手の甲ではぜる、雨粒の
ふれた先から
鈍い痛みをかかえだす
埋もれる町並み

 *

葉脈からめぐる
漸近線は
まのびしたまま
行方知れずへ

 *

花を手折るように
 ....
午前0時から
黒烏龍茶飲み放題 ¥0
(黒烏龍茶は脂肪の吸収を抑えます)

道端に置かれた
手書きの看板
タダより安いものはない
とは
よくいったもので
抑えられたところで
はみだ ....
琥珀にねむる
つややかな夕暮れは
いつまでも立ちすくむ

あふれた記憶の
樹海に沈んで
言葉

目配せする紫陽花たちはにぎやか/に笑みをこらえる。もうすぐ先生がやって来る。廊下をひた走る。期待。新学期はとうに古びて奇妙な連帯感が地中に根を伸ばす。もうすぐ黒板消しが落下する。中間テスト ....
(輪郭)

こんこんと湧き上がる花の火の
みみへ伝わる振動が
つれてゆく
うまれたての湖の静寂

くちびるの隙間から
こぼれてゆく言の葉が
切りとるいっしゅんは
つめたい石に閉じ込 ....
わたしの奥底で
ふるえている
くもの巣は
いつか雨宿りした
あのときのまま

  *

まぶたを閉じる
いすの下で
くれよんの匂いが
満ちてあたたか
たまに
回転したりしてみ ....
通りゃんせ、
通りゃんせ、と
いくつもの輪くぐりが待ち構える
手前の
軒先で降りしきる雨粒に濡れてから
久しい


地上を
すべらかに滑る
つめたい乗り物も
ときおり
思い出し ....
はんぶんの優しさをください
背中の割れた
脱け殻でもよいので

  *

すいかの臍に
耳をあてれば
野菜であるという宿命を
粛々と背負う
胎動がきこえる
まだ生まれてもいないの ....
手をはなした風船は
青ざめた空にすいよせられた


耳鳴りに足をとられて
ずっと逆立ちしたままだったと
朝顔のつぼみが綻びて気がつく


汗をかいたグラスがそっと
海辺の風をつれて ....
舌の上でざらついたようかんの甘さは
窓辺でゆれる風鈴と似てる


初めて泣きながら目覚めた朝に
やさしい気持ちのありかを知った


あんざんではとても追いつかないくらいの
雨の染みた ....
うすむらさきの雲の向こうで
夕日がしずむ
水羊羹の表面を
スプーンですくうように
なめらかな冷たさを泳ぐ

信号機が ぱっぽう、と
くりかえし諳んじて
歩道橋はひとの重みにたわむ
み ....
さといもの葉の上を
するんするんと滑ります
あ、
  (あ、)
水滴、すいてき、てきてきてき、
曇り空の弱いひかりに
あなたの瞳はうるんできらめく
つかみどころのない
あいのことば
 ....
後ろ髪を引かれる
どうして
妹のように美しい髪でなかったのだろう
暮れていく陽の
もう少しだけ、を残した
闇が束ねる
手つきはやさしくて
頭をかしげる速度で
すべて委ねてしまいたくなる ....
頬にぴたりとはりついた水滴は
前歯から離れないふりかけの海苔のようで
「ア、雨」
と代わりに口から言葉がこぼれる


ビニール傘越しの町の風景は
いつもより少しスローモーションで
焦点 ....
後ろ髪を引かれる
どうして
妹のように美しい髪でなかったのだろう
暮れていく陽の
もう少しだけ、
を残した
闇が束ねる
手つきはやさしくて
頭をかしげる速度で
すべて委ねてしまいたく ....
いつか一緒に死海に行こうと
あの人が言うものだから
いつかっていつだろうかと
わたしは鼻をくすぐられる

あまいあまい
ほっとみるくのにおいは
たいようのように
あたたかくて
あつく ....
さいきん身体がやわらかくなったので
じめんにも両手がつきます
ふくらはぎの辺りを覗きこむように
ダイブする寸前の
ポーズ

  *

夏に向けて
競りあうように
伸びてゆく
ふぞ ....
流れゆく
新緑
にじんだ面影
塩小路のかどを左へ
はらりと
撒いたなら
清められます
鎮められます

手を浸せば
まだ冷たさの残る水に
ふいに緩んだ
五月晴れを
折り重ね
 ....
浅蜊はすこやかにねむりにつき、ねむりのまに砂利を吐く。貝殻の
すきまから漏れるいくつものため息は、ぷからぷからと、海の中に
漂うもやになる。しろく、しろく覆われた先から、目をそらしつづ
けていれ ....
灰色の空 雨の日は憂鬱
窓辺で雨粒がご挨拶
ご機嫌いかがと親しげにいわれても
あいむふぁいんと返す気分じゃない


