昨日レンゲの花を踏みました
レンゲはわたしの足の下で
花びらを押し花みたいに広げて
首のところをぽきんと折って散りました
わたしは裸足でした
足の裏でレンゲの蓄えた冷たい水分がしゅんと染みて ....
カットバンを剥がしてみると
赤かった傷は薄皮をかぶって青くなっていた
どうして血は赤いのに
皮膚の下では青く見えるんだろう

そんな疑問を高校生の時に生物の先生にしたら
先生になったばかり ....
ものを知るほど
自分に語れないものが増えた
声にしても唇の先ではじけて消える
子どもの頃は
うすくても
熱を持っていたから
声が空気の中を通っていけたけれど

自信をなくしてようやく
 ....
やっぱり寂しいんだようと言って最後の最後でわたしが泣くと
うわーーこいつ泣いたよきめえ
といつもの調子でみんな笑った
それからいつもみたいにじゃあねと言って
それぞれ走り出したばかりの市バスに ....
今朝
布団がふっとんでいった
どこまでふっとんだかは知らない
布団の裏には彼がしがみついたままだった
別れ話を始めたのは深夜で
彼は私の布団をかぶって
何も聞えないふりをしていた
そのま ....
今日あなたが辛そうな顔をしていた
そんなに頑張らないでとわたしが言っても
あなたは頑張ってしまうし
無理やり休ませても
頑張らなかった自分に、余計辛くなってしまう人なんだろうと思う
あなたは ....
むかし、(そう、わたしはもう「むかし」という言葉が使えるようになった)
大事な約束をひとつした
わたしは高校生だった
期末テストの英語の点数を
その頃付き合っていた人と競った
数点差でわたし ....
半月が霜で白くくもった今夜
あんまり寒いので布団が凍ってしまった
冬は反省するべきです
わたし今夜は性欲があるのに
眠らせてくれないなんて

だって夜は長いし
(これも冬のせい)
マス ....
わたしは静かに絶望と出会う
ユニクロのヒートテックインナーを2枚重ねて着ても寒い 部屋で

絶望はピンク色をしていて
目が合うとすぐに 申し訳なさそうに頭を下げた
ごめんなさいね、と囁く声は ....
今日知らない町を歩きましたわたし
駅の前に車の走っていない大きな道路がある町
市バスにおばあさんが1人だけ乗っている町
ここはあなたと彼女の思い出の町でした わたしひとりきりで
道の影に公園の ....
放課後の黒板にチョウクであの人の名前を書いたことがある
海辺で集めた白い石を並べて書いたことも
消しゴムのケースで隠れたところにボールペンで書いたことも
くもった車のガラス窓を指でなぞって書いた ....
小さい方から数えて100番目の不思議の前で
両足を揃えて立ち止まる
ずいぶん背が伸びたなあと、自分の後ろにできた影を見て思う

1番目の不思議は、どうしてごはんを食べなきゃいけないんだろうって ....
月にいちど血の塊を産む
生まれなかった卵と一緒にトイレに流す
私の体は痛む
痛みは臍の下から生まれて体中に(つま先までつま先まで)
それは生まれなかった卵の為に
じんじん じんじんと

 ....
誕生日おめでとうと、わたしは今年も思う
毎年ひとつ
あなたの詩を書く

思い出は遠くなりすぎて
もう痛くないよ
ただ優しいだけで
ただ綺麗なだけで
ありがとう
さみしいです

昨 ....
あなたは目を閉じない
じっとわたしを見てる
どんな風にキスをするか、どんな風に目をふせて、喘ぐか
優しさに満ちたまつげを愛に届きそうなくらい伸ばして
ね、
あなたの手のひらの熱もひたいで冷え ....
スカートの裾を直す
あなたに見えるように
恋をして恋をして恋をして、わたしに
だけど好きだって、言葉にしないで

ひとりきりの部屋パソコンですきな音楽を流す
夜も朝もようやく終わる頃になっ ....
誕生日おめでとうと言わないでと言われたから、言いません
だけどそれはあなたの本心ですか
それともつらかっただけですか強がっただけですか
どうか わたしのためでなければいいのだけれど
憎んでも忘 ....
朝から肌を切るような寒さだった
だけど空はいつもよりずっと水色を豊かにしていたし
風は空気の1番すてきなところだけを選んで運んでいるみたいに気持ちいいにおいがした
今日が晴れでよかった、と私は満 ....
あなたを諦める準備を
ちゃくちゃくと進めていますわたし
ひとりで呼吸できるように
震えがとまらない夜に しがみつくための毛布を縫ったりして

