ひとひら
白い花びらのように

ひとひら
優しい言葉のように

私の髪に 肩に
静かに舞い降りてくる


思わず手を差し出したら
ひとひら
掌の中 ふわりと落ちた


こ ....
闇の中を漕ぎだしていた
引きよせるのは
奈落からのとろりとした旋律


あらがわず
身をゆだねることの心地良さ
どよんとした
澱に堕ちていく意識
にぎった櫂がゆっくり波紋を描く

 ....
親指でしか語れなくなった


指先が覚えてしまったのだ
無機質な凹凸に触れるだけで
整然とした文字が手に入ることを


まっさらな紙の緊張や
そこに落ちるイビツな文字
との格闘も捨 ....
夜をかさねた底で
かすかに聴こえてくるのは
淡くほどける
ひとしずくの
きらめくゆらぎ


一定のリズムを打つ心拍
冷酷に刻まれる一秒


整然とした規則の中で
とぎすまされた ....
近づくクリスマス・イブに
街は華やいでいる
通りを歩くカップルは
皆 幸せそう


艶やかなイルミネーション
眩しいツリーのショウウインドウ


きらびやかな中に
とり残されてい ....
とうりゃんせ と唄われた
神社の裏手
一本の老樹が
わずかに肩をいからせながら
両手を広げ
しどけなく枝先を垂らす


関所と謂われたこの地で
何のためらいもなく
敷きつめられた白 ....
教室の窓から3列目
頬杖ついて黒板を見る横顔に
囁きかけて…って思ってしまう


第2ボタンまで開けた白いYシャツ
肘までまくり上げた袖から続く
長い指の爪の先まで見つめてしまう

 ....
月の清けき夜 
折からの澄んだ風が
波のように襲ってくる感情を
鎮めようと
湖面を撫でるように
一陣 通りすぎる


暗い森影からの
ふつふつと湧くざわめきにも
耳をかさず
震え ....
おめかししてまいりましょう
からす瓜もほんのり色づいて
アザミの花が熱いため息ついたから
あなたに逢いたくなりました


おめかししてまいりましょう
赤いカエデに負けないように
くちび ....
はにかんで笑う アノコの
やわらかな心のヒダを斬りきざみ
助けをもとめるノドブエを噛みくだいた


アノコに突き刺した
痛みと悲しみの
鮮烈な返り血を浴びたとたん
それはドス黒くキミに ....
森林の中
ひっそり潜む
小さな月


あさい眠りの
はざ間を泳ぐ
黒い魚影が


ゆらり と
身体をしならせ
ついばんでいく


冷たい魚の接吻に
吸いとられていく
 ....
さあ 耳を澄まして 心を静めて
金木犀の香りにだまされないで
こちらをじっと見つめて
あなたの手のひらにのっている
この罪は何の罪?


そう 口を噤んで 囀り止めて
秋桜の可憐さにま ....
ブラック・コンテンポラリーのリズムに身を委ね
カモミールの香りが漂う部屋の中
あなたへの想いだけが
ゆるゆると飽和して溶け出していく


手をのばして 重ねて 見つめあう
濃密なアトモス ....
まばらな枯れ葉を飾った街路樹
細い枝先が交差して編んだような
小枝の投網にひっかかり
捕われてしまった晩秋の月


