一人は静かだけど
ほんとうの世界はもっと静かだ
音をたてるのは人間だけで
無防備に自分を知らしめている

川が細くなったり太くなったりするのを
人間は受け入れるしかない
なのにそれを忘れ ....
つばめの夫婦はヒナを育てています
互いにエサを運んできます
なんどもなんども

ヘビはその細いカラダで
壁を伝ってきます
食べるものがほしいと
そのヒナがほしいと

わたしはつばめが ....
どうして
あなたは私じゃないのに私のことを決めるんだろう
どうして
当たり前って言葉はジョーカーなんだろう
どうして
年数に勝てないんだろう

こたえはありますか
ききたくなる朝に
 ....
なにかが足りないと苦しい

お母さんは女の子を自転車の前に座らせて
どんどんこいでゆく
楽しそうに

その後ろを女の子のおにいちゃんが走る
苦しそうに
二人をみないように
ときどきお ....
つばめが
高いところに巣をつくり
高いところでたまごをあたためているのを
不幸な人も
幸せな人も
なんだかまぶしい目をしてみあげている
なにがみえるんだろう
私もつられてみあげた
つば ....
嫌われるって痛いなあ
やっぱり好かれたいって思う
できればみんなに
無理だからそう思う

自分からやさしくしてみる
まずはあなたに
あなたも少し柔らかくいてくれたから
うれしくなったよ ....
ほんとのこと言うとね
っていいながら様子見をするのはやめて
全部ほんとのことを言って
それが無理なら全部嘘を言って

愛されたい
それが私のほんとう
黒いものがだいすき
黒い服がだいすき
黒い鳥が
黒い夜が
黒いものが

これ以上悪くならないみたいだから
隠れていられる気がするから

そんな気持ちで座っています
黒い夜に黒い服で ....
文字はやかましくでしゃばりだ
強引に目にねじこまれ
目を閉じた後も暴れまわる

あなたの暴言なんかまだやさしい
文字にはかなわない
なのにどうしても文字がほしい

しるしのような
明 ....
大型ショッピングセンターの
トイレでは制服の女子高校生がお化粧をなおしている
口笛をふきながら
占領している鏡を
だれもなにも言わない
私はその前を足をひきずりながら歩いた
白い顔をして歩 ....
おばあちゃんには
今日のことも昨日のことも
おんなじイチペイジ

去年のこともずっと前のことも
さっきとおなじ場所にあるの

さがしてるいつもね
あったのにねって
ここにおいたのにね ....
ふっているのに
ふっていないとあなたが言うのなら
ふってはいないのだろう

あめは濡らすばかりではないから

あなたと私に
ただ触れてゆくあめもゆるそう
文字に残す
今を残す
時間はみえないけど
文字にすると見えるようになる
私の今を
真っ白な紙に残す
終わりを知らずに
僕はまっすぐ歩いているのに
人にはまったくそうは見えない

