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流れ出た血が固まるように
女は動かない
動かない女の前で暫し時を忘れ
見つめれば やがて
そよ吹く風か 面持ちも緩み
――絵の向こう
高次な世界から
時の流れに移ろい漂う
一瞬の現象で ....
黒焦げのトーストがいいマーガリンでいい
バターじゃなくていい
蜂蜜は国産 養蜂屋の小さな店先のがいい
種類にはこだわらないがシナ蜜なら尚いい

雨が降る前に用事を済ませたいが
用事の方がは ....
おおきなプリンを見た
まわりの商品が小人に見えるほどの
こどもの頃出会っていたら
一目で恋に落ちただろう
ぷるるんあまいときめきは
すぐに終わってしまうのが常だったから
記憶の中の憧れは今 ....
愛の包み紙を剥がして食べた
味なんかしない けれど
美味いとか甘いとかなんとか言っちゃって

以来 愛は無色透明 気配を殺し
居るような 居ないような

――気になるのは 破れた包み紙
 ....
ある日
詩人の詩を読んで
自分は詩人であると知る
ある日
詩人の詩を読んで
自分は詩人ではないと知る
ある日
同じひとりの人が

そんなふり幅で
弦も響いて
からっぽだから余計に ....
{引用=*名を呼ぶ}
名を呼ぶ
ここにいないあなたの
井戸へ放った小石のように
真中深く 微かに響き
瞑っても
抱き寄せることはできず 
こみ上げる揺らめきの 
糖衣はすぐに消えて
 ....
朝早く
家族が眠っている間に雪かきをする
でないと外出も時間も困難になるから

白く美しい雪
儚く消える雪
だが降り過ぎるとまったく始末に負えない

気温が下がり切らないと雪は酷く重く ....
あるテロリストが
 《ある勇敢な兵士が》

自爆テロで
 《ジハードで》

死んだ
 《殉教した》

無辜の人々を道ずれにし
 《異教徒や教えを捨てた者たちを倒し》

狂信者は ....
あなたを見るために
光を媒体にした
あなたを聴くために
空気を媒体にした


媒体なしにあなたを知りたくて
肌と肌を重ねてみた
そうして慰めを得ながら
無限の孤独を思い知る


 ....
いつだっていまだって青い
地球は朝で昼で夜だ
なのに地表の隅っこで(あるいは真中で)
いまブルーライトに照らされぽつねんと
もの思いに耽っているわたしには律儀にも
朝昼夜は朝昼夜と巡り訪れる ....
  温雨


雨に洗われた
針葉樹の隙間から顔を出し
ヒヨドリは不思議そうに首を傾げる
蟻の休日
うつろな目をした夏






        一緒くた


    ....
コンビニのドアが開き
ひらひら舞い出たモンシロチョウ
誰も見てはいない

光は雨みたいに激しく額を打ち鳴らし
影はつま先から滾々と湧き出している

こんな日だ
わけもなく後ろから刺され ....
十八歳はまだ子供だが
大人が思っているよりは遥かに大人だ

たぶん
若者が政治に関心を持つのは良いことだろう
だが若者を自分の陣営に引き込むための諸々の画策は
わずかばかりの党員予備軍を生 ....
雨が降るのは拒めないが
雨降りに何をするかは選ぶことができる
濡れたくなければ家から出ないことだ
出かけるのなら傘を差せばいい
傘がなければ濡れるしかないが
傘を差しても多少は濡れる
濡れ ....
フロントガラスの向こう
傘をさした女が滲んでいた
雨にうなだれる花のように
あれは昨日のことだろうか


瞬間の感覚の飽和を無限と呼ぶしかなかった
悲しい詩人の形見 憂鬱
古い壜のよう ....
ある日夢を見た
大統領専用機をハイジャックして
銀翼のブーメランは肥えた豚の脇腹をえぐる
全ての核が夜明けのように地球を照らし
先史時代の遺跡に月が冷たく口付ける
砂場で遊ぶこどもの和毛が音 ....
冷たい灌木の素足を芝草が覆う
うぶ毛のようなスギナの森
露に閉じ込められて朝の光が震えていた