めくり忘れたカレンダーに並ぶのは
反芻した日々
雨の匂いが染み込んで ....
傾いた傘はあんまりにも遠くて、わたしは濡れていた。ふたりとも濡れていた、の。つまり傘なんて役たたずで、わたしはあんまりにもしあわせで、しあわせな濡れかた。の、降りしきる、雨がさくらを散らすのです。零れ .... 真夜中に
足の爪を切れば
へびがやってくるのよと
かあさんに教えられたから
耳をそばだてる
キッチンのじゃぐちから
漏れている
しのび寄る音
あれは雪どけでしょうか

ぱちんぱちん ....
たわむれに/リングノートを引き裂いて張りつめる夜に恋路占う


低滑空、保持をするのは難しく 人目を盗みたまに足着く


袖通すたびに締め付けられる呼吸 を、掻きむしっては{ルビ爛=ただ} ....
春の列車が
終着駅についたので
降ります

列車はまた
新たな終着駅へと
折り返していきます

ありがとう
ここから先は
歩いていきますから

レールの上
とやらが嫌になった ....
海に沈殿した子ども達を
耳かきで掻き出す
「わたし早くママになりたいの

餌を求めるように
口々に主張する子ども達は
飽和した酸素に触れたとたん
波に揉まれて白い泡になる

灯台の ....
ならした大地に
くぼみを作る

てのひら一杯ぶんの土で
耳たぶの熱を
葬った

背骨のきしみは
いまだ
攪拌されず
甘皮の欠けた
手には負えない

こぼれていく砂粒だけを
 ....
えんぴつの先をねぶると
木のぬくもりと
黒鉛のつめたさ


三寒四温だよ、と
町角ですれちがった
親子の会話が
耳に残る


繊維に染みわたっていくのは
甘みではなく、
苦み ....
冬眠をしていた
たまご焼きが
ゆるゆるとのびをして
大きなあくびをしている


なべのなかで
たけのこと かつおぶしが
ことことと
ないしょ話に花をさかせる


ふと、牛乳の肌 ....
しゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわ

山奥の合掌造りで
祖母は暮らしていた
冬は深い雪に閉ざされ
ひっそりと
何もないところだった

祖母がまだ少女だった頃
屋根裏では
蚕を飼っ ....
さようなら、
さようなら、

まぶたにそそぐ陽だまり
いつか見た夢
頬に添うあなたの手

どちらに進めばよいですか
なんて
もう聞きません

ただひたすら
あなたのいない方へ
 ....
ことこ(77)
タイトル カテゴリ Point 日付
浮舟自由詩2*09/10/2 19:01
とあるアジアンカフェからの招待状自由詩2*09/9/28 21:57
海の遺影自由詩2*09/8/12 20:37
夏を迎える自由詩6*09/8/10 0:05
(輪郭)自由詩8*09/8/9 23:39
逡巡自由詩4*09/7/28 15:57
夏をかう自由詩2*09/7/23 21:07
ぼくのなんかなんにもない自由詩10*09/7/19 17:03
青い目覚め自由詩2*09/7/4 23:51
やさしい気持ち自由詩2*09/7/4 23:50
はるか自由詩4*09/6/19 21:53
さといもの葉の上を自由詩6*09/6/14 20:47
六月の、自由詩1*09/6/13 12:54
ア、雨自由詩2*09/6/7 21:09
雨香自由詩5*09/5/31 15:32
死海自由詩7*09/5/23 23:47
明日の予定自由詩4*09/5/9 23:03
五月晴れ自由詩2*09/5/4 23:54
眩しいため息自由詩1*09/4/28 20:37
春玉ねぎ自由詩5*09/4/25 0:03
自由詩4*09/4/23 23:15
へび自由詩5*09/4/13 0:17
たわむれに/短歌1*09/3/27 21:33
ホーム自由詩7*09/3/24 22:23
潮騒自由詩4*09/3/20 23:06
日傘自由詩1*09/3/19 21:38
春の似顔絵自由詩4*09/3/8 22:54
自由詩3*09/3/1 19:06
ふるえる糸自由詩16*09/2/26 23:04
逃避行自由詩2*09/2/24 22:31

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 
0.09sec.