足をひきずり
右へ左へ
だけど僕はまっすぐ歩いてる

だれかが僕を評価する
価値が無いとかおかしいだとか
僕はそれでもまっ ....
真っ赤な花は
咲いたまま落ちた
だれもそれを見ようともしない

真っ赤な花は
落ちたまま咲いている
落ちたことなんてどうでもいいかのように

背筋を伸ばそう
空に引っ張られるようにし ....
高い山に登った
高いところにいても空は遠かった

のぼってのぼってのぼってゆくと
どんどん自分が小さくなった

どんなところにも人がいた
どんなところにも人が住んでいた

真っ暗な道 ....
明日旅にでます
だから今日はあしがふわふわしてる

今をカバンにつめている
明日には役にたたないといい

今日の時計はどすぐろい
捨てたい気持ちの私だから
今なんか大事にしないよ!
 ....
その女は髪を切ったぐらいで
身軽になったという

なくなった後ろ髪の
あった部分に醜い昨日をみる

そうだね
かわいくなったね
みんなは言う口々に

その女の去った後には
少しの ....
さかむけをちぎりながら
ちょっと反省しています
嫌味言ってごめんね

罰みたいなさかむけが
全部の指にできています
あなたの悲しい目がちくっとさしてきます

あなたにはわからない
な ....
おじいさんは祭りは大切だという
おとうさんは仕事が大事だという
僕は今があればいい

おじいさんは伝統というのがすきだ
おとうさんは義務というのがすきだ
僕は言葉がすきではない

おと ....
お医者様は私の悪いところを切る
いらないでしょうと切る

あっさり縫い合わされた私はまた
外見だけはかわらない

そのうちどんどん軽くなって
それで空へのぼってゆくのでしょう

切れ ....
いろいろなものが足りない子供をみました
それってどう思う?
母がきいたので
だますよりもだまされる側でまだよかった
私がいうと
そんなのきれいごとだ
母は怒ったようにいいました
その母も ....
あなたは真っ白な豆腐みたい
自分のふるえでこわれそう
なのにだれにでも染まってしまう

味がないわけではないのに
だまって同化しちゃうんだね
どんなに小さくなってもなくなりはしないのに
 ....
いちごには
まっかなものがあるんだね
白いものもあるんだね

びっしりついた黄色い種に
だれかをふと重ねました

いちごはいつでもみんなで売られています
たったひとつではなく

そ ....
家族でテレビのクイズをみました
それぞれわかった!といいました

まだ言うな
おとうさんがいいました
わかった?
おかあさんがきいています

おばあちゃんは
なんにもいいません
ち ....
朝の鳥はうるさい
昨夜のことを話し合っている
方向性をきめている

どっちの空が安全なのか
そんなことではない

朝の鳥はいそがしい
こどもが親の後ろを泳ぐ

どこにえさがあるのか ....
いやなことばかり言ってしまい
そんな自分の顔をみたくなくて
夜ににげましたひとり

まっくらはこわいとおもってたけど
明るいほうがこわいね
星は遠くにあるからよくて
すぐそばだったらみん ....
さがしものはいつでも
くだものの皮の中にある
とでもいうように慎重にむいている

生きているかのように
こわごわあつかっている
こわれもののように

うつむくのに
これほどつごうのよ ....
テレビをみる
みんなでみる
箱にむかってすわる

少し話す
テレビの話題で話す

ちくり
とする

だれのことでもないはずの
話はときどき人を刺す

箱にむかってすわりながら ....
パラリンピックをテレビでみながら
すごいなあすごいなあと感心する

ないものをみようと凝視している
あし 腕 視力

だれだっていつかは衰えてゆくんだけどなあ
そっとつぶやく

満杯 ....
朧月(1707)
タイトル カテゴリ Point 日付
今日の川辺自由詩218/7/10 21:30
生きて自由詩118/6/26 7:09
母の声自由詩218/6/16 8:56
お母さんと妹と僕自由詩018/6/14 20:51
幸せの場所自由詩118/6/13 21:29
蛍文字自由詩118/6/9 21:11
真実自由詩218/6/7 21:36
黒いわたし自由詩118/6/6 22:07
でしゃばりな文字自由詩318/6/3 20:54
白いおんな自由詩218/6/1 20:46
おばあちゃんのおはなし自由詩318/5/31 11:00
赦しのあめ自由詩518/5/30 20:48
見えるとき自由詩218/5/22 6:55
歩く自由詩518/4/30 21:34
椿自由詩218/4/27 22:09
どこまでも高い山の上で自由詩218/4/23 20:54
明日旅にでます自由詩118/4/21 21:53
女の髪自由詩118/4/17 13:17
さかむけ自由詩218/4/15 12:58
永遠自由詩118/4/15 12:53
すてる自由詩218/4/10 21:50
欠落自由詩118/4/6 21:37
お豆腐の君自由詩218/4/3 21:09
いちご自由詩118/4/1 21:43
団らん自由詩618/3/28 20:10
朝に忙しい鳥は自由詩618/3/26 20:51
薄氷の道自由詩318/3/25 20:34
くだものの村自由詩318/3/23 9:16
テレビ自由詩118/3/19 21:28
きょうそう自由詩218/3/17 20:33

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