割れた指先に機械油が染みて痛いという
まるでヒトゴトにそれを聞く

吹き荒れる風は私の首筋を叩き
ごっとりと前のめりになる背中になる

ふと
目の前にあのひび割れた指先が現れた
びしゃ ....
音が無いのならば創ればよかろうと
できた文字を束ねて音を組み立てた

私は音に勝つのだ

熱さえも生まれるほどの熱意をもって
ひびけ ひびけ 私の文字よ

りんと 鳴った ぐわわわわわ ....
月が大きく自己主張した夜
私の家出はまた延期される
わかっているのだもの
どこへもゆきたくはないと

見知らぬ男の両の足の間に置かれ
身動きとれない それが
子守だと知ったのは母の笑い話 ....
梅の花がふくらんだよ
家族みんなでみにいった
あの梅の花が

山あり谷ありと いうほどでもない傾斜なのに
つえをついたおじいちゃんやおばあちゃんを
誘導する母や父には 救助隊みたいな緊張が ....
はさみで 心を切り裂いて
あなたに半分あげるから
あなたの 半心くれませんか

どうせ
半分以上 あなたでいっぱいな私の心
あなたの空白は私で
きっと埋まっていないから

見上げる夜 ....
流した涙の数だけ 強くなれるなんて

うそです
うそです

苦しんだ後は救われるなんて

うそです
うそです

努力で得られないものは
備わっていないものは

泣いても
泣 ....
君がはらはらと はらはらと泣くから
僕はただ おろおろと おろおろとするしかない

君がほろほろと ほろほろとこぼす涙に
僕はただ ふわふわと ふわふわと夢ごこち

あやまったってゆるされ ....
白いあなたはたちのぼりました
火葬場の空に

時間はどこででも流れるものだと
感じた棺の残骸
自分の嗚咽に一番 自分が驚きました

私はあなたを憎んでいたし
あなたと対決する日がこわか ....
夕暮れに帰る道は
ぐるぐるって ぐるぐるって
迷子になりそう

見たことある帰り道が
ぐちゃぐちゃって ぐちゃぐちゃって
消えてしまいそう

顔の無いパパとママがけんかしている
いや ....
生まれるはずだった私の子供は
こんな朝にもあらわれます
さむいって

生命がただ恐ろしかった私に
ぞんざいに扱われた私の子供
かっと見開いた目で私をみつめてほしい

耳だけがさえて 
 ....
私の
胸が心が頭が
なにかでいっぱいになったとき
私の指に伝達されて
ああ
それは走り出すのです

夕焼けに染まる空は
残らず紅に濡れてゆくように
火で焼いた皮膚が
じんわりと何層 ....
おいらは地球の絵を描いた
どこもかしこも平和だらけ
みんな笑顔の地球を描いた

だって平和がすきだもの
だってそれを目指すんでしょう?

おいらはみんなの夢描いた

困っている人助け ....
祖父が死んだ

ほんでもえらいわ
そう言って祖父は私の手を頼りに起き上がった
寝ているままでいい
そう言う私を制し

それは昨日のことだった

いつものようにコンビニで
祖母のおに ....
遠くからお帰りなさいと声がして
あったかい部屋へ転がった
ころんころん おもいやりをください

おみやげです
受け取ってください
あたため続けた 愛してる

夕べ寝ないで考えた
一生 ....
猿が
ウキウキ ウッキッキのキ
と鳴いたので
私もいっそ猿になりました

畑の野菜をおばあさんがひとりで作ったが
嫁も孫も食べやしないから畑にどっさりこ

猿が
ウキウキ ウッキッキ ....
おとうさん
そう呼ばせてください
あなたをおとうさんと呼んだ記憶がないのです

おとうさん
こっちをむいてください
あなたと視線をあわせて話したことがないのです

おとうさんの娘として ....
はちみたいに蜜めあてで飛んだりしないよ

蝶みたいに綺麗だからってとまったりしないよ

星みたいに何年かかって届けたりしないよ

月みたいにぼやけたり潤んだりしないよ

人みたいでいい ....
うずまきのぐるぐるにそって
泳ぐ魚の一匹は
わたし

群れにみえるのは
船の上 橋の上の動物の目の中の魚

とんでもない
うろこの数がちがうよ
あんな 貧弱な色してないね

ぴぴ ....
暗いことばっか言ってるから
お前は暗いんだって
あんたは言うけど
それならなんであんたは
さみしがってんの?

