100円にも満たないスープを作ってみたら なるほどお湯より温かい
震えているのは会いたいからではなく 家人のいないからこその遊び
冷たい耳を塞いでみると地鳴りのような音がして 血の乾いたさ ....
:イタリアの児童文学
:社会風刺小説
:「幸せに暮らしましたとさ」
幸せに暮らしましたとさ
幸せとは何なのだろう。
人間になることが幸せなのだろうか。
人はそんなに素晴らし ....
ただいま、が言えなくて帰る家が見つからない
おかえりなさい、がない気がして帰る家が見つからない
何色の電車が運んできたのか
知らない町の知らない道を
歩いて私だけの家へ
おじゃまします、と声をかけた
....
何にもなかったぼくに
神様がくれた贈り物。
ページをめくると
月日が冒険に満ちる。
主人公は間違いなくぼくで。
君はぼくの青い鳥。
そう思っていたのに。
夢から覚めたら羽音をたて
君は ....
青い色は青い色と
赤い色は赤い色と
同じものを集めたい
あなたとわたし同じ色して
あなたは青が好きだけど
わたしはあなたの赤が好き
それだけでよかったのに
先生は「青と赤を一緒にしなさい ....
猛りて
食らい
奮わす
肉声
絡めて
噛んで
騙して
舌先
「美味しそうに食するね」
絶えて
食され
朽ちて
眠り
埋もれ
重なり
積もる
歳月
「骨でも ....
渇いた太鼓と踊る笛音。
人々影々囲む祭壇。
風がさざめき炎が爆ぜ
清めの水と木霊する声、声、声
神への言葉。
難解な呪い。
無知の祈り。
供物が照らされ煌々と。
熱に揺らめく向こう側。 ....
縫合する。
離れてしまったものを無理矢理縫い合わせる。
赤い糸。
結ばれなかった片割れを捜している。
白い糸。
一つだったはずの肌色を引き寄せて。
黒い糸
溶けた場所から壞死 ....
通過列車の引力に従った。
女はただの肉塊と化す。
小指ちぎって約束したのに。
薬指から抜ける白銀の輪。
鐘が鳴るよ白い教会。
列を成すよ同色の背。
「いやあね」「こわいわねぇ」
烏が鳴く ....
目覚めれば秋の夜。
匿ってもらった夢の中では懐かしい歌が流れていて。
逃げる場所など多分もうどこにもない。
叶わなかった夢はどこに行くのでしょうか。
テープを切れなくても走ることは美しいでしょ ....
舌を出す君は子供みたいに言葉にならない声を吐く。
触れ合う皮膚の温さが心地好くて握る指にも力がこもるよ。
波立つシーツに包まれ懐かしい場所に還るように。
二人このまま朝が来るまで沈もうか。
大 ....
コインランドリーに行く道でゴキブリが潰れて死んでいた。
蝉のうるさい夜だった。洗濯物は重かった。
10日分の汗がこんな小さな一袋で流れるという。
時計を見れば40分だった。雑誌を3冊読み終え ....
君の名を呼べば呼ぶほど腹が空く
早くばらで売られないかな
いろんな肉がパックに詰められ並んでいるのに
どうして人を食べてはいけないの
落ちそうな頬を垂らす老いた婦の
か細い手 ....
跳ねるのどの熱さが手の平から伝わってくる
君は水面に顔出す金魚のように喘いでいる
昼下がり 西日は容赦なく目を射ち
閉じたまぶたで君を切断してみたい
どうしようもなく疑わしい 薄い影を踏み ....
想っても想っても あなたの影さえ踏めなくて
近づくたびに遠くなるよに 赤い瞳が見たいのに
暗い部屋へと消えていく背中をただ見ているだけしかできない
弱虫でごめんなさい あなたの幸せを祈ることしか ....
知らない言語を聞いている
彼が何を言っているのか、私には分からない
「大好き」かもしれないし
「死んでしまえ」かもしれない
「そこ空いてますか?」かもしれないし
「昨日のテレビがどうした」こ ....
人が多くて憂鬱だ。
さっきまで座っていたくせに、今はもう立っていたい。
依ってみたいが離れていたい。あんまり傍にいたくない。
感染させてしまうかも(誰か苦しみを引き継いで)。
真っ直ぐ ....
どの名字を言えばいいのか迷っているうちに電話はぶつっと切れてしまって、
あたし結婚してないんだから同じじゃんって呑気に笑ってみたりした。
乾燥機では母親の首が回っている。
ごろんごろんと不愉快に ....
手紙はシャーペンで書いてはいけないという暗黙のルールを知らなかった私は、
苺やら牛乳瓶の形に折られた器用な手紙に四つ折りのノートの切れ端を返すような女子だった。
生徒手帳の禁止事項よりも大切な法律 ....
汚れた空気が
やんなって
カルキ臭い水も
飲みたくない
言葉話すすべてが
わずらわしくて
誰もいない世界へ行こう と
飛び乗った 宇宙船
空 空 空
空気の層
突き抜け ....
ペンを握り使い古した言葉を
並べ立てている今この時
浪費している空気や水や食べ物への
謝罪の要求はすべて終わった後にしてくれ
やり残していることなんて
実は思っていたより無い
血の巡り ....
ごらん、夜が更けていくだろう。
星が散らばり輝くだろう。
あそこにはもう誰もいないんだ。
歩いたそばから道が消えていくのさ。
きみの小さな手のひらがその光を捕まえたときには、
するすると細い指の間をす ....
たそがれが連れた波を食み
孤島へ向かった足跡かき消されて
君はそこに取り残されたまま
まだ宝島をひとり占めした気分でいる
大人のくすりは苦いから子どものみつで潤おう
夢を見るのはたやすいねと ....
声のない生活にも慣れ雨音と会話もできそうだ。
滴る粒は虚しさを積み上げ見ているはずが逆に見られているような、
錯覚。もしくは他者を望むがゆえの幻覚。
ここには最低限のものしか無い。生きるためには ....
淋しさに抱き締められて声も上げられない。
凍り付きそうな体温に感化され青ざめてく。
溺れていってるのか、
絡めとられてるのか、
吸い込まれてるのか、
噛み付かれてるのか。
末端神経 ....
「風が少し冷たいね」と笑いかけると
まだ早かったんだとふてくされた声
まあまあ、って君のポケットに忍び込む
合わせなくても同じ歩調と
規則正しい腕時計
まだ寝なくても良いの?と、
いたずら ....
たそがれ
誰もいないベッドの上で
待っている
自分以外の濡れた声を
秒針が時を刻む
決められた時間を
浪費する
有限の命を持て余して
どこにも行きたくないよ
どこにも行け ....
朝起きて呼吸のしづらさに違和感を覚える
出した声は絞め殺された鶏のようで
ああ、やっちまったな。と生温いため息
体はだるいが腹は減る。ここら辺が痩せない理由か
冷蔵庫の中には麦茶と酒とつまみと ....
あれも食べたいなこれも食べたいな。
今日はどんなご飯にしよう。明日はパンにしようか。
明後日は。明明後日は。その次は次は次は。
満たされないよいっこも。空腹感が抜けきらない。
癒えないよどこも ....
日々漠然と感じる不安を煮詰めてみたり薄めてみたり。
どちらにせよ「現実」を見るのが怖くって。
ついつい要らないことをしてしまうんだ。
行き詰っちゃったらリセットして、
やり直しなんかできな ....
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