新世界の酒場でおねいさんが言った

ここまで来たついでに
飛田新地の風情でも
見物していらしたら

ほろ酔い加減で振り返ったその店の看板は
女郎さんの襦袢にみえた
 ....
シーツは空気を切る音を響かせながら秋空にひろがった。
わたしはそれを物干し竿にかけ、
丁寧に皺を伸ばした。

子ども達は一面に広がる秋桜畑で笑い声を上げている。
家の中からはラジオの音が漏れ ....
彼とは反対方向の電車に乗って別れた。

最寄り駅で降りると残酷なほど朝だった。
光がいつもより白く見える。
わたしは歩道橋の階段を上りながら、彼のひとことひとことを思い出した。
夜の言葉 ....
ざくり、ざくり、という音で目が醒めた。

白い壁紙が窓から入る柔らかな光を映している。
わたしは朝一番の仕事を思いだし、慌てて起き上がった。
枕元には、寝る前に見なおしていた写真が散らばってい ....
毛糸の束が絨毯の上を転がり、橙色の線を引いた。
日当たりの良いマンションの一室で彼女は編み物を続けている。僕は息苦しさに耐えかねて仕事に出た。枯枝を通った光がコンクリートの上でやわらかく揺れていた。 ....
―今日のうちに降るだけ降ってしまえばいいのよ―

受話器の向こうで母が言った。相槌を打ちながら片手でガラス戸を開け、グレーの空を仰いだ。激しくはないが単調に降り続いている。家族内での大きな行事はな ....
雨傘(6)
タイトル カテゴリ Point 日付
玄関先—鴨川の料亭で飛田新地を思うー 自由詩1*08/11/26 23:23
秋桜飛行場自由詩5*08/9/29 0:50
横断歩道自由詩208/7/23 0:52
さくらのくに自由詩2*08/4/25 1:01
僕の子羊自由詩3*08/2/19 1:48
ひだまりつつみ散文(批評 ...4*08/2/10 23:58

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