日の当たらない場所を陣取って
背中丸めてうじうじしてる

思うだけでう ....
どろどろになったり
ぐしゃぐしゃになったりすれば
いいんじゃないかな
甘ったれたキモチにピリオドうちたい
それって 死ぬことじゃないよ
それって あきらめることじゃないよ

なにも言わな ....
道に迷ってしまって
立ち止まったら怒られた
後ろの人に迷惑だから
立ち止まってはいけないと言われた

歩き始める
どこへゆくのか どこへ続いてるのか
わからないままに

見たことも無 ....
私はある日 海草でした
十本の指は ゆらゆらと動き
それぞれに意志をもちながらうごめいている

波を受けながらカラダはおして ひいて
足はだらしなくとられ ぐねぐねと わなわなとふるえる
 ....
家族の朝は
音をころしてひそやかに訪れている

踏みしめる階段をあがる足
そうろりとさぐる一段いちだんを
寝息に重ねておりる足

みながみなの
寝るという作業を脅かさぬように
無事に ....
死ぬことを考えてきた
死ぬことを考えてきた

いつのまにか
生きることがわかってきた
自分にとって
生きることがわかってきた

眠る前に
朝がこないことを祈り
朝になって
今日が ....
明日の光が見えぬから
今日は息ができるのです
明日の仕事を知らぬから
今は休める羽なのです

凍るよな空気に震えつつ
温度を上げないのは
死んでしまうからです
希望の言葉たちが

 ....
ひとつの結論を落とし
君というページを閉じる

すがりたいこの手を
あっさりと切り落としながら

終っていった
君との関係がまだ 僕をとどまらせている

君との時間の流れの中で
紡 ....
ぱたぱたぱた と
歩いていたらスリッパが脱げました
おちたスリッパは星になりました
たくさんの人がここでつまづきます

そうっと歩いていたのにぶつかりました
ここは世界の端っこです
だれ ....
地球は丸いのに
底辺があるんだって
堕ちてしまったら
もう戻れないんだって

地球が丸いのは
外から見るからだって
中は三角形で
底があるんだって

てっぺんは尖がってて
おっと ....
生れ落ちたから
生きてきたんだよ
そこが海だったら
泳いでいたはずだよ

生まれた場所がそこだっただけ
幸せってことがみんなとちがっただけ

親に期待をしなくなったのは
家族に夢をも ....
優しさってなんですか
優しいことが
生きていくために必要ですか

優しさがほしいのはみんな一緒ですか
それは言葉ですか
しぐさですか

優しくないからと捨てられたけど
優しいからでな ....
朧月(1707)
タイトル カテゴリ Point 日付
ひび割れ自由詩710/1/31 20:12
一線の音自由詩410/1/30 21:45
自己主張の月自由詩510/1/30 20:05
梅花観賞自由詩610/1/29 18:36
半心自由詩310/1/29 10:35
ごはんつぶののり自由詩510/1/28 23:28
僕の罪は僕の胸に自由詩710/1/27 15:23
忘れ形見自由詩1210/1/26 19:02
迷子自由詩310/1/25 15:12
忘れえぬこと自由詩310/1/25 9:28
触発自由詩210/1/24 21:22
嘘つき絵描き自由詩310/1/23 23:16
憂愁の瓦自由詩1010/1/23 21:07
ラブストーリー自由詩610/1/23 14:57
猿家族自由詩410/1/22 20:26
おとうさんへ自由詩12*10/1/22 8:59
変化(へんげ自由詩2*10/1/21 23:53
人魚のつぶやき自由詩610/1/21 12:16
ネガティブ思考自由詩3*10/1/20 22:27
赦す自由詩610/1/20 20:26
迷い道自由詩310/1/19 22:21
海草の想い自由詩3+10/1/19 10:44
音が運ぶ朝自由詩310/1/19 8:48
生きること自由詩310/1/18 8:49
低体温自由詩210/1/17 22:24
永遠の君へ自由詩310/1/17 21:51
過ちの街角自由詩610/1/16 21:28
○△の地球自由詩18*10/1/15 22:41
大きな木自由詩210/1/15 21:03
優しさ自由詩510/1/14 22:30

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