すきだけで一緒にいて
思い合うことで優しくしあ ....
ハタチの1年間
スッピンよりも化粧をして学校に行った日の方が多かった
大人ってこういうことだと
見なくていい部分は上手に見えないようにできるようになった

誰のための化粧ですかと後輩に言われ ....
隣の部屋のカップルは
毎晩遅くまで話をしている
笑い声がわたしのベットまで聞こえていて 眠れない
わたしは耳をすます

彼らがセックスをするとき
わたしは自分の恥部に手を当てて
そこから ....
跳ねてみると
地面はそう遠いものでもなかった
すとんと落ちる

それは人間だけかもしれない
犬がジャンプするともっとズドンと落ちる
落ちながらその四本の足が、次のジャンプに備えている
鳥 ....
あなたとセックスしている間、頭の中で聞えていた電子音の長さを数えてみました
それはぴったり4秒で
あなたが私にしてくれたどのキスよりも長かったから
私は、いつもより大きな声で、喘ぐ

4秒の ....
左手のてのひらのほくろの形がある日、女の子になっていることに気付いた
頭の上の方で髪をふたつに結って、ワンピースを着ているようだ
表情まではどうにも見れないが、
右足を軽くうしろに曲げてポーズを ....
雲がきれいだったので、
雲がきれい、と紙に書いた

犬が吠えたので、
犬が吠えた、と紙に書いた

わたしは右手にペンを持っていたので、
わたしは右手にペンを持っている、と紙に書いた

 ....
あなたは 大きな氷をひとつ入れたグラスでお酒を飲むのがすきだったから
わたしも今日はまねしてみた
酔っ払ったら泣けるかなと思ったけれど
いつまでも静かだった
氷が割れてしまっただけだった

 ....
放課後の教室で
きみは階段をつくっている
けしごむやペンを並べて
足りなくなると
ぼくのまで使って
ふでばこも教科書もかばんも机も
なんでも使って どんどんのぼる

きみが あんまり必 ....
セックスをする夢を見ました
セックスする前にわたしは
コンドームを買おうよと言って
あなたとふたり手をつないでコンビニに行きました
あなたはわたしが前に付き合っていた人でした

あなたのセ ....
「お金のなる木にある日
 からっぽの貯金箱がなっていたので
 ぼくは毎朝木になるお金をぜんぶその貯金箱に入れることにしました」

そんな手紙のついた大きな貯金箱が、じいちゃんちの納屋の置くのほ ....
息をするのはむずかしい
顔のまわりにある空気をすすっと鼻の中に集めて
ぐっとおなかに力を入れて 一気に肺まで落とすのだ
わたしはあの 空気がすーんと体の中を走る感覚が怖い

道を正しく歩くの ....
とんぼ(33)
タイトル カテゴリ Point 日付
レンゲ自由詩512/3/26 15:39
わたしの青自由詩211/6/17 19:41
言葉と生きる自由詩011/5/2 2:09
くそやろうたちへ自由詩3+11/3/24 2:43
毛布があったかいうちに自由詩311/2/28 1:01
応援歌自由詩011/2/9 13:02
指きりげんまん、針、千本自由詩411/1/13 0:30
静かにしていて自由詩311/1/8 2:13
引越しの準備自由詩011/1/3 22:53
片足あげて飛び越えていく自由詩110/12/29 23:07
名前の夜景自由詩210/12/27 19:54
不思議の次のところ自由詩310/12/17 21:41
しっぽのついたいのち自由詩1610/12/12 2:44
11月19日自由詩110/11/20 16:54
50メートル走みたいな、速さで自由詩210/9/28 1:06
喪失の途中自由詩110/8/10 14:05
畳の部屋のあなたへ自由詩210/7/30 21:35
11月19日自由詩109/11/19 21:21
さようならわたしとあなた自由詩209/7/24 16:47
ハタチの夜に自由詩409/6/22 23:29
夜のベランダ、マスターベーション自由詩409/6/18 22:18
すとんと落ちる自由詩109/5/8 15:38
私たちはみんなセックスがしたい自由詩809/4/16 22:08
ほくろ自由詩109/3/13 1:36
自由詩109/1/5 13:03
お酒を飲む自由詩508/12/16 0:06
階段のむこう自由詩708/11/30 18:03
セックスの夢自由詩1008/11/29 17:13
金の木自由詩008/11/29 0:30
正しい道の歩き方自由詩308/11/26 15:41

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