きっと月の頬には
網目の痕がついているだろう
憂鬱な月の溜め息が
 ....
         エブリデイ Hightになって

         キーボード ころがり落ちる

         All night long デミニッシュの不協和音

        ....
孤独な夜の狭間に
行き場を失った
言葉たちが
ゆらゆらと
哀しく宙を拡散していく


握りしめた想いが
指の透き間から
硝子の粒子となって
サラサラ零れていく


染み入るよ ....
20世紀の赤黒い染みが
今でも時折りフラッシュ・バックする


黒い大きな瞳が見たのは何か


虐殺か
暴行か
母の死か


彼らの瞳の奥の悲しみを
計り知ることはできない
 ....
神が引きあわせし
おぼし召しか
地下に沈んだ
鈍色の界隈の中で
二つの魂は出逢った


強く惹きあう
その穢れなき愛は
至高の芸術を
求めあい


深く
深く
蒼い情感の ....
            はり裂けそうな心を

            そっと胸から剥がして

            激しいROCKに浸してみる

            ドラムの振動に
 ....
少女の面差しで
はにかんだ笑顔で
やさしく騙してあげる


上目遣いで
しなやかな手つきで
やわらかく招いてあげる


ふりむいた横顔
まばたきする一瞬
瞳の奥の冷めた光に
 ....
          水に挿した青磁器を彩る

          切り裂かれた花々たちが

          私に{ルビ現在=いま}の終わりを告げる

          過去の栄華を断 ....
たっぷりとあふれんばかりに
湛えて
零さないように歩くアナタの
《ブンサイ》がウラヤマシクて
一滴の飛沫さえと
舌をのばしてもとどかず
しかたがないので
自らもとめようと
行間のふちに ....
おぼろ月夜の
淡い光に
照らされて
陽炎のように現れた
秘密の扉


ゆらゆらと
揺らぎながら
こっちへおいでと
誘っている


この扉の向こうに
何があるの?
ためらい ....
終わってしまった
はずなのに
それは密閉した
重いふたの透き間から
かすかに甘くたちのぼる


人知れず心の底に
埋めたはずなのに
かぐわしい記憶の薫りは
ゆるゆると漂い
真夜中 ....
雑踏のあちこちで発生する
ポップな着メロ
それぞれの手のひらの中
ぽろぽろとカラフルな
想いをつかまえる


まるでゼリービーンズのよう
人工着色料かけたみたいな
絵文字やコトバが
 ....
ー圏外ですー


見えない壁に阻まれて
打ち砕けていく
想いの断片


わたしの中で
バラバラ散らばる
感情の鋭い破片


拾いあつめようと
無造作に触れて
斬ってしまっ ....
          
            ねえ、キミもためしてみてよ
            魔法のシガレット
            小さいころに気どってくわえた
            ....
せつない夜は
何して過ごす

ことば遊びの
ことば紡いで

とろとろ落ちる
時間を織ろうか

それとも

赤い月から滴る
ゆらいだ糸で

あの人に裂かれた
心を繕うか
 ....
ジリジリと太陽が
アスファルトに焦がれる思いを
告げる午後二時の
濃い影がさす
向こうには


枯れてしまったシクラメン
欠けてしまったクリスタルの花瓶
半分腐りかけの林檎
止まっ ....
あなたの行きつけのジャズ・バーへ
初めて連れていってもらった
薄暗い店内は煙草の匂いが染みつき
レトロな丸いテーブルと椅子が
老舗といわれる趣を物語っている


店のウエイターがにこやか ....
渡 ひろこ(144)
タイトル カテゴリ Point 日付
ひとひらの雪自由詩12*08/1/23 19:19
ウォーター・フロント〜幻想曲〜自由詩9*08/1/15 19:55
メール症候群自由詩29*08/1/7 19:40
1/fのゆらぎ自由詩24*07/12/26 20:02
イブの憂鬱自由詩10*07/12/18 13:54
花冷え自由詩19*07/12/3 19:59
熱視線自由詩9*07/11/30 1:18
月と湖面の鏡自由詩10*07/11/26 20:40
あかね色の慕情自由詩24*07/11/9 19:56
鏡に映して自由詩8*07/11/5 19:21
月をついばむ魚自由詩30*07/10/28 0:09
林檎の刹那自由詩11*07/10/9 19:41
虹色の水溜まり自由詩10*07/10/2 20:15
フルムーン・ラプソディー自由詩12*07/9/29 20:15
楽典ラプソディー自由詩5*07/9/27 19:46
満ちていく孤独自由詩7*07/9/26 19:54
悲しみの大地ルアンダへ自由詩4*07/9/24 23:31
永遠の旋律自由詩7*07/9/22 18:46
ロック・キュービズム自由詩6*07/9/21 0:47
少女の眩惑自由詩8*07/9/18 17:44
花葬自由詩8*07/9/13 0:56
Webからのインスパイア自由詩5*07/9/12 19:35
月夜の扉自由詩6*07/9/10 20:08
記憶の薫り自由詩8*07/9/8 19:32
ゼリービーンズ自由詩10*07/9/5 20:41
圏外自由詩5*07/9/3 19:31
思春期シガレット自由詩6*07/9/1 23:57
独り遊び自由詩7*07/8/29 23:56
熱帯夜の夢自由詩7*07/8/26 23:45
ジャズ・バー自由詩7*07/8/24 19:11

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