ストライプシャツを羽織ったあの人とすれ違うゼブラ サバナの風吹く
月のない夜に盲いた鈴虫がすすきの原に星を降らせる
ウクレレに悲しい唄をうたわせて鍵を掛けたね 冬のはじまり
ワンピース風をあつめて帆にしたら海は海原、海賊日和
ささやいて ( (痛いの、痛いの、翔んでゆけ) ) 柘榴の夕暮れ滴るように
君のいたソファーにひかり、いま君は別の銀河に。so far away
しゃららんと空のなる音 見上げれば28個の月の語らい
今はもういないあなたの席すわり苺みるくのストローをかむ
{引用=
花霞 目に映るのは君の背に散りゆくたったひとひらの夢
北国の君に(好きよ)と花びらで書く 南風がさらってゆくよ
首筋に君が降らせたひとひらは淡い花より ....
April fool「知ってる?猫の瞳の裏側は月ということ」
「空色のワゴンに乗ろう、あぜ道の綿毛を雲に届けるために」
きらきらとチョークの粒子の降るサハラ(先生、胸が灼けるくるしい。)
最果てのふたりの頭上に北極星「"this is the end"」「そしてはじまり。」
カタログを開けば色の洪水であたしは靴の箱舟に乗る
8センチヒールで足をくじいた日 あなたの背中バファリンのよう
雲間から光のはしごおりる声 ひばりは空に春の種まく
嵐去りなぎ倒された{ルビ畑=はた}に立ち、「またがんばればいい。」父は鎌持つ
フェルマーの最終定理説く君の肩にとまってみとれる小鳥
木蓮がささやいてくる 泡となり消えた人魚の風のうたごえ
冷ややかなおんなのにじむ爪先を波に浸して海を身ごもる
ランドセルかたことゆらす坂道を天使の羽根がはばたいてゆく
世界一星の近くで息をする {ルビ宇宙=そら}に寄りそい晴れわたる肺
なごり雪、春を待てずに十八で溶けたあなたのように儚い
なめらかな夜の重みがのしかかり孵化した蛇と砕かれた月
遠浅の海を渡って描きこんだ水平線のかなしい夕日
なな色の純真、羽化し残された白紙の絵本「はらぺこあおむし」
アリスからきみに差し出すトランプは52枚のハートのエース
ひかり差す春の階段かけあがる 紋白蝶のゆらぎをまねて
波音に吐息は溶けて泡になり水の香りを身につけた肌
ふるさとの母の手縫いのつるし雛 幾とせもの春のせてゆれてる
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