えんちゃんは、ピアノが大好きな女の子。
色が白くて細い、たくさんの人の中でいつもニコニコしている子。
だけど本当はいつも一人ぼっちなことを、私は知っていた。
ある日、えんちゃんは恋をした。
....
これ以上
森には必要とするものがない
これ以上
世界には必要とされるものがない
私たちの食事を邪魔するものは
あなたたちではなく私たち自身だ
私たちの絵が完成されたとき
あな ....
私の傷口を見て
あなたは攻撃するかしら
私の傷口を見て
あなたは優しく愛撫するかしら
それとも、
あなたは私の傷口を見て
自らの傷口を見せるのかしら
私はそれを ....
あなたに何かを伝えるために
私は
えんぴつを持って暮らしています
この手は
いかなる比喩も言葉にして
あなたのもとに届けるでしょう
この手は
寂しがったり苦しがったり
裏切った ....
網目のような夜の波間のノクターン
オールをこいだ波の上で
ぱしゃり、とはじけた憂鬱を
必死で波間に溶かして
トビウオ達の群れが
空を渡っていく光を見ている
街の光は黙ったままで空を飛び ....
好きな人が生きていた
何度も死ぬと、言っていたのに
ばたりと出合った街の角
生きていないのかもと思っていたのに
生きていたから悔しくなった
生きていたら言うことを
たくさん抱えた唇 ....
ざ。ざざざ。
桃のようにするりと剥けてしまった私の肌を
産毛のように時々ふわりとくすぐるあなたの目が指で
ぶるん、となぞるように見ている。
私
チクリ、と刺されたように耳たぶが、じん ....
思考ははねる
途切れそして、繰り返す
そして思考は夏の日差しの中で
ぽわん、と浮遊した
クラゲみたいです。
水族館の中で
日の光を浴びながらゆらゆらと。
夏の街角で出会 ....
寝付けない夜だった。
時計の針は午前2時を指している。
不気味なほど鬱蒼とした夜に一人の女と出会った。
女はただそこにとどまることを知らない生き物のように
夜の中で頭をもたげている
....
点と線とが絡み合う肖像画
混在し、ひきつけあうキャンバスの中の
パターンとその背景
白 と 黒
繰り返される点滅の意味
生への警告
更にその先に進む原生植物たちのうめき
派生する ....
{引用=
海浜で鯨類が集団で座礁するこの現象は世界各地で報告されており、ストランディングとも呼ばれる。日本の沿岸では2000年に219個体のクジラ・イルカ類の座礁が報告された。
座礁の原因は明確で ....
わたしはこわい
あなたがこわい
あなたに見られるのが
感じられるのが
思われるのが
こわい
こわくていつも
嘘をついてしまう
嘘をついて生きてしまう
わたしは嘘をついて
わ ....
あえぐ芸術に怯えてしまうわ
わたし
鳥 あなたのように高く飛べるのだろうか
犬 あなたのように歩けるのだろうか
壁 そして白く
風化せず、ただ慄然と
人は立って ....
吐き出さなければいけないものが多くて僕達は
いつもふきだまりを求めている
押し出すことをいつも恐れて
留めておきたくなり、
残しておきたくなり、
手放すことが恐くなる
雨と同じ速度 ....
?.
埋め尽くされている
埋め尽くされている
混沌の中で
バラとシマウマとミトコンドリアの死体とが持ち上げている
その全てを白い肌の中で殺し、生かし、踊っている右脳の中で
....
明日の4時には新宿であきと待ち合わせをする
それから昨日買ったワンピースを着て
エナメルの靴を鳴らしながらあきと会う
夜、吸わない煙草を吸うフリをして東京タワーに恋をする
ベランダでいつも ....
荒れ、渾然となり昇天する
十匹の猿
モノクロの 或いは
飛び立つ白鷺が 二羽
朱の大橋での小雨
遠くで雷鳴が響く
その悲しみは 空間の黒
或いは 濃淡
具象でなく ....
午前3時に咲いた {ルビ鈍色=にびいろ}の花腐し
嘘を塗り重ねて
すこし刺々しく君に抱かれた柔肌が
うっすらと赤みを帯びる
君は私の名前を呼ぶ どんな抑揚もつけずに
ただ平淡に溺れ ....
{引用=
「人間はね、言葉の海で泳いでいるんだって。」
「言葉の海?」
「そう、言葉の海だわ。ここは。」
}
東京の空に
こんくりぃとのビルが張り付いているのが見えて
はいいろに見えた
ネズミがかじった こんくりぃと
そこには何にもないのに
怯えた顔して 歩いてるひとがいて
マックの100 ....
まだ日のあたらない街灯が夜道を照らしている。
ネオンの光を辿って私の電話が鳴った。
シーラカンスからです。
「僕の骨を探してください」
そう言ってシーラカンスは言葉をおいた。
「見つけて僕の ....
ひと房の
情事を食べ終わってしまって僕達は
ク・フルリ
とぜりぃの海で溺れているのです
{引用=見つからない緑の月を背に}
月曜の朝が嫌いだとあなたは言って
ル・クフルリ
と永遠をわらう ....
{引用=
あたしの神さまはね、
あたしの一番好きな人
本当の神さまが許してくれなくても
平気
世界中の誰もが許してくれなくても
あたしの神さまが許してくれたら
あたしは全てを許せるの ....
{引用=
灰となって春が舞い
けだるい光が夏を照らし
深いお辞儀のような秋が来て
桜のように冬が去る
あなたはいつも変わらずに
そこにある全てを慈しみ
琴のしらべに手を差し伸べて
....
わたし、よくわかりません
あなた、だとかせかい、だとか
そういうの
映画みたいなんですもの
ぜんぶ
心が鼓動しないのですもの
なぜか
おかしな夢を見ているようなんですよ
わたし
....
地下鉄の剥がれかかったサイン計画でいとも簡単に私は迷子になって
孤独に酔って人をビンで殴ってしまい簡単に割れた破片が人を壊して
しまっていて黄色いブロックに救われた盲者の白髪がはらりと落ちて
そ ....
つき/でした
あかいつき/でした///
/体に/ぺたり/と張り付いた/黒蜥蜴/の腕/模様を描いてい/ます
/夜の 中で/// ぺたり ////インクをたらすように/器用にも
ポ ....
* *
みじめったらしくいじらしく
きたなくやさしくつめたいの
よわくずるくてうつくしい
たくましくかれんでいちずにとんで
くるってひらりおっこちる
つよくかしこくじゅんすいで ....
{引用=
フランスの実験映画のようなフラスコの中で揺れ
る白い寒い夢のような終りにはこれからつづく永
遠に似た狂おしい淋しさがあるんじゃないかしら
とたまきはいってちっぽけな不条理を手のひらで ....
{引用=私は失敗の多い女の子じゃない。}
生々しく映えている淡い光の中でみっともなくすがりつく、皮膚のたるみなんかでもない。
大きな椅子の中で眠りについて教えてアリス。
時間はまだ探せないの?
....
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