを侮ってはならない 誰だって人を殺せる
安らかなる思い込み コーヒーは安らかさを引き伸ばす
思い留める為に
微塵の一角を曲がれば 殺人の息が泣 ....
西の空を覆う厚い雲を
僅かに縁取り
淡い光が
放射状に
さらなる高みへ腕を伸ばす
羽毛のような桃色の塊が
透明な大気の層に漂うあたりへ
空はいつまで記憶するだろう
人の視線を
....
笑顔が足らないから
適当な思想が抱きついて
どうしようかと
喉元まで逆流してきた
雲合いも無慈悲に見えて
自分を是が非でも厭ってしまう
口元を咄嗟に手で覆い
少し あかぎれた ....
ひと手間加えて食べにくくなった
飛行機雲でダイイングメッセージ
生まれた日から神の計画はあったのだとして
生まれる前から神の計画の為に準備された人
時の時を経て夫々一人ひとりは生まれたのだ
としたら私の身体を貴方の為に肢体となって
お使い下さい私は何をすれ ....
一通のメールに込めしあの思い 叫ぶ心に君気づかずや
明けない夜はないと教えてくれた人は
暮れない昼もないとは言ってくれなかった
やまない雨はないと教えてくれた人は
永遠の晴れもないと言ってくれなかった
幸せの気配を感じるたびに身構える
....
俺には夢がある、もしその夢が叶ったら
会いたい人がいるんだ。
その人に会う為に自分の夢を叶えたいと思った。
馬鹿な夢だと笑ってくれ
だまされたのかも知れない
甘いにおいに誘われて
近づきすぎた
人だって
グルメな匂いに弱い
縁日の雑踏の中の醤油の臭い
に誘われて
埃と一緒に口に入れる
焼きと ....
鳥葬の似合う枯野を探しけり
私は泣いてしまいたい
心にこびりついた汚れを
落とすために
泣いてしまいたい
まるでどこかの主人公
悲劇のヒロインを気取っている
ボロボロ涙をこぼして
顔をぬぐう私
満足す ....
{引用=
( 竹林に翁が影、竹を切る 音がする )
里はもうそんな時節らしい
路によりそう水の流れ
ここは、暮らしにいつも水音がある
流れる水は 淀むことをし ....
冬海の人近づけぬ厳しさよ その雪代に生きる魚あり
旋律が響き渡る時
時の鼓動が聞こえる
時間はいつも音もなく過ぎ去るが
それは「音」として現れざるを得ない
私には見えない無数の事が
私を取り巻いていつも私を
....
星が結んだ絵に
子は指を使い描く
それは何万年と
変わらぬイラスト
苦しいときに泣くことは、
いっぱい、やってきた
悔しいときに怒ったり、
羨ましくて妬んだり
そんなことは
幾らでも、
やってきた
今日も、あの時、
とって ....
きょうという日に
きょうという火が
ともされる
約束したわけでもないのに
東の空に
明るく
温かい
平等な
きょうが
どこから生まれてくるのか
ボクは
みつけた
旅の途中で ....
君という物語の1ページ目の男を消して俺で埋めたい
最後の晩餐を食べ終えて
テーブルにスプーンを置くと
窓の向こうから
雪の音が聴こえてきました
冬が来たのですね
向かいあっていた老人が微笑むと
春は来ないのですね
隣に ....
頭まで毛布を被り
丸めた背中の向こう岸に
たまった呼吸の骸が、たからもの
眠りはぬくもりに引きずられてくると
信じて布団にもぐりこむ
あなたをここに押しこめたい
寝息の小川を
すい、 ....
極月の国は機密に覆われて
わたしを守ると言ったひとは
わたしに頼れと言ったひとは
みんなどこかへ消えてしまった
抱きかかえようとしても
大きすぎる赤ちゃんでは
腕が痺れて
泣き声だってうるさくて
とてもじゃな ....
海がしょっぱいのは
泣き虫が残した
名残りかもしれません
当て付けかもしれません
海が青いのは
まだ幼くして
生まれ変わったものかもしれません
澄みきった空に
負けたくなかったのか ....
丘を下りる 隠者の音楽
川に浸かる 色の指
まばゆく細い
月の虹彩
ここに在るものは
ここに無いもの
夜は語り
夜は刻む
登るたびに
ちらつく光
さ ....
うつむき すぎた
頭を軽くして
ゆっくり上げると
青空
今日の空は一段と青い
でも
この青さは
少し
傷にしみる
そんな気持ちを察してくれる
空は
南 ....
(傘の滴を落としながら)
そこから抜け出すためには
入口を探すしかないのですが、
誕生や死という非日常に囲まれて
小さな日常があるのですが、
強い雨の中 物質と観念をつなぐものは
....
重なる
止めどない時 動かざる物
識別された気持ち
離れ合い それは 動き出す
深い とても深い根底の
真相 心理 いつの間にやら暈した
嘘と嘘の間 あの日に流した理由
私が見て ....
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