春雨に濡れるこうもり傘を閉じ君をついばむしなやかな夜
雪だるま保存してある冷凍庫ペンギン国の入り口として
銀の雨、初めて君を知ってから37℃微熱のくちびる
悲しみをすえ、そうじきよ。ぞうさんの長いおはなも彼に届かぬ
クレパスのさくら色だけ短くて買いたしにいく春の自転車
やわらかな光をたばね菜をゆらす瞳に春を住まわせた人
屋上でバニーガールは恋に落ち月のベールをまとう十二時
病室の君も宇宙を駆けめぐる秒速30キロのランナー
猫の背のまるみにそって春の陽が君をくすぐる、うたたね日和
雨の日は虹の七色探索す。ポスト、au、ロフトにハンズ。
本当のわたしを浸せばバスタブに泡が咲いてる、泡が散ってる
「ヒヤシンス」うさぎの耳にささやいて花の白さを月に浸した
「再発は再出発のことだよ。」と笑った母のわたしは娘。
ふるさとの母の帰った日の夜の 机にぽつんとはっさく光る
冬の夜にひまわり萌える だれひとり踏み荒らせない心の花壇
五番目の銀の天使が笑ったよ。くちぶえ スキップ 春のあしおと
"I miss you" 窓の外から雪の音 泣きたい夜にホットチョコレイト
シロナガスクジラの親子そして僕、だれもが青い星の旅人
おもいでの淡くにじんだ夕暮れに冬の金魚のなみだがぽたり
セーラーのえりのラインに着地する紙ひこうきのはねは空色
ひらり蝶、みぎの羽には春をのせひだりの羽で君にくちづけ
如月の小春日和を駆けぬけるオープンカーとユニコーンの群れ
「さようなら。」君の言葉に泣けなくてガラスを磨けば透きとおる月
猫のひげ、五線譜にして奏でるの。エリック・サティ『あなたが欲しい』
虹色のしゃぼんの中にうずくまり うたかたたちの秒針を聞く
地球儀でサッカーをする少年は3005年エウロパ生まれ
まよなかにしっぽをゆらすくろねこは星をつってはすいそうで飼う
目があってコトリと胸の音がして儚い恋の散る散る満ちる
「きらいなの、グリンピースは。」発芽して豆の木になる僕のお皿で
鳴き雪がきゅっきゅとうたう銀の道、負けじと春の歌くちずさむ。
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