すべてのおすすめ
あたしのしんぞうには
たまごをいっこかっていて
ママがいうには
たいせつなひとのために
とっておきなさいって
あのねママ
そのたまごは
かえるの?
もうすこしで
なにかが
....
あなたのこえが
だんだんちかくできこえるようになって
あたし
ちいさくあくびする
ねぇ、
もうすこし
ちかくにきて
わらって?
あたしたち
....
口裂け女の噂を広めた女性は口が裂けていた
公衆電話はワープ装置としても使われている
ティッシュペーパーの72組目は他と質が違う
夜が訪れると同時に太陽は体育座りをして行儀よく次の ....
はっきりと見えない
セロハンのような
それ 一枚が
へだてている
ような
わたしたちは
角度によって
ときどき 見える
それ のせいで
近づけずにいた
沈黙に見とれてしまいそう ....
泣いているこどもは
湯気が立っていて
かわいい匂いがする
抱き締めて
頭に鼻をくっつけて
くんくん嗅ぐよ
産まれたてのときは
わたしの内臓の匂いがした
今も少し
する
....
池袋の夜に
あの人と染まって
池袋の夜に
あの人と燃えて
最終電車のアナウンスが聞こえたら
もう
この恋も終わり
人がまだあふれる中で
そっと手を握って ....
どうすればいいか
と思ったとき
できることは
考えることではなく
ぎゅっと抱きしめること
だけが
何かを救うから
あなたを胸に抱いてぎゅっと
あなたが苦しがるまで
「なかみはなにでできているの?」
幼い子が私に聞く
着ぐるみに入っている私は
その問いに答える事は出来ない
おしゃべり厳禁とアルバイト規約にあったから
「あなたのなかみはなにでで ....
ちのつながらないおとうとがいた
ちのつながらないおとうとは
赤い軽自動車にのってやってきた
ちのつながらないおとうとぼくは
かなりのなかよしだった
ちのつながらないおとうとは
....
残り物の野菜とスープブイヨンと塩胡椒を少々
コトコト コトコト
ひたすら煮込んで 野菜スープを作ろう
味よりも栄養を摂取したい僕は
さらにいろんな物を混ぜてみた
哀しみと
苦しみと ....
このままどこかに行ってしまおうか
帰りの車中でそんなことを言っていた二人は
どこにも行けないことは知っていたけれど
その言葉だけで十分満足だった
今、僕らは三人になって車も一回 ....
僕は十二番目の牢舎にゐる
僕は二零三と呼ばれる
僕は自分の名前を忘れつつある
僕は粗悪な食事に馴れつつある
君の庭の卯の花は
今頃はもう満開だらうか
此処にゐると季節が判ら ....
わたしは肋骨だ
肋骨はあなたを心から慕い
肋骨はあなたの心臓を守る
あなたの胸を打ち鳴らすものを
至近距離から呪いながら
肋骨はあなたの胸 ....
子供の頃
山手線よりも
中央線の方が
好きだった
どこまでも
走っていくと
思っていたから
ずっと
真直ぐで
余計なものなど
何も無い
直線に
憧れていた
ずっと時間 ....
蛇口をひねる。
きゅっ きゅっ きゅっ きゅ。
右に三回半。
おもむろに一口飲んでみたところ、
水ではな ....
「水、持ってこいよ。」
シンちゃんが言ったから
公園の入り口にある水飲み場まで
バケツを片手にダッシュ
焼けた砂まみれの腕に
午後の陽射しは痛い
水飲み場につくと
犬を連れたおじ ....
帰るべき揺りかごを
失った鳥はどうする
成層圏まで飛ぶしかないでしょ?
あの人の ま白な指が
麦茶 冷やす 流水の川を
チロチロ と 泳ぐ朝
日傘の 影から
「日に焼けたくないのよ」 と
うなじに一つも 汗をかかずに
水辺色に 魚跳ねる
絽の着物 着て
....
なつのしょうめんで
あのこはワルツをおどってる
いちにさん
にいにさん
さんにさん
ほそいうでをいっぱいにひろげて
あのこはかぜをおこしてる
いちに ....
あたしのことを呼ぶ声
いつも決まってる お決まりのパターン
アルコールに抱かれて
ついには酒乱にも抱かれ続けて
それで終わりなんだ
それ以上もそれ以下も無い事実だけが
あたしの何か ....
「あなた」の中に
「わたし」がいるかどうかを
知りたくて 書かれる
たくさんの言葉
その中に
わたしは 含まれるだろうか
言葉の中に含まれる わたしは
いま ....
- 救いのない世界から
- 足を洗うことなどできはしないよ
- あなたが誰かを抱いたところで
- あなたは世界に残るだけだよ
自転車置き場には
ネコの親子が住んでいて
子猫はとても ....
とびおりて
とびおりたまま
じっとして
いつまで
たっても
じめんに
つかないので
こころなしか
ふあんになったけど
したを
みるのは
やっぱりこわくて
ちょっぴり ....
あのビルは
誰の羽なのでしょうか
あんなに高くて
空に届かない
見上げるわたしたちは
いつまでも
一枚の写真でした
どうしたらいいのかよくわからない
ので
眠れるように激しく
どうか
お願いします
はりねずみをなでなでしてくれる
奇特なひとはいませんか
手のひらが血だらけになるかもしれないけど
....
ひつじが鳴いていた
ひまわりが咲いていた
人がいた 好きだった
目を閉じる
陽だまりのなか
明日なら
死んでも良かった
今朝、レモンを産んでしまった
それは、色も形も匂いもレモンそのものだった
もし産んだのが卵だったら対処のしようもあったろうに
なんでレモンなんか産んでしまったんだろう
レモンに耳をあてると ....
おれは見たい、
赤錆びた鉄塔の頂きに
鳥のように爪先立って
人影のなくなった都市を見たい
きみとだ
おれは見たい、
太陽のとなりに炸裂するもうひとつの太陽の誕生を
塵からつくられ ....