「友よ お飲みなさい
こっちは先に頂いています もうすっかり
辺り一面へ溶けだして ほら太陽 ....
見慣れない鳥を見た
あとからそれがカササギだと知った
あたまの良い鳥だという
どうりであたまが大きかった
白と黒 翼の青
尾羽はすーっと長い
見栄えのする鳥だ
カササギは落ち着いていて
 ....
白樺の若葉は濡れてなお淡く
陰りの中に揺れ
畑の麦はより深く  
滲むように息づいた
日差しにかすむものたちが
雨の日には薄められず
沁みて とおる
焦げついた所まで
土の匂い 
湿 ....
うすい眠りに包まれて
探っている
五月の風を手招いて萌える木々
光の纏いで取り戻す
ざわめきの形象は
淡く爪先立ち
まどろみに波紋を呼び起こす
山と山との重なりに
隠された遥かなる道程 ....
もみの木のてっぺんで何してやがる
季節外れの煤けたお星様って訳じゃあるまいし
カラスのくせに風見の真似か なに
風は見るものじゃない 乗るものだって?
違いない 世のなか乗ったもん勝ちよ
だ ....
見えなかったものが見える
ふくらんで
ふくらんでほどけ
ふわり ひらく
ゐろかおりかたちあまく
風に光にとけて
そらを渡るもの
ほそい弦で触れながら
匂やかな{ルビ詩=うた}の足跡をた ....
予約時間に早すぎて
十数年ぶりに弘南堂書店へ往く
見慣れたブックオフとは違う
天井近くまで積まれた学術的古書に
おまえの目は泳いでいる
楽しい散策 わたしには
安い棚から掘り出した一冊は
 ....
さて 生きようと思うのだ
遠く山並みは雪雲でかすみ 
いま街は晴れている
人通りの少ない週末の朝 
わたしは浅瀬の魚のよう
ぼんやりと光を纏い静止する
異国の歌が暫し寄り添い また 
去 ....
きょうは鶏祭りだ
去年の祭りからずっと 待ちに待って
ぼくらが普段口にできるのは
食用苔と粘菌くらい
今夜だけは腹いっぱい肉を食べれるから
大人も子供も
みんな嬉しくて嬉しくて


 ....
かわいた裸につめたいドレス
あなたの肢体の隙間を縫って
透けて見える 十二月の行進

こっそり口を開いた嵐だ
札束を数えるように
耳を裂く静寂を値踏みして

時間が止まって感じるなら
 ....
太陽が低く輝いている
濡れたアスファルトがそれを照り返し
わたしは目を細めた
光の針がどこまでも伸びて
小さな瞳孔から苦も無く入り
網膜を火の海にした
百メートルほど先を
炭のように黒い ....
遠近感を失くした心に
圧し掛かるコンクリート色の空
それは浮力を相殺し
ひと気のない公園の片隅に
鳩のよう
視線は堕ちて行く

否定も肯定もしない
午後の息苦しさは
酸欠した金魚のよ ....
死に逝く間際
人は自らの人生を 遠く
心象風景として眺めると言う

ある者は石くれの丘に広がるぶどう畑を見た
長年の労苦のまだ見ぬ結実を眺望し
その芳香と甘さを味わうかのように
微笑みな ....
目玉焼きの黄身が箸から崩れ落ち
食卓からも外れて床に落ち
砕け散った
バラバラのきみを
拾い集めては捨て
床の汚れを拭い取る
そして再び橋に向い
目玉の白目だけを食べ終わると
味気ない ....
しょだまさしさんのただのみきやさんおすすめリスト(35)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
静止性- ただのみ ...自由詩12*18-5-30
50階- ただのみ ...自由詩10*18-4-25
おおきなプリン- ただのみ ...自由詩8*18-1-10
ある愛のソネット- ただのみ ...自由詩7*17-11-29
ふり幅- ただのみ ...自由詩11*17-9-13
おかし詰め合わせ- ただのみ ...自由詩18*17-7-29
たぶんクリスマス- ただのみ ...自由詩12*16-12-24
瞬く間に- ただのみ ...自由詩13*16-12-14
黒点- ただのみ ...自由詩17*16-12-10
地球的青さ- ただのみ ...自由詩18*16-10-26
夏と雨の短詩・五編- ただのみ ...自由詩11*16-7-27
そんな日和- ただのみ ...自由詩12*16-7-2
政治と若者についての放言- ただのみ ...自由詩9*16-6-25
雨が降るのは拒めないが- ただのみ ...自由詩10*16-6-18
音楽が聞こえる- ただのみ ...自由詩9*16-6-11
夢見ぬ人- ただのみ ...自由詩8*16-6-4
不法投棄地帯- ただのみ ...自由詩13*16-5-25
カササギ- ただのみ ...自由詩8*16-5-8
雨/みどり- ただのみ ...自由詩11*16-5-7
混濁- ただのみ ...自由詩10*16-5-4
風談義- ただのみ ...自由詩13*16-4-23
春小景- ただのみ ...自由詩12*16-4-16
北大病院にて- ただのみ ...自由詩17*16-3-16
生きようと思うのだ- ただのみ ...自由詩17*16-2-7
ブロイラー- ただのみ ...自由詩15*16-1-6
冬の空ぼど気まぐれな奴はいない- ただのみ ...自由詩18*15-12-30
マジック- ただのみ ...自由詩12*15-12-12
名無詩- ただのみ ...自由詩21*13-5-15
叢の日- ただのみ ...自由詩22+*13-5-8
朝食- ただのみ ...自由詩20+*13-